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今日の筆洗

2019年02月18日 | Weblog

 二匹の蛇が互いに絡み合っていたそうだ。夢にそんな気味の悪い光景が出てきたらさぞや気分が悪かろう▼諸説あるが、この悪夢が大発見につながったという伝説がある。米国の分子生物学者のジェームズ・ワトソン博士。二匹の蛇が絡み合う様子からDNAの二重らせん構造を着想したという。一九五三年のことである。昔から蛇の夢は吉兆と聞くが、この発見でノーベル医学生理学賞を受賞しているからワトソンさんの悪夢も縁起が良かったか▼こっちの悪夢をめぐる論争は吉兆とは無縁だろう。安倍首相が自民党大会でかつての民主党政権を「悪夢のような」と呼び、これに民主党代表だった岡田克也さんが撤回を求め、かみついた▼民主党政権時代が夢のようだったとは言えない。が、政権を失って約六年。いつまでも悪夢と呼び、それが嫌なら自民党を支持して、という首相の宣伝方法もいささか品に欠けよう。そもそも統計不正問題一つをとっても、今の政権もばら色の夢では決してない▼岡田さんにも味方はできない。悪夢はともかく、その政権は迷走を重ね、国民の期待を裏切った。これは否定できぬ▼とすれば、手は一つしかあるまい。首相の言う悪夢の反省に立って、かつての民主党出身者が国民が期待できる新しい夢、新しい政治構想を見せること。それがなければ、野党に吉兆はいつまでも訪れないだろう。

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