映画「靖国」の上映が都内で全て中止されたと伝えられている。日本の首都であり文化的中心都市である東京、フランスで言えばパリ、米国で言えばニューヨーク、そういう都市で、他人の権利を侵害するようなものではない映画の上映が中止されたことはエポックメーキングなことであり、ぜひ、新しい教科書では取り上げてもらいたいもんだ。早速、本題に入る。
今回の靖国問題、発端は国会議員による上映要求だった。しかし、ここであまり指摘されていない大きな問題がある。
国会議員が自ら直接上映要求をしたのではない、文化庁が国会議員に代わって要求をしたということだ。3月14日の朝日新聞には次のような記事が掲載されている。
【靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」に対し、政府出資の基金からの助成金支出を自民党の一部議員が問題にし、全国会議員を対象に上映会が実施されたことに関連して、渡海文部科学相は14日の会見で「案内状の中に文化庁が協力というくだりがある。文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」と述べ、文化庁を厳重注意したことを明らかにした。
12日に実施された上映会は文化庁(文科省の外局)が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていたという。
助成金の支出について渡海氏は「映画を見ていないので、コメントは差し控えたいが、文化庁(が所管している独立行政法人)において専門家による手続きを経て選ばれたと聞いている。それに対して、様々な意見が出ているということだから、そういう意見も聞いたうえで判断したい」とした。】
渡海文科相の的外れの批判(というか、文化庁への圧力?)はさておいて、重要なのは、【12日に実施された上映会は文化庁が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていた】ということだ、
何のことはない、国会議員の要求を聞き入れ、文化庁が配給会社に圧力をかけたわけだ。「開催しろよ、さもないと…」
その結果、映画の内容がゆがんだイメージでとらえられ、上映中止に至った。
もちろん、事前の上映を求めた国会議員にも問題がある。なんだか、ETV番組改編事件の際のNHKによる安倍らに対する事前説明を思い起こさせる。
そして、映画館も映画の内容からすれば、たいしたことないのに、中止するなんて文化で飯を食っているものとしての社会的義務をどう考えているのか、と思う。
しかし、最も問題なのは、国会議員から、事前上映会を開くよう迫られた文化庁が「そんなことはできない。どうしても要求したいのなら、自分でしたらどうか」と突っぱねることができなかったことだ。自ら、仲介をすることで、泥沼にはまってしまった。
何をびびっているのか知らないが、文化行政を預かる者として、圧力に屈して事前説明を求めるとは何事か!他の先進国の同じ部門がこのようなことをしでかしたら、それだけでスキャンダルになるはずだ。何のために、外局になっているのか、それは、文化行政を政治から守るためではないのか。「恥を知れ」、ていうのはこういう時に使う言葉だと思う。
それにもかかわらず、文科相は、事前上映会の案内に「協力 文化庁」とのクレジットがあったことをもって、「文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」などと的外れの批判をする体たらくだ。
大臣は、事前上映に文化庁が協力して検閲まがいのことをするとは何事か、直ちに事前上映を中止せよ、と命じるのが当然だろう。
国会議員、政府、官僚が一体となって、映画を上映中止に追い込んだ国、独裁国家以外にこんな国があるだろうか…。
ミニミニ上演会が都内各地で開かれるようにならないだろうか?
※冒頭の画像のうち、マスキングは管理者の責任で行ったものです。
★関連イベントの紹介
4.4緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」
NHK番組改変事件裁判 最高裁口頭弁論開廷に向けて
■緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」
被告側の上告理由書は却下、しかし上告受理申立は受理。
これっていったいどういうことなのか?
NHKは何を問題とし、VAWW-NETはどう反論したか?
見通しは??
申立てが受理されたBRC審理については?
