ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

それで、リュリVSリヒャルト・シュトラウス…どっちの曲を使ってたんだ?

2024年08月20日 | 各話末エッセイ
  
 
 貴族になりたい
17世紀・ルイ14世時代の
フランス平民富裕層の
ジュルダン氏。
娘の恋人には
「貴族でないから」
とダメ出し。
恋人はトルコの王子へと
従僕によって仕立て上げられ、
娘と成婚へ…モリエール作
「町人貴族」イメージ画。


 もし、
「町人貴族」を
選んで演劇鑑賞会で
上演されていたとしたら、
劇音楽はリュリと
リヒャルト・シュトラウス
どっちを使って
いたんだろうか?


 …と今だに考えて
しまう事があります。

 校内文集によると、
その年の何年か前の
演劇鑑賞会で一度
上演されていて、
「衣装と音楽と
ダンスが素敵だと
大好評だった」

と書かれていますが、
どっちの音楽を
使ったかは不明なの
でした。

 CDとかDVDとかで
観たり聴いたりが
現在できるんだとしても、
あの時に生で見とけば
良かったと
正直悔しいです。
吸収力が高い年の頃に
自分ではお金を払わずに
見られたんですから。


 リュリは
童謡「月の光」
謎の作曲者候補の一人
でもあります。
牧歌劇「アミンタ」
作者のタッソーが
原作を書いたオペラ
「アルミード」
も作曲しています。

 そして、
モリエールの他の
劇作品の幾つかにも
音楽を付けているの
でした。

リヒャルト・
シュトラウスは
あの有名過ぎる
「ツァラトゥストラは
かく語りき」