情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

なぜ動燃理事長の虚偽にニュースバリューがあるのか~もんじゅナトリウム漏れ事故自殺事件

2007-05-16 02:03:28 | メディア(知るための手段のあり方)
 昨日、動燃職員がもんじゅナトリウム漏れ事故に関連して虚偽の発表をした後で自殺した事件について遺族が動燃の責任を問うた裁判の判決について取り上げた。その際、事故後の現場ビデオ隠しに関する記者会見で動燃理事長も真実を述べなかったことが、判決で認定されたことが問題であり、そこにニュースバリューがあると述べた。もちろん、当時の問題に過ぎないというならば、理事長はもう辞めているのだから、取り上げる価値は低いのかも知れない。しかし、本件では、裁判の過程で組織的な隠蔽工作が行われた。
 
 すなわち、本件では、当時の理事長(退任)をはじめ、当時の安全担当理事(退任)、当時の広報担当理事(退任)、当時の広報課長(退職)、当時の秘書役(退職)、当時の文書課係長(現役)、当時の広報室職員(出向元へ復帰)の合計7人が証言台に立った。

 証人の先頭が理事長だった。この理事長への反対尋問の際、12月25日には、2時ビデオが本社に存在することが理事長に報告されていたことを示す内部文書が示され、理事長はその内部報告書自体は否定できなかった。それにもかかわらず、この理事長は、1月12日の記者会見で自分に報告があったのは2日前だと発表したことについては、それが嘘だったとは最後まで認めなかった。このことはまぁ、よしとしよう。自分の嘘を自分で認めるのは容易ではあるまい。

 しかし、その後に続いた6人のうち、理事長への報告を知り得たはずの最低4人のいずれもが、理事長への報告があったことを認めなかった。これは、組織的な隠蔽以外のなにものでもない、と評価されても仕方あるまい。

 つまり、動燃は、今回の裁判の過程で、不合理な当時の理事長の証言を最後まで支える方向での証言を動燃側職員にさせたのである。このことが、現在も動燃の体質が事故当時の隠蔽体質から脱却していないことを表しているのではないだろうか。

 自殺した職員は、理事長にあてた遺書の中で、「いずれにしろ、理事長が正直であることが第一であり、決して隠すことのない様言われていましたが、私も同感であります」と書いた。数時間前に理事長が嘘を発表したことを受けて、自分が記者会見の場に臨んだばかりであったにもかかわらず、このような遺書を書いた時、彼の胸に去来したのは何か?

 彼が、「大変な時期に理事長として頑張られている姿に敬服しておりますが、それだけに己れの失態を重く受け止めています」と書いた時に、彼の頭には何が浮かんだのか?

 それに続け、「申し訳ありませんでした」という謝罪ではなく、「誠に無念です」と書いたのは何故なのか?

 もんじゅがどうしても再開するのであれば、動燃の幹部職員全員にこの問題を自分自身の問題としてとらえて、日々の業務にあたってもらいたい。


 そして、メディアも、職員の自殺によって、本来解き明かされるべき理事長の虚偽発表が見過ごされたことを受け止め、なすべきことをなしてほしい。

 写真は、こちらより。












★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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