『不況と恐慌は程度の違いにすぎない』という説もある。 しかし、根本的な違いを指摘する経済学者もいる。
工業化社会以前の不況は、主に供給不足が原因であった。 当時の主たる供給源は第一次産業、食糧生産である。 天候不順などによる不作が農漁村の収入を激減させ、それが社会全体に波及、不況が発生した。
ところが、産業革命以降、農林漁業などの機械化が進み、第一次産業の供給能力は飛躍的に向上した。 さらに、第二次産業が勃興、大量の耐久財があらわれる。 すると、貨幣の流通速度が激減。 イギリスでは、それまでの供給不足が一転、需要不足、買い手不足になってしまい、1825年、世界初の恐慌となった。 つまり、供給不足ではなく、需要不足によって発生する大不景気が、恐慌なのである。
需要不足による大不景気を見誤って、大恐慌にしてしまったのが、1929年アメリカ発の世界恐慌である。
当時のスタンダードな経済理論は、需要不足ではなく、供給過剰が問題だと認識していた。 だから、ブラック・チューズデー後、アメリカ当局は今とは正反対の金融引き締めをやり、株価暴落を実体経済の大恐慌に変えてしまった。 その後、アメリカ経済を回復させるのは、太平洋戦争による巨額な軍事(財政)支出だったことは有名である。
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