ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

23-9 少年の言葉にフリーズする成年男子達

2021年07月26日 | 第23話 才能開花



 13歳の男の子の口から出たのは、
まるで心療内科のカウンセラーみたいな言葉だった。
フロイトやユングが生まれるのは
ずっと先の時代なので、
当時そんな職業が存在する訳はありません。

 そのような役割を果たしていたのは
キリスト教会に関係する方々でした。

 アラン君が似ているという父親は、
実は元修道士でしたが、
とある驚くべき事情で辞めてしまい、
現在では旅館のコンシェルジュと、
ナミヤ雑貨店みたいな副業もしながら、
妻子と呑気に暮らしているのでした。

 中段のコマはハリソン&マルセルの心理描写で、
▶小さく描いてる方は意識の浅い方に出て来る
 反射的な意識
▶背景に大きく描いてる方は意識の深い方にある
 分析的な意識
ですが、心の中のアクションとは裏腹に、
二人の外観は驚愕の像
もう唖然として
その場に立ち尽くすばかりなのでした。

 そして、いっその事ととばかりに、
ハリソンさんはガラリと
話題を変えてしまいました。

 「トリストラム・シャンディ」の中の登場人物にも、
質問に答えられなかったり、
リアクションに困ると
話題変更してしまう人物がよく出て来ます。




23-8 食材で C'mon Baby されてしまった人達

2021年07月19日 | 第23話 才能開花



 18世紀にはアメリカ大陸も「インド」と呼ばれていました。
西洋各国が設立した東西インド会社が
アジアや中南米に進出し、
領地の奪い合いから戦争が起こりました。

 アジアと言えば香辛料ですが、アメリカといえば
今まで西洋には無かった食材の宝庫でした。
じゃがいも、さつまいも、インゲン豆、ピーナッツ、
とうもろこし、トマト、カカオ、ブルーベリー、クランベリー、バニラ、かぼちゃ、ピーマンも含む唐辛子類、
パイナップル、アボカド…皆アメリカ大陸の原産です。
 特にじゃがいもとトマトについては信じがたい話ですが、
16世紀初めにヨーロッパに入って来てから、かなりの間、
食べると病気になるとまで言われていました。

 マルセルの先輩の一人、ジャックという名ですが、
入隊した頃は痩身の美少年でした。
しかし、職場支給の食事の方が実家より良かったのか
太ってしまいます。
それでも隊長判断で鼓笛隊からは外されませんでした。

 食べたい人には食べ物の情報が続々と入って来ます。
ジャックの頭の中は新大陸の食材の知識で一杯になり、
遂には安くて沢山食べられる場所に住んでしまえ!
と北米に行ってしまいます。

 そしてマルセルは、ああ言っているのですが、
実際は、ジャックに呼ばれてUSA(もうその頃にはこの国名になっていた)に移住する事に。

 マーセラス・トロイラスと、アメリカ人風なんだか、古代ローマ武将か政治家みたいで貴族的なんだか分からないような氏名を名乗りますが、
彼を知っている人達はマーク・トロイ、マーシィ・トロイと
親しみを込めて呼んでいました。

 ジャックはマルセルの社会的地位がどんなに上がっても、
公私共「ハナちゃん」と呼び続け、
二人は「トリストラム・シャンディ」の
ウォルターとトバイアス兄弟のように
雑談で盛り上がっていました。

 ジャックが言っている「しゅわっち」と言ったら
大元はウルトラマンですが、「ベルばら」で兵士が
人から怒られた時に言ったりもしています。

第1~21話は「漫画 ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN -フランス通過編- (前半)
で、ご覧になれます。





23-7 王宮勤務者の給料が気になる人達

2021年07月13日 | 第23話 才能開花



 このフルート奏者はクヴァンツといい、
プロイセン国王フリードリヒ2世に仕えていました。 
王には軍事力による領土拡大の野望がありましたが、
一方でフランス文化に心酔していた若い頃から
フルートを続けていました。
 宮殿内の音楽会ではフルート曲の自作自演も
行なっていたのです。
師匠のクヴァンツのみ、王にダメ出しができ、
大変優遇されていたのでした。
 
