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今日の筆洗

2022年02月12日 | Weblog

沙羅双樹(さらそうじゅ)はインド原産の常緑樹。高さは三十〜五十メートル、幹の直径は一〜二・五メートルという。淡黄色の小さな花をつける▼仏教では聖なる木とされる。釈迦(しゃか)の死の際、その場所の四方には二本ずつ計八本の沙羅の木があったが、死を悲しみ、にわかに白く変わったとも伝わる。万物は変化してとどまることがない<無常>を象徴する木とされる▼そう名付けられた理由は知らないが、高梨沙羅選手(25)は少しでも元気を取り戻しただろうか。北京五輪のノルディックスキー・ジャンプ混合団体で、スーツの規定違反で失格になった▼100メートルを超えた一回目のジャンプ後の検査で、判断された。大飛躍の喜びが一転、悲しみに変わることも<無常>なのかもしれないが、あまりに残酷な展開。よくぞ二回目を飛んだものだと敬服する▼高梨選手は自身のインスタグラムに「私のせいでメダルをとれなかった」「深く反省しております」などと投稿したが、仲間やファンから激励のメッセージが相次いでいるという。本人は「今後の私の競技に関しては考える必要があります」とも書いた。心の整理にはまだ時間がいるのかもしれない▼インドはスキーのジャンプが盛んとは聞かないが、古代のサンスクリット語で<サラ>は<高く遠いさま>も意味するという。世の万物が流転するのなら、人生も悪いことばかり続くまい。花はまた咲く。