東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2019年02月28日 | Weblog

久しぶりに出席した結婚披露宴で新郎新婦が自分の生まれた時の体重と同じ重さのお米をそれぞれの両親に贈るという場面があった。「体重米」というらしい。初めて見たが、最近はよくある演出らしい▼ずしりとしたお米を渡されたご両親は涙ぐんでいらっしゃったが、これはよく分かる。腕に抱いたその本物の重さが晴れの日を迎えた二人の生まれた当時のことやこれまでの日々を鮮明によみがえらせてくれるのだろう▼二六八グラム。その男の子がいつの日か、結婚披露宴で親御さんに贈る、「体重米」は「二合」(三百グラム)にも満たないか。それでも、その「軽さ」に対し大きな歓声と拍手が送られるだろう。そんな空想をする。慶応大学病院は昨年八月、体重二六八グラムの男の子が生まれ、このほど退院したと発表した▼元気に退院した男児としては世界最小だそうだ。生後五日目の写真を拝見したが、周りはさぞ心配したことだろう。大人の手のひらに収まってしまいそうである▼退院時の体重は三二三八グラム。もはや自分でお乳も飲めると聞いて、うれしくなる。体重三〇〇グラム未満の救命率は低いそうだが、男の子は悪い確率にも立派に打ち勝った▼「この世に赤ん坊が生まれてくるのは驚嘆すべき大事業だ」。英政治家チャーチルの言葉を思い出す。そういえばその大宰相も予定よりも早く生まれた未熟児だったそうである。

 
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】