ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

初乗り

2009-04-30 | 砂時計
救急車に乗った。
交通事故に遭ってしまったのである。

一昨日の会社帰りのこと。
いつものスーパーで買い物を済ませ、いつもの道順で自転車をこいでいた。
すべてがいつもと同じだった。
だが、いつもチラッと確認する四つ辻のカーブミラーを確認せず進入した。
静かな住宅街の四つ辻である。
普段から人も車もほとんど通ることはない。
その油断が事故を招いた。
右手方向から走ってきたバイクにぶつかったのである。
相手の顔を見ながら、「わーーっ!」とか「きゃーっ!!」とか「いやぁーっ!」とか大声を上げたことは覚えている。
その後、倒れて頭を打って目の前に星が飛んだことも覚えている。
あ、頭を打ったんだ。
でも、吐かないってことはたいしたことはなかったのかな、とか冷静に判断したことも覚えている。
相手の人が「大丈夫ですか?」と駆け寄ってくれたことも、近くを歩いていた塾帰りの女の子が、前かごから飛び出したヨーグルトの残骸や、ニンジン、魚なんかを拾い集めてくれていること、庭のさくらんぼを採っていた奥さんが
「はよ、救急車を呼ばないと。」と言ったことなんかも、全部全部覚えている。
要するに、頭を打ちはしたものの、たいした怪我ではなかったのである。
起き上がろうとするが、腰と足が痛くて動けない。
相手のひとが、
「こういう場合、動かんほうがええですよ。」と私の動きを止めた。
そんな状況で、あちこちからちらほらと人が集まり始め、そうこうするうちに救急車が到着したのである。
世の中、こういうことに遭遇する人はそうそういないであろうが、当然私も生まれて初めてのことで、これからどういう風になるのかが分からなくて、自分のなかでたいした怪我ではないということがわかっていても、どうすればいいのかがわからない。
救急隊員のひとが、
「自分の名前と年齢が言えますか?」と尋ねる。
「はい。xxxxxx、49歳です。」
「住所と電話番号は?」と尋ねられ、更に救急隊員がしめす指の数を言わされた。
補助についた見習い隊員に、てきぱきと指示をだし
「意識は鮮明だから、カラーだけでええわ」と首に固定のための襟カラーが巻かれた。
ストレッチャーに移される。
え!バッグとか荷物はどうなるんだろ?と心配するも、周りの見物人のなかの誰かが「貴重品を持って行かないと!」と叫んでくれて、ほっ。
とりあえず、財布や免許証の入ったバッグのみを救急車に乗せて走り出す。
「いまから、引受先を探しますからね。」
あらま、ほんとに今話題の搬送先のたらい回しが始まるんだわ、と痛みより興味が先に立ってしまう。
「まずは、H病院に行くつもりです。」と告げられるやいなや、
「いえ!それより、S整形外科をお願いします。カルテもありますから。」と後々通院することを考えて、家から一番近い整形を逆指名。
第一、H病院は節子さんのお嫁さん1号からその内情を聞かされていて、行かない方がいいことがわかっていたので、ここはできれば願い下げである。
しかしながらS整形外科は、すでに先生が外出してしまっていて受け入れを拒否されたので、仕方なくH病院に。
が、運良くH病院も拒否してくれたので、I医院、M病院の2カ所をあたってみると言う。
ま、どちらも会社から近いのでまぁ、いいか。とひとまず安心する。
それにしても、救急車というのは思いの外乗り心地が悪いものである。
相当振動するし、障害物を避けながら右往左往するせいかかなり左右に振られる。
「気分は悪くないですか?」と尋ねられたので、思わず
「振動がひどくて酔いそうです。」と正直に答えたら笑われてしまった。
「すみませんね、乗り心地が悪いでしょう?」と。
ほんと、ほとんど元気な私だから良いようなものの、これが脳の血管が切れた人や
首の骨がどうにかなったひと、気分が悪くて乗った人だと、のせられた瞬間にもっと症状が悪化しそうなほどの乗り心地の悪さである。
あとで、夫にその話をすると
「なんで、ベンツの救急車を手配してもらえへんかったんや。」と言われたが。
車種の指定までできるわけないやん!
第一、ベンツの救急車なら、乗り心地がいいわけ?と問えば
「そら、シトロエンより乗り心地のええ車はないわ。」と即答。
(実際、シトロエン独自の油圧サスペンションを買われて本国フランスでは救急車に採用されていたりするらしい)

そんなこんなで、病院に運ばれ、レントゲンを撮ってもらうが、さしあたり3カ所を強く打撲した以外、骨折など大事にはならず、その日の10時に釈放された。
相手の人は、派遣切りにあったばかりの男性で、私が大けがではなかったことを聞いて泣いていた。
こんなところにも、現代社会の闇が見え隠れして、自分の不運よりも加害者となってしまったこの男性の方が気の毒になってくる。
今日、CTで脳を検査したが「年齢なりの」脳の萎縮は認められるが、内出血は見られないので大丈夫、とのこと。
あとは、打撲部分の日にち薬ということで、たいしたこともなく終わって良かった。
それでも、一歩間違えば大事故にもなっていたかもしれない。
注意一秒怪我一生。
気を引き締めて、毎日をすごさなければ・・・

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ぐれーぷふるーつさん (CITROEN)
2009-05-02 21:59:41
お見舞い、ありがとうございます。

ほんと、自転車という誰もが簡単に乗れる乗り物だからこそ、の危険性が潜んでいるということにあらためて気づきました。
車もバイクも、我が物顔で走っていますからね。歩行者や自転車は止まって当たり前、って思っていますから。
くやしいけど、こっちが止まるしか仕方がないのですよ。弱者なので。
今回、私は幸いにも軽傷でしたが、一歩間違えば大変なことになったかもしれない、と思うと慎重に乗らねば、と思いました。
ぐれーぷふるーつさんもお気を付けて。
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お大事にしてくださいませ (ぐれーぷふるーつ)
2009-05-02 15:04:38
こんにちわ~ ビックリしました!!
大事に至らなくて本当に良かったです!!!

私も職場でおつかいに行く時に自転車に乗るのですが、気をつけなくては!ひかれそうになった事は何回かありますので、汗

いつもと変わらぬ、冷静なCITROENさんの文章に何だかほっとしました~
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ameさん (CITROEN)
2009-05-01 20:52:14
お見舞い、ありがとうございます。
ほんと、後から考えれば大事故にならずに、今こうしてPCを打てている状況に感謝しています。
ameさんも、アウトドアでおでかけになられる際はお気を付けて。
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えっ?え~!! (ame)
2009-05-01 17:35:54
こんにちは。
初乗りとあったので波にでも・・・と思いきや。
びっくりしました
事故は事故で大変な思いをされたのでしょうが、大事故にならなくて良かったですね。ホッ。
お大事に
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NONさん (CITROEN)
2009-05-01 15:59:26
ほんと、どうせあたるなら宝くじとか、懸賞に当たればいいものを、って思っちゃいました!
でも、おっしゃるとおり、これで家族全員の厄を落とせた、って思えばラッキーかも?!

今回、倒れたときに、この日たまたま肌寒くてお友だちが縫ってくださったC&Sさんのチノクロスコートを着ていたので怪我もほとんどせずに済んだのですよ。
パンツは、自分で縫ったクルールさんのストレッチパンツ。
どちらも激しい摩擦にも負けず、しっかり身体を守ってくれていました。
NONさんの記事にあった、使い捨ての流行ファッション店の服だったなら、どうだったかな?とかって考えたりしました。
見た目も大事だけれど、やっぱり質っていうのも大事なものなのですね。
NONさんも自転車に乗られるようでしたら、お気を付けて。
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kayさん (CITROEN)
2009-05-01 15:51:21
あは!
こんな時にも好奇心のほうが勝ってしまう哀しい性。
今日の下着は、ゴムが伸びたパンツじゃなかったよね、たしか・・とかって頭の中で確認したり
動くに動けないから、周りの状況を観察する他はなかったのですよ。
事故ってしまったことにショックを受けている自分と、片方でそれを横から冷静に記録している自分、みたいな感じでしたね。
やっぱり、ちょっと私って変わってる?

それより、kayさん、新型インフルエンザのそちらでの状況はいかがですか?
くれぐれもお気を付けて。
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ハリー☆さん (CITROEN)
2009-05-01 15:44:19
お久しぶりです!
ショートヘア、快適でしょう?
私も、頭が軽くなって、浮かれていたのでしょうかね。やっちゃいました。

ハリー☆さんもバイクと接触?
私はバイクがあたったのが自転車だったので、倒れたときの打撲で済みましたが、身体にあたると相当痛そうですね。
おっしゃるとおり、腕や足をおもいっきり突っ張ったのかして、上腕部や、大腿部なんかが昨日あたりからパンパンに張ってきました。
日が経つにつれ、あちこちにでてくるのって歳をとっている証拠ですね。
ゆっくりボチボチ治してゆきます。
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naccoちゃん (CITREON)
2009-05-01 15:39:17
うわぁ!naccoちゃんも交通事故経験者ですか。
娘ちゃん、こわかったでしょうね。
ママがそんな風になっちゃうって、すんごいショックを受けそうです。
うちは、救急隊員の方から連絡を受けたのは息子だったのですが、生死を確かめて、とりあえず生きているし意識もあるからっていうのを聞いて、たいしたことはない、って思ったようです。
普通は、自分が救急車なんかに乗せられたら、それだけでショックを受けると思いますよ。
私はそれくらい、軽かったってことなんでしょうね。
歳をとっている分、打ち身がいつまでも残りそうでつらいですー。
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アプリコットさん (CITROEN)
2009-05-01 15:32:25
やっぱり問題は、頭部の衝撃ですよね。
私も、頭を打った瞬間
「やばっ!」と思ったのですが、吐きもしないし吐き気も催さなかったので、とりあえずは大丈夫か、と・・。
たんこぶは出来ていたみたいですけど、それもずいぶんひいてきました。

でも、変な話、事故にあったのが夫や息子でなくて良かったなぁ~、って思ったのですよ。
自分のことは自分で判断できるから。
これが周りの人間だと、心配することしかできないからかえってしんどいなぁ、って。
不思議なものですね。
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hanaさん (CITROEN)
2009-05-01 15:27:37
すみません、びっくりさせちゃって。
ま、呑気にこうやってPCに向かっていられるくらいなので、たいしたことはないのですが。

hanaさんは、2回も救急車に乗車されたのですね!
いやぁ、思いの外乗り心地が悪いモノですね。
もう、二度とごめんだわ、って思っちゃいました。
確かにあんなにガタガタ揺れる車内で、細かな手当をしなければならない救命救急士さんて、本当に大変だと思いますね。
カラーがついていなければ、車内をもっと観察したかったのですけど
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大変でしたね… (NON)
2009-05-01 10:41:47
読みに来てビックリ!
「初乗り」って言うから、新車?バイク?まさか、波…?とか悠長なことを想像していたら!
とにかく大怪我というわけではなかったようで安心しました。
今年の厄がこれで落ちたと思って、どうかゆっくり休んで、しっかり治してくださいね。
通いなれた道…、私も気をつけなくては。

しかし、そんな大変な事故で頭を打った状態なのに、いろんな記憶が鮮明でいらっしゃることに感動しました。
私だったら、パニくってぜーんぶ吹っ飛んじゃいそうです。
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Unknown (kay)
2009-05-01 01:35:07
CITROENさん こんにちは。

大変でしたね。
記事を書かれているという事は 大丈夫だったんだ。と
安心しながらも どきどきしながら読ませていただきました。

日常のどこに危険があるのか油断できないものなんですね。
改めて 身が引き締まるような思いです。

大事に至らずに 本当に よかったです。
しばらくは 無理をせず お大事にせれますようにぃ♪

しかし そんな時にでも 発揮される 観察眼というのでしょうか
庭のさくらんぼを取っていた人など 
細かな描写が 興味深く感心です。
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どうぞお大事に… (ハリー☆)
2009-04-30 22:57:06
ご無沙汰してます。いつもこっそり読ませていただいています。すみません。

お昼間に髪型の記事を、
あー、私と同じだー!(私も最近サッパリと…)と楽しく拝見していたところだったので、
とっても驚きました。

実は私も学生の頃、バイクとぶつかって足を強打しました。
ただの打撲で大したことはなかったのですが、
今でも時折足が痛みます(泣)
ぶつかった衝撃で普段使わない筋肉も使っているでしょうし、
負担がかかっているかもしれません。
どうか無理をなさらず、ゆっくりなさってくださいね。
お大事に。
それにしても命に別状がなく、何よりでした!
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Unknown (nacco)
2009-04-30 22:37:29
ビックリしました!
あぁ、大変な目にあいましたね。
私も交通事故で救急車に乗ったことがあるのですが、
ショックが大きすぎて、乗り心地とか覚えてないなあ・・・。
横で小さかった長女も泣いてたし。

打撲もしばらくは痛むでしょうし、
どうぞお大事になさってくださいね。
後で痛みが出ることもあるし。
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お大事に (アプリコット)
2009-04-30 22:02:15
記事を読みながら、本当に大事でなくて良かったと思いました。
事故そのものも怖いですが、一番怖いのは頭部をぶつけた時の衝撃と聞いたことがあります。
車との接触事故でも車のバンパーなどに乗る状態になると衝撃は軽く済むので、そのままの場合の方が軽症になり、その後そこから落ちた時の衝撃が命取りになるという話も救急救命の講習で聞いたことがあります。

とにかく本当に大事故にならずに済んでよかったですね。
一瞬が命取りになると実感してしまいますね。

当分打撲は痛むと思いますが、どうぞお大事にして下さい。
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なななんと!! (hana)
2009-04-30 22:01:56
驚きましたよ~~もぅ
大変なことにならず、ブログも書けるようで、良かったです。
いつ何時自分の身に降りかかるか解りませんもんね。。
精密検査も大過なしで打撲の日にち薬ということですが、どうぞお大事になさってくださいませ、日が過ぎて思わぬ所が痛くなってきたら直ぐに診て貰って下さいね

経験者は語る

救急車2回乗りました エヘン
近距離でも酔ってしまいそうでした。。
あんなに揺れている車中で処置するなんてすごいなぁと椅子にしがみついて見てました

付き添いでしたから2回とも

泣いていた相手の方
加害者となってしまったとはいえ、こんな世の中ですからね、慮られます
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