情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

ラルフネーダーの盟友が語る、市民が権力と闘うために最も大切なこととは…

2007-05-24 23:14:28 | メディア(知るための手段のあり方)
 アメリカの消費者運動の先頭に立ち、多くの生命・財産を守ったあのラルフ・ネーダーの盟友が、今日、弁護士会館で、講演を行った。彼の名は、アラン・モリソン。1966年、ハーバード大学ロースクール卒業後、1972年~2004年まで、ラルフ・ネーダーと共にパブリックシチズン訴訟チームを創設し、公益法弁護士として活躍した。レジュメをみて、改めて驚いたのは、消費者事件だけでなく、多くの情報公開訴訟を手がけていることだ。そして、講演を聴いて、その謎が解けた。

 彼は、こう語った。公益訴訟で一番大切なのは、情報開示である、情報開示の次に大切なのは、ずっと、後になる。情報開示ほど大切なものはない。

 そう、日本で公益訴訟についていれば、だれもが、思うこと。国、大企業は、常に証拠を隠す。積極的には提出しない。これでは、本当のことなんて分かるはずがない。しかし、それが日本では許されてしまう…。

 これに対し、我々は大きく声を挙げつつけなければならない。通常の訴訟で、国や大企業が証拠を隠していたことが分かったら、常にそのこと自体に対して、慰謝料請求訴訟を起こす。サラ金が取引経過を開示しないときに、慰謝料が認められるのだから、同様に重要な証拠を隠した場合、当然、訴訟の対象になる。

 また、政府高官がまともに答えなかったら、ただちに、訴訟を起こす。例えば、安倍が先日、靖国神社の春季例大祭に「内閣総理大臣」名で供物を奉納していたことが明らかになったが、その際、安倍は、靖国にかかわることが外交問題化している以上、参拝する、しない、供え物を出した、出さないということは申し上げない」と述べ、確認を避けた。幸い、辻元清美衆院議員が質問主意書を提出し、安倍晋三首相が靖国神社に「内閣総理大臣」名で5万円の供物「真榊(まさかき)」を奉納していた事実を認めたようだ。ただし、公金支出については、「政府部内で、公金を支出した事実がないことを確認した」とするものであり、供物奉納の経緯については「安倍首相の私人としての行為に関するものであり、政府としては事実関係を把握していない」とするにとどめているという。
 
 そこで、これに対し、政教分離違反で慰謝料請求訴訟を起こす。
 
 情報を開示しないなら、そのこと自体を常に問題にする、この姿勢を徹底することを呼びかけたい。依頼者を口説いてでも、情報不開示損害賠償請求訴訟を提起すること…これは弁護士に課せられた社会的義務の一つかもしれない。









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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新聞指導方策について(昭和15年2月13日)~営業部門を掣肘しろ

2007-05-24 01:08:03 | メディア(知るための手段のあり方)
 昭和15年1月15日、阿部信行総理大臣が辞任した。不人気の末、陸軍からも見捨てられたうえでの辞任だった。しかし、内閣情報部は、不人気になった原因は、メディアにあると考え、危機感を募らせた。そこで、情報部官僚らは、新聞の編集を思うがままにしようと、新聞をコントロールする方法を検討した。表題の、「新聞指導方策について」(みすず書房・現代史資料41「マスメディア統制2」)は、彼らが検討した結果を書面にしたものである。日付は辞任後1ヶ月足らずの2月13日。いかに彼らが素早く行動したかがよく分かる。さて、彼らは、いかなる方法を思いついたのか?

 まず、彼らは、【阿部内閣は新聞に倒されたとの評が高い】と書き始める。そして、【新聞記事の指導統制は極めて緊喫且つ重要なる政務であり、速かに実施すべき重大案件と云わねばならぬ】と書面の目的を示す。
 
 このあたりは、自民党が一度野に下ったことから、必死で言論統制を図ってきた自民党が考えていることと同じことだ。

 現状分析として、【政党勢力の挽回気勢と議会に於ける論戦の自由とに刺戟せられて、再び旧来の自由主義的立場に猛然復帰せむとする意欲にあることが看取される】と書かれており、メディアが政府を批判することがガマンできない様子がありあり。

 そのうえで、次のような新聞コントロール方法を検討している。

1)新聞の道義的協力を需むる方法
  相当の効果を上げつつあるが、一度困難なる政治問題に当面すれば効力は弱い。

2)法律的手続による方法
  新聞紙法を改正することが考えられるが、現状で無理。

3)行政措置、即ち検閲取締の強化による方法
  自ずから限度があるのみならず、強行すれば副作用が発生する。

4)新聞の営業部門を掣肘する方法
  新聞対策の鍵は新聞の営業を押さえることだと喝破。
 ①新聞用紙が配給制度だったため、これを利用し、政府が各新聞社への要旨配給量を決定する。
 ②同盟通信社と電通との一体的運営を通じて、広告料金について、同盟の発言権(同盟を通じて行う政府の支配力)を獲得すれば、政府の新聞に対するにらみは更に強化される。

 
 …どこかで聞いたような話ですね。この文書は、何と太平洋戦争開始2年前に作成された。今の政府も、放送法を変え、メディアを掌握しようとしている。果たして戦争何年前なのだろうか…。









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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