今年は琳派にとって区切りの年なので、全国でたくさん琳派の展覧会が開かれます。
「怒涛の琳派!」として、第一弾は琳派と深いつながりのある日本橋三越で開催された『岡田美術館所蔵 琳派名品展』をレポートしましたが、そのあとも友人を誘って、2月に第二弾、第三弾と琳派の展覧会を見てきました。
自分の心に響く作品は見てると、背中がゾクゾクしたり、知らない間に口元がゆるんだりしてしまいます。理屈じゃなく、体が感動します。「怒涛の琳派 第二弾、第三弾」も、背中がゾクゾクの連続でした♪
怒涛の琳派!第二弾 『燕子花と紅白梅 光琳アート展』
2015年 2月8日(日)
熱海市、MOA美術館
ずっと見たかった尾形光琳の国宝「紅白梅図屛風」、ずっと行きたかった熱海市のMOA美術館、どちらも2月8日に実現しました!
MOA美術館で、尾形光琳の代表的な国宝2点が一挙に展示されるという、琳派LOVE人には夢のような展覧会「燕子花と紅白梅 光琳アート展」が開催されました。
MOA美術館は作品の収蔵量も多く、建物や庭も素晴らしい美術館と聞いていましたが、東京から遠いので、これまで行くのを躊躇していました。今回は、代表的な収蔵品の国宝「紅白梅図屛風」と合わせて、同じ光琳の代表作で、根津美術館の収蔵品、国宝「燕子花図屛風」も同時に展示するということで、熱海までがんばって行ってきました。
初めて実物を見た「紅白梅図屛風」は、凛としていて品格の高さを感じました。図録やテレビで見ていたときには感じられなかった高貴な雰囲気が画面から漂っていました。
下地の金の処理もすごいし、梅や川の絵に光琳の技量が光っています。それに何といっても大胆で斬新な構図にタメ息ものでした。・・・言葉ではうまく説明ができないのですが、本当に近寄りがたさが感じられる絵でした。
根津美術館の収蔵品国宝「燕子花図屛風」はこれまで、根津美術館で何回か見ていますが、こうして「紅白梅図屛風」向かいに展示されていると、これまでよりも、さらにこの屏風のリズミカルな絵の調子とか、軽快さが強く感じられまいた。
これ1点だけでも遠くまで行って良かったけど、それだけじゃありませんでした。
宗達から現代作家まで、たくさんの作品で琳派の流れが分かりやすく展示されていました。
今回の展覧会で一番背中がゾクゾクしたのは、加山又造の群鶴図です。
ここ5年くらい、日本画で描かれる鳥が大好きになっています。鳥は単に鳥を写生したのではなく、作者の思想や主義、意志等々、いろいろな内面が投影されています。書物などと違って、一見しただけで、それらが私に向かって一挙に押し寄せてきます。群鶴図の鶴たちが語らずして、本質的なことを私に見せつけているような気がするのです。(ごめんなさい。思いをうまく伝えるすべを知りません。)
会田誠の「群娘図’97」も面白かったです。(会田誠の2012年12月に森美術館で開催された個展「会田誠展: 天才でごめんなさい」を見逃して自他踏んでいたので、ちょっとだけ見られて嬉しかったのもあります。)
会田誠にも琳派の血が流れているんだなぁと、作品の前でしみじみしてしまいました。
ランチにおいしいお魚の定食を食べて、帰りに展望日帰り温泉に寄って贅沢な一日でした。
●国宝 紅白梅図屛風 尾形光琳 MOA美術館蔵
白梅の樹幹の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面いっぱいに描き左右対照の妙をみせ、中央に水流を配し末広がりの曲面をつくり上げた構図は光琳の独創といえる。後に光琳梅として愛好される、花弁を線描きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられるたらし込み、卓越した筆さばきによる水紋などすぐれた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えている。(MOA美術館HPから)
●国宝 燕子花図屛風 尾形光琳 根津美術館蔵
『伊勢物語』第九段東下りの八つ橋に取材し、金地に群青と緑青の2 色でカキツバタを描いている。同じ花群を反復して画面が構成されており、型の使用が推測される。右隻の花群の根元や左隻の花の上辺はジグザグ状をなしリズム感を出している。(MOA美術館HPから)
●群鶴図 加山又造 キリンホールディングス株式会社蔵
又造は、日本美術の伝統である様式化とそこからくる装飾的表現を、古典に立ち戻り自らの作品に試みている。本図は、光琳、抱一、其一と継承された群鶴図をモチーフとし、単純な配色を避けるため絵絹(えぎぬ)に厚めのプラチナ箔を貼った下地を用い、胡粉と墨、金、深紅朱によって丹頂鶴の優雅さを表現している。北海道釧路の雪原で百羽ほどの丹頂鶴を間近にした作者の感動をもとに、長年の構想によって制作された。(MOA美術館HPから)
●群娘図’97 会田誠 個人蔵
作者本人の言葉を借りれば「ノーマン・ロックウェルの風俗的リアリズムと尾形光琳の意匠的様式化が渾然とした、海のものとも山のものともつかない珍妙なイラストレーション」とのことだが、東京の女子高生と修学旅行中の地方の女子中学生を横一列に置く構図は「燕子花図」に借りたものであり、「群娘」と書いて=「群青」と読ませ、「燕子花図」を想起させる。女子中高生好みの、サンリオやディズニーのキャラクターを刷り込ませている。(MOA美術館HPから)
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