 そんな職場に鬱屈としていた楽師もいました。
(IOC会長ではなく作曲家の)バッハの次男、
カール・フィリップ・エマヌエルでした。
年俸はクヴァンツの約7分の1。
「鍵盤叩いていても明るい未来はない」
と転職先を探していました。
 その後、父の親友で自分の名付け親、
ハンブルグ市の音楽監督でもあるテレマンが死去。
後任の募集に応募し、
見事王宮脱出の道が開けたのでした。
 「王からは引き止められたし、昇給の話もあった」
とエマヌエル・バッハは言っているのですが、
実際は…あっさり退職願いが通っていたようです。
 
 ハリソンさん、前話の最後と今話の始めで
嘘をついています。
there の前には to がいりません。
誰も突っ込まないので調子に乗り、
続けて自分の経歴でも嘘をついています。
 私は修正するチャンスはいくらでもあったのに、
1年以上もこれを放置してしまいました。

なので、もう上記の設定にしてしまいました。

 ですが、ハリソンさんが
このページで言っているのは実話です。

 それから、中段のハリソンさんのセリフ、
何気に「第4の壁に挑戦」しています。

23-6 兵士は将来の夢を語らない方がいいのか?

2021年07月06日 | 第23話 才能開花



 お国に残留組の3人には、
戦場で隊列を組む時の行進曲や
戦闘時に戦意を高める効果音などを演奏する
チャンスはありません。

 とはいえ、フィクションの世界では、
兵士が将来の夢を語ると死ぬ確率がアップします。
2人の先輩は大丈夫なんでしょうか?

 プロヴァンスのある村の広場には、
ナポレオンが活躍した時代の戦いで
太鼓を叩いていた、ある実在の兵士の像が
現在でも立っているそうです。

 マルセルは軍隊にいた頃、
「ハナちゃん」La Fleur と呼ばれていました。
楽隊自体が町の人全体や近隣地域の人達からも
アイドルグループのような人気ぶり。
年少者で可憐な姿のマルセルは、
楽隊の「花」として、
とりわけ人気者だったのです。

 その事でマルセルは、
英国のマライア・バートラム准男爵令嬢が、
自宅のマンスフィールドパークで
ある小説を読む時代になっても、
「自分はその登場人物のモデルなのだ」と自慢し、
フルートでは懐メロ吹いて、
周りから呆れられる事となるのです。




23-5 笛吹きに出世の道は有るに非ず

2021年07月04日 | 第23話 才能開花



 諸事情により、
またアップが途絶えてしまっていましたが、
実は、25話までは描けてはいます。
このページは、初めてお絵かきアプリを使い、
スマホで編集してみました。



 以前はPCで全て編集していましたが、
お絵かきアプリ+スマホで編集する方が格段に楽なので、
これからその方法で細々と
アップして行こうかと思っています。

 ハリソンさんがアラベラさんの情緒不安定に
振り回された挙句に失恋、意気消沈していた頃、
マルセルは、お国のために何かしたい若者の一人として、
軍隊に入っていました。

 当時フランスは東インド(現在インド)と
西インド(現在カリブ海周辺地域)の覇権をめぐり、
英国と戦っていました。

 しかし、日本が第2次世界対戦末、
アメリカに負け続けたように、
フランスは次々と領地を失って行きます。
7年戦争終結後には、カナダとルイジアナも
英国に奪われる事に。

 上半分のアメリカでの勢力を失ったフランスの恨みは、
北米13州の英国本国への憤懣とシンクロ。
独立戦争でフランスは米軍側に味方し、今度は英軍が敗退。
ゴネる国王ジョージ3世を、
ノース首相が涙を流して懇願し説得。
パリで講和条約締結後、アメリカ独立が確定したのでした。

 とはいえ、フランス側も人を呪わば穴二つ。
合衆国成立がフランス国民の意識を刺激し、
かの大革命が起こってしまうのです。

 楽隊の人達が演奏しているのは、
最前列2名が小太鼓
2列目はオーボエ1名+F管フルート2名 
最後列でマルセルがピッコロを吹き、
お隣は低音楽器のセルパンという、
今では楽器博物館でしか見られない楽器を吹いています。

第1~21話は「漫画 ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN -フランス通過編-
で、ご覧になれます。