原告弁護士全員で説明
■日時
2008年4月4日(金) 18:30(開場18:00)
■会場
東京芸術劇場5階 中会議室
(池袋駅 2b出口直結 または 西口出て徒歩2分)
資料代 1000円
■プログラム
* 最高裁で何が問われようとしているのか?(中村秀一弁護士)
*被告側の上告受理申し立てとVAWW=NETの反論
説明義務違反、期待権の侵害について(緑川由香弁護士)
共同不法行為について)(大沼和子弁護士)
*BRCへの申し立てとNHK側の答弁から(日隅一雄弁護士)
*最高裁に求めたいこと(飯田正剛弁護団長)
*原告から(西野瑠美子VAWW-NETジャパン共同代表)
■主催
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET ジャパン)
連絡先
TEL/FAX 03-3818-5903
E-mail vaww-net-japan@jca.apc.org
URL www.jca.apc.org/vaww-net-japan/
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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今回の靖国問題、発端は国会議員による上映要求だった。しかし、ここであまり指摘されていない大きな問題がある。
国会議員が自ら直接上映要求をしたのではない、文化庁が国会議員に代わって要求をしたということだ。3月14日の朝日新聞には次のような記事が掲載されている。
【靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」に対し、政府出資の基金からの助成金支出を自民党の一部議員が問題にし、全国会議員を対象に上映会が実施されたことに関連して、渡海文部科学相は14日の会見で「案内状の中に文化庁が協力というくだりがある。文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」と述べ、文化庁を厳重注意したことを明らかにした。
12日に実施された上映会は文化庁(文科省の外局)が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていたという。
助成金の支出について渡海氏は「映画を見ていないので、コメントは差し控えたいが、文化庁(が所管している独立行政法人)において専門家による手続きを経て選ばれたと聞いている。それに対して、様々な意見が出ているということだから、そういう意見も聞いたうえで判断したい」とした。】
渡海文科相の的外れの批判(というか、文化庁への圧力?)はさておいて、重要なのは、【12日に実施された上映会は文化庁が配給・宣伝会社に求めたことがきっかけで開かれ、会場は文化庁が手配した。国会議員あての案内状には「協力 文化庁」と書かれていた】ということだ、
何のことはない、国会議員の要求を聞き入れ、文化庁が配給会社に圧力をかけたわけだ。「開催しろよ、さもないと…」
その結果、映画の内容がゆがんだイメージでとらえられ、上映中止に至った。
もちろん、事前の上映を求めた国会議員にも問題がある。なんだか、ETV番組改編事件の際のNHKによる安倍らに対する事前説明を思い起こさせる。
そして、映画館も映画の内容からすれば、たいしたことないのに、中止するなんて文化で飯を食っているものとしての社会的義務をどう考えているのか、と思う。
しかし、最も問題なのは、国会議員から、事前上映会を開くよう迫られた文化庁が「そんなことはできない。どうしても要求したいのなら、自分でしたらどうか」と突っぱねることができなかったことだ。自ら、仲介をすることで、泥沼にはまってしまった。
何をびびっているのか知らないが、文化行政を預かる者として、圧力に屈して事前説明を求めるとは何事か!他の先進国の同じ部門がこのようなことをしでかしたら、それだけでスキャンダルになるはずだ。何のために、外局になっているのか、それは、文化行政を政治から守るためではないのか。「恥を知れ」、ていうのはこういう時に使う言葉だと思う。
それにもかかわらず、文科相は、事前上映会の案内に「協力 文化庁」とのクレジットがあったことをもって、「文化庁がこの映画を推薦していると誤解を与えかねない表現だ」などと的外れの批判をする体たらくだ。
大臣は、事前上映に文化庁が協力して検閲まがいのことをするとは何事か、直ちに事前上映を中止せよ、と命じるのが当然だろう。
国会議員、政府、官僚が一体となって、映画を上映中止に追い込んだ国、独裁国家以外にこんな国があるだろうか…。
ミニミニ上演会が都内各地で開かれるようにならないだろうか?
※冒頭の画像のうち、マスキングは管理者の責任で行ったものです。
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4.4緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」
NHK番組改変事件裁判 最高裁口頭弁論開廷に向けて
■緊急集会「最高裁は何を裁こうとしているのか?」
被告側の上告理由書は却下、しかし上告受理申立は受理。
これっていったいどういうことなのか?
NHKは何を問題とし、VAWW-NETはどう反論したか?
見通しは??
申立てが受理されたBRC審理については?
原告弁護士全員で説明
■日時
2008年4月4日(金) 18:30(開場18:00)
■会場
東京芸術劇場5階 中会議室
(池袋駅 2b出口直結 または 西口出て徒歩2分)
資料代 1000円
■プログラム
* 最高裁で何が問われようとしているのか?(中村秀一弁護士)
*被告側の上告受理申し立てとVAWW=NETの反論
説明義務違反、期待権の侵害について(緑川由香弁護士)
共同不法行為について)(大沼和子弁護士)
*BRCへの申し立てとNHK側の答弁から(日隅一雄弁護士)
*最高裁に求めたいこと(飯田正剛弁護団長)
*原告から(西野瑠美子VAWW-NETジャパン共同代表)
■主催
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET ジャパン)
連絡先
TEL/FAX 03-3818-5903
E-mail vaww-net-japan@jca.apc.org
URL www.jca.apc.org/vaww-net-japan/
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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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