仕掛けぶりの雨が上がる。どう見てもツキがありそうでない一回のエレベータ
タクシーから降りる爺。見たことがある。エレベータを止めてあげる。はたして
行先は同じ。カラオケ喫茶。あとで聞いたが、なじみだそうだ。隣に座る。
なかなかうまい。よく立ち寄るプロ歌手の弟子。なんと喫茶に弟子が4人。
通りでみんなうまい。負けないで歌うが、オーダーシートをママがなくす。
わたしの歌がなかなか出ない。雪の花。ありきたりだ。退屈な歌の競演。
興味あるのは、蛍火海峡。覚えたい。大ヒットするかもしれない。いい歌だ。
覚えやすい。今度はストローがない。コーラをいただいてもストローがない。
飲みにくいのでママに買ってきてもらう。ハイストロー自分で包装はとってね。
よく気が付くが、雑かな。色気もない。ビール飲んでるから、色気出せよ。
お客さんからもらって飲むまま。酒類は選ばないのだそうだ。のみすけ。
これから長くお付き合い宜しく。ひょっとして大歌手になるかも。いまのうち
お嬢だってわからない。プロが絶賛の声。誰もが好む声してる。いまのうち
毎日女性に囲まれて、楽しいはずの翁。のらない。あきてしまったか。
じじいになるまで頑張らなくちゃ。分った。ママがのってくれないからだ。
ガマガエルはあんなに踊ってくれるのに。あなたが踊れる歌を歌わない。
しんみりを好んで歌う翁。雪の花。恋瀬川。のれないわ。手を握って
いつかチークダンスしたい翁。ホラ熱い夜の歌詞にあるように。
背丈が合わないわ。ママは背が高かった。とーるこえのまま。さすがぷろ。
ひとっプロあびさせてくれ。目の前に銭湯がある。そうか。わかった。ままは
戦闘力が高いのだ。かめかめ波を食らって、退散する翁。加湿器が見送る。
家内とゆうげが待っている。ルージュがほほについている。ちがうって
引っかかれたの。ママは猫族だった。ホホー信じられるか。だろうな。