ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

27-2 君が消えた日

2023年10月26日 | 第27話 月明かりの下で



 1762年の夏の夜の事。

 ハリソンさんは
当時センティメンタルな
友情を結んでいたアラベラさんや
大学時代からの友人まいけるっち、
彼の妻のベランダさんと4人で
前半第18話にも出て来る
ロンドンのプレジャーガーデン
Fountain & Forest Garden(泉森園)
へと出掛けました。

 18世紀の英国での
sentimentalという言葉、
現在のセンチメンタル(感傷)
とは違う意味を持っていました。

 また、
ハリソンさんとアラベラさんの仲は
不義密通では決して無く、
現代のセカンドパートナーとも
似て非なるものなのでした。

 

27-1 天使達の行列がやって来た

2023年10月16日 | 第27話 月明かりの下で



 オテル・ヌーヴェルパペへと
やって来たのは、
サン・フランソワ会が礼拝に
使わせてもらってる教会の神父さん。
フランソワ会士3名、
そして彼らが世話をしている
孤児院の子供達。

 ローラン神父は
先っぽに〈 聖マルタンが
着る服すら無い男性に
与えるために自分のマントを
切る姿 〉の人形が付いた棒を
持っています。

 子供達は途中
聖マルタンの歌や
童謡(21世紀になっても残っている曲もある)
を歌いながら少し寒い夜道を
キャッキャッと明るく
楽しそうに歩いていました。 






 綺麗な声の天使達は
15世紀に作られた
「ノエル(クリスマス)が来ると」
という曲の一部を聖マルタンを賛美する
替え歌にした形で歌っていました。
(歩きやすいようにリズムも変更され、
響きも明るくしている)

 祝日のすぐ後には
クリスマス期間突入となるので
前倒しして使わせて
もらってますといった所。




登場人物紹介と今までのあらすじ

2023年10月15日 | 第27話 月明かりの下で


  1765年、
 英国人の冴えないノベライズ作家
 ハリソン氏は起死回生の
 オリジナル作を書くために
 イタリア旅行へと旅立ち、
 フランスでマルセルが
 加わります。

  旅の途中では当時の
 英国の人気作家トリストラム・
 シャンディ氏の正体を知りたがる
 人々が知ってるかもしれない
 ハリソン氏に次々と
 近付いて来ます。

  アヴィニョンまで辿り着いた
 ハリソン氏とマルセルは、
 ホテルの主人一家や
 彼らの友人クレールと
 親しくなります。

  ホテルにはクレールの
 元恋人で実はべルサイユ
 貴族のエクターニュ閣下
 (エクトル氏)が
 クレールを探してやって来ます。

  その事で、
 明日は聖者マルタンを
 祝う日だというのに
 ホテル内の人間関係が
 一気に険悪となって
 しまうのでした。

 

  ※「トリストラム・シャンディ」は
    18世紀英国の作家
    ローレンス・スターン(1713〜68)が
    書いた実在の小説ですが、
    この物語はそれをもとにした
    フィクションです。



  本編開始は来週の予定です。





第27話 【月明かりの下で】 あらすじ

2023年10月13日 | 第27話 月明かりの下で



       1765年11月10日、
     サン・マルタンの祝日前夜と
     当日を過ごすために
     孤児院の子供達が
     神父さんや修道士さん達と
     提灯行列しながら
     オテル・ヌーヴェルパペへと
     やって来ます。

      その中には
     デノワ家姉弟の幼なじみ
     ヴァンサンもいました。
     彼は将来の進路について
     ある決意をしていたのです。

      その夜、旅館の中では
     恋愛の混戦、親子喧嘩、
     幾つかの議論、
     トンデモ陰謀論の披露他、
     様々な事が起こるのでした。