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今日の筆洗

2022年02月21日 | Weblog

親の遺産を使い果たして、無一文となった男がいた。気の毒に思った友人の一人から旅行かばんをプレゼントされる▼ところが、貧しい男には入れる物もない。しかたがなく、自分でトランクに入ってみると、なんと空を飛ぶことができる。アンデルセンの童話「空飛ぶトランク」である▼「空飛ぶトランク」「空飛ぶじゅうたん」「空飛ぶゆうれい船」…。飛ぶはずがないものが飛ぶ。「空飛ぶ」という形容句にはどこか、人をわくわくさせるところがある。もはや夢ではないとは聞いていたが、この「空飛ぶ」があたりまえになる日も遠くないようだ。「空飛ぶ車」である▼滑走路も必要なく、渋滞とも無縁で目的地までひとっ飛び。新しい移動手段として世界中で開発競争が進むが、航空大手のANAホールディングスがこのほど「空飛ぶ車」事業への参入を視野に、トヨタ自動車の出資する米新興企業「ジョビー アビエーション」と業務提携すると発表した▼開発競争ではやや後れを取ったと聞く日本だが、大手の参入によって勢いがつくか。日常の足というか、羽になるのは当分、先だろうが、災害時や医療現場には強い味方になるだろう▼童話ではいい気になった男が空飛ぶトランクから花火を打ち上げ、その火が燃え移り、トランクは灰となった。開発や実用化で最も留意すべきは安全性であることは言うまでもない。