自民党が提出した改憲国民投票法案の修正バージョンを掲載しておきます。「憲法改正案広報協議会」が、「国民投票広報協議会」となったこと、条文の加除に伴う条文番号の変更については逐一指摘しませんが、そのほかについては加筆された部分を赤色で示します。削除部分については青色で〈〉内に書くようにします。なお、ヤメ蚊注釈は、緑色とします。また、PDF形式のものは、こちら、こちらにあります。では、引用開始します。
第一六四回
衆第三〇号
日本国憲法の改正手続に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 国民投票の実施
第一節 総則(第二条―第十条)
第二節 国民投票広報協議会及び国民投票に関する周知(第十一条―第二十条)
第三節 投票人名簿(第二十条―第三十二条)
第四節 在外投票人名簿(第三十三条―第四十六条)
第五節 投票及び開票(第四十七条―第八十八条)
第六節 国民投票分会及び国民投票会(第八十九条―第九十九条)
第七節 国民投票運動(第百条―第百八条)
第八節 罰則(第百九条―第百二十五条)
第三章 国民投票の効果(第百二十六条)
第四章 国民投票無効の訴訟等
第一節 国民投票無効の訴訟(第百二十七条―第百三十四条)
第二節 再投票及び更正決定(第百三十五条)
第五章 補則(第百三十六条―第百五十条)
第六章 憲法改正の発議のための国会法の一部改正(第百五十一条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、日本国憲法第九十六条に定める日本国憲法の改正(以下「憲法改正」という。)について、国民の承認に係る投票(以下「国民投票」という。)に関する手続を定めるとともに、あわせて憲法改正の発議に係る手続の整備を行うものとする。
第二章 国民投票の実施
第一節 総則
(国民投票の期日)
第二条 国民投票は、国会が憲法改正を発議した日(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第六十八条の五第一項の規定により国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法の改正の発議をし、かつ、その承認を求めるために国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して六十日以後百八十日以内において、国会の議決した期日に行う。
2 内閣は、国会法第六十五条第一項の規定により国民投票の期日に係る議案の送付を受けたときは、速やかに、総務大臣を経由して、当該国民投票の期日を中央選挙管理会に通知しなければならない。
3 中央選挙管理会は、前項の通知があったときは、速やかに、国民投票の期日を官報で告示しなければならない。
(投票権)
第三条 日本国民で年齢満十八年〈二十年〉以上の者は、国民投票の投票権を有する。
民主党への歩み寄り
(投票権を有しない者)
第四条 成年被後見人は、国民投票の投票権を有しない。
(本籍地の市町村長の通知)
第五条 市町村長は、第二十二条第一項第一号に規定する登録基準日から国民投票の期日までの間、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十七条の規定による在外投票人名簿の登録がされているものについて、前条の規定により投票権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
(国民投票を行う区域)
第六条 国民投票は、全都道府県の区域を通じて行う。
(投票区及び開票区)
第七条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第十七条及び第十八条の規定は、国民投票の投票区及び開票区について準用する。
(国民投票の執行に関する事務の管理)
第八条 国民投票の執行に関する事務は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、中央選挙管理会が管理する。
2 公職選挙法第五条の三から第五条の五までの規定は、国民投票の執行に関する事務について準用する。
(国民投票取締りの公正確保)
第九条 公職選挙法第七条の規定は、国民投票の取締りに関する規定の執行について準用する。
(特定地域に関する特例)
第十条 交通至難の島その他の地において、この法律の規定を適用し難い事項については、政令で特別の規定を設けることができる。
第二節 国民投票広報協議会及び国民投票に関する周知
(協議会)
第十一条 国民投票広報協議会(以下この節において「協議会」という。)については、国会法に定めるもののほか、この節の定めるところによる。
(協議会の組織)
第十二条 協議会の委員(以下この節において「委員」という。)は、協議会が存続する間、その任にあるものとする。
2 委員の員数は、憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とし、その予備員の員数は、当該発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とする。
3 委員は、各議院における各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当て選任する。ただし、各会派の所属議員数の比率により各会派に割り当て選任した場合には憲法改正の発議に係る議決において反対の表決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは、各議院において、当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとする。
4 前項の規定は、予備員の選任について準用する。
5 委員に事故のある場合又は委員が欠けた場合は、憲法改正の発議がされた際にその者の属していた議院の議員であった予備員のうちから協議会の会長が指名する者が、その委員の職務を行う。
(会長の権限)
第十三条 協議会の会長は、協議会の議事を整理し、秩序を保持し、協議会を代表する。
(協議会の事務)
第十四条 協議会は、次に掲げる事務を行う。
一 国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明〈解説等〉並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成
協議会が政党の議席数に応じて構成されるため、不公平との批判を免れるため、主観の入る「解説」という言葉を避けた。
二 第六十六条の憲法改正案の要旨の作成
〈三 憲法改正案に関する説明会の開催〉
三 第百六条の規定によりその権限に属する事務
四 前三号に掲げるもののほか憲法改正案の広報に関する事務
2 協議会が、前項第一号、第二号及び第四号の事務を行うに当たっては、憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき分かりやすい説明に関する記載〈解説等〉、憲法改正案に関する説明会における説明等については客観的かつ中立的に行うとともに、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載、発言等については公正かつ平等に扱うものとする。
〈3 第一項第三号及び第五号の事務の執行について、都道府県又は市町村の選挙管理委員会は、協議会の求めに応じ必要な協力を行うものとする。〉
(協議会の議事)
第十五条 協議会は、憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった委員及び当該発議がされた際参議院議員であった委員がそれぞれ七人以上出席しなければ、議事を開き議決することができない。
2 協議会の議事は、出席委員の三分の二以上の多数で決する。
〈(協議会の委員の派遣)
第十六条 協議会は、憲法改正案の広報のため、委員を派遣することができる。〉
上の注釈と同じ趣旨で削除された
(協議会事務局)
第十六条 協議会に事務局を置く。
2 事務局に参事その他の職員を置き、参事のうち一人を事務局長とする。
3 事務局長は、協議会の会長の監督を受けて、庶務を掌理し、他の職員を指揮監督する。
4 事務局長以外の職員は、上司の命を受けて、庶務に従事する。
5 事務局長その他の職員は、協議会の会長が両議院の議長の同意及び両議院の議院運営委員会の承認を得て、任免する。
6 前各項に定めるもののほか、事務局に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。
(両院議長協議決定への委任)
第十七条 この節に定めるもののほか、協議会に関する事項は、両議院の議長が協議して定める。
(国民投票公報の印刷及び配布)
第十八条 協議会は、第十四条第一項第一号の国民投票公報の原稿を作成したときは、これを国民投票の期日前三十日までに中央選挙管理会に送付しなければならない。
2 中央選挙管理会は、前項の国民投票公報の原稿の送付があったときは、速やかに、その写しを都道府県の選挙管理委員会に送付しなければならない。
3 都道府県の選挙管理委員会は、前項の国民投票公報の原稿の写しの送付があったときは、速やかに、国民投票公報を印刷しなければならない。この場合においては、当該写しを原文のまま印刷しなければならない。
4 公職選挙法第百七十条第一項本文及び第二項の規定は、国民投票公報の配布について準用する。この場合において、同条第一項中「当該選挙に用うべき選挙人名簿」とあるのは「投票人名簿」と、「選挙の期日前二日」とあるのは「国民投票の期日前十日」と、同条第二項中「選挙人」とあるのは「投票人」と読み替えるものとする。
(国民投票の方法等に関する周知等)
第十九条 総務大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票に際し、国民投票の方法、この法律に規定する規制その他国民投票の手続に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならない。
2 中央選挙管理会は、国民投票の結果を国民に対して速やかに知らせるように努めなければならない。
3 投票人に対しては、特別の事情がない限り、国民投票の当日、その投票権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。
第三節 投票人名簿
(投票人名簿)
第二十条 市町村の選挙管理委員会は、国民投票が行われる場合においては、投票人名簿を調製しなければならない。
2 投票人名簿は、政令で定めるところにより、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製することができる。
3 国民投票を行う場合において必要があるときは、投票人名簿の抄本(前項の規定により磁気ディスクをもって投票人名簿を調製している市町村の選挙管理委員会にあっては、当該投票人名簿に記録されている全部若しくは一部の事項又は当該事項を記載した書類。第三十二条において同じ。)を用いることができる。
4 投票人名簿の調製については、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条の規定は、適用しない。
5 第一項の規定により調製された投票人名簿は、当該国民投票に限り、その効力を有する。
(投票人名簿の記載事項等)
第二十一条 投票人名簿には、投票人の氏名、住所、性別及び生年月日等の記載(前条第二項の規定により磁気ディスクをもって調製する投票人名簿にあっては、記録)をしなければならない。
2 投票人名簿は、市町村の区域を分けて数投票区を設けた場合には、その投票区ごとに編製しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、投票人名簿の様式その他必要な事項は、政令で定める。
(被登録資格等)
第二十二条 投票人名簿の登録は、国民投票の期日現在で年齢満十八〈二十〉年以上の日本国民(第四条の規定により投票権を有しない者を除く。)で、次のいずれかに該当するものについて行う。
一 国民投票の期日前五十日に当たる日(以下「登録基準日」という。)において、当該市町村の住民基本台帳に記録されている者
二 登録基準日の翌日から十四日以内に当該市町村の住民基本台帳に記録された者であって、登録基準日においていずれの市町村の住民基本台帳にも記録されていないもの(登録基準日後当該住民基本台帳に記録された日までの間に他の市町村の住民基本台帳に記録されたことがある者及び当該住民基本台帳に記録された日においていずれかの市町村の在外投票人名簿に登録されている者を除く。)
2 市町村の選挙管理委員会は、政令で定めるところにより、当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を調査し、その者を投票人名簿に登録するための整理をしておかなければならない。
(登録)
第二十三条 市町村の選挙管理委員会は、中央選挙管理会が定めるところにより、当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を投票人名簿に登録しなければならない。
(縦覧)
第二十四条 市町村の選挙管理委員会は、投票人名簿を調製したときは、中央選挙管理会が定める期間、市役所、町村役場又は当該市町村の選挙管理委員会が指定した場所において、前条の規定により投票人名簿に登録した者の氏名、住所及び生年月日を記載した書面を縦覧に供さなければならない。
2 市町村の選挙管理委員会は、縦覧開始の日前三日までに縦覧の場所を告示しなければならない。
(異議の申出)
第二十五条 公職選挙法第二十四条第一項及び第二項の規定は、投票人名簿の登録に関する異議の申出について準用する。
2 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第十五条第一項第一号から第四号まで及び第六号並びに第四項、第二十一条、第二十五条、第二十六条、第三十一条、第三十六条、第三十九条並びに第四十四条の規定は、前項において準用する公職選挙法第二十四条第一項の異議の申出について準用する。
3 公職選挙法第二百十四条の規定は、第一項において準用する同法第二十四条第一項の異議の申出について準用する。
(訴訟)
第二十六条 公職選挙法第二十五条第一項から第三項までの規定は、投票人名簿の登録に関する訴訟について準用する。この場合において、同条第一項中「前条第二項」とあるのは、「日本国憲法の改正手続に関する法律第二十五条第一項において準用する前条第二項」と読み替えるものとする。
2 公職選挙法第二百十三条、第二百十四条及び第二百十九条第一項の規定は、前項において準用する同法第二十五条第一項及び第三項の訴訟について準用する。この場合において、同法第二百十九条第一項中「一の選挙の効力を争う数個の請求、第二百七条若しくは第二百八条の規定により一の選挙における当選の効力を争う数個の請求、第二百十条第二項の規定により公職の候補者であつた者の当選の効力を争う数個の請求、第二百十一条の規定により公職の候補者等であつた者の当選の効力若しくは立候補の資格を争う数個の請求又は選挙の効力を争う請求とその選挙における当選の効力に関し第二百七条若しくは第二百八条の規定によりこれを争う請求と」とあるのは、「一の縦覧に係る投票人名簿への登録又は投票人名簿からの抹消に関し争う数個の請求」と読み替えるものとする。
(補正登録)
第二十七条 市町村の選挙管理委員会は、第二十三条の規定により投票人名簿の登録をした日後国民投票の期日までの間、当該登録の際に投票人名簿に登録される資格を有し、かつ、引き続きその資格を有する者が投票人名簿に登録されていないことを知った場合には、その者を直ちに投票人名簿に登録し、その旨を告示しなければならない。
(表示及び訂正等)
第二十八条 市町村の選挙管理委員会は、投票人名簿に登録されている者が第四条の規定により投票権を有しなくなったことを知った場合には、直ちに投票人名簿にその旨の表示をしなければならない。
2 市町村の選挙管理委員会は、投票人名簿に登録されている者の記載内容(第二十一条第二項の規定により磁気ディスクをもって調製する投票人名簿にあっては、記録内容)に変更があったこと又は誤りがあることを知った場合には、直ちにその記載(同項の規定により磁気ディスクをもって調製する投票人名簿にあっては、記録)の修正又は訂正をしなければならない。
(登録の抹消)
第二十九条 市町村の選挙管理委員会は、当該市町村の投票人名簿に登録されている者について次の場合に該当するに至ったときは、これらの者を直ちに投票人名簿から抹消しなければならない。この場合において、第二号の場合に該当するときは、その旨を告示しなければならない。
一 死亡したこと又は日本の国籍を失ったことを知ったとき。
二 登録の際に登録されるべきでなかったことを知ったとき。
(通報及び調査の請求)
第三十条 公職選挙法第二十九条の規定は、投票人名簿に登録される資格の確認に関する通報及び投票人名簿の修正に関する調査の請求について準用する。
(投票人名簿の再調製)
第三十一条 公職選挙法第三十条の規定は、投票人名簿の再調製について準用する。
(投票人名簿の保存)
第三十二条 投票人名簿及びその抄本は、第百二十七条の規定による訴訟が裁判所に係属しなくなった日又は国民投票の期日から五年を経過した日のうちいずれか遅い日まで、市町村の選挙管理委員会において保存しなければならない。