情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

ニュースバリューとは?~もんじゅ事故で理事長が会見で虚偽説明

2007-05-15 06:12:28 | メディア(知るための手段のあり方)
毎日新聞が伝えるとおり、【高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で95年12月に起きたナトリウム漏れ事故を巡り、内部調査を担当して自殺した動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現・日本原子力研究開発機構)職員の遺族が、同機構に1億4800万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は14日、請求を棄却した。山崎勉裁判長は「動燃側が職員に記者会見で虚偽発表を強いたとは認められない」と述べた】。

確かに判決の結論はそうだ。しかし、この判決は、当時の動燃理事長が、記者会見で正確な発言をしなかったことを認めており、判決の結果よりもそのことの方が重要であるにもかかわらず、多くのメディアが触れていないことは非常に残念だ。

この事件は、もんじゅのナトリウム漏れ事故現場を撮影したビデオを動燃が発表せず、まずは、16時に撮影したビデオについての隠蔽が問題となり、次に2時に撮影したビデオの隠蔽が問題となり、ついには2時に撮影したビデオが現場のもんじゅだけでなく、本社にも保管されていたことが発覚したために、それについて記者会見したことが発端となっている。すでにもんじゅ所長らはこの問題で更迭されていた。世間の非難を浴びていた。廃炉の危機にあったといってよい状況だった。この会見では、ビデオ隠しに本社が発覚したのではないかという重大なテーマが問題となっていた。

会見は、事故の翌月の平成8年1月12日のことだった。この日夕方、まずは、担当理事らによる一回目の記者会見が行われ、動燃側は、本社で2時に撮影したビデオがあることが分かったのは、12月22日から1月11日の間であるというあいまいな答弁で切り抜けようとしたが、それまでにビデオ隠しが問題となっており、そのような答弁で乗り切れるはずがなかった。会見に臨んだ理事・職員は、発覚の時期については留保し、確認すると述べてしまった。

そこで、理事長が引っ張り出され、2回目の会見が行われた。実は、理事長は、実は、本社に2時ビデオがあること12月25日に報告を受けていた(判決書26頁)。したがって、この2回目の記者会見で、12月25日にビデオが本社に保管されていたことが分かったと答弁することは可能だった。

しかし、理事長は、2回目の会見の際、冒頭で「昨日の夕方、動燃のビデオ隠しについての調査結果を聞いた」旨述べた(判決書30頁)。

この理事長発言の結果、3回目の記者会見で、担当職員がビデオが本社にあることが発覚したのは1月10日である旨発表せざるを得なくなり、その虚偽答弁が発覚することの責任を負って自殺したというのが、遺族側の主張である。この部分は裁判所は認めていない。

しかし、肝心なことは、理事長が2回目の記者会見の際、自らは12月25日に2時ビデオが本社に保管されていたことの報告を受けておきながら、記者会見の場では、報告を受けたのは1月10日だとしたことを裁判所が認定したという事実である。

実は12月27日、理事長は国会の委員会でナトリウム漏れ事故について報告したが、2時ビデオの本社内保管が発覚したことは報告していなかった。

そのうえ、さらに、1月12日の記者会見で理事長自らが虚偽発表をしたのである。そのことを今回の東京地裁は認定した。

もんじゅは、事故を運転されていなかったが、再開が予定されている。

福井新聞によると、【1995年12月のナトリウム漏れ事故以来、停止している高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開について、県民の59%が容認していることが、福井新聞社のアンケートで分かった。ただ「不安はあるがやむを得ない」とする消極的容認が48・3%で、複雑な県民感情を表す結果となった】という。


しかし、ビデオ隠しが相次いで問題となり、もんじゅ所長が更迭された後の会見ですら、理事長までもが虚偽発表をしたことが、県民の間で知れ渡ったら、それでも、もんじゅ再開について容認するだろうか?

 メディアは、結果のみを伝えたところが多かった。一部メディア(朝日=紙版、毎日)は、次のとおり、理事長の虚偽発言を伝えた。【弁護団は「理事長が会見で、うそを発表したことは判決も認定した。それをかばって成生さんが虚偽発表したのは明らかだ」と判決を批判した】(上記毎日)。

 他のメディア、特に地元メディアの奮起を期待したい。

 ニュースバリューは何なのか?!















★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしています(ここ←参照下さい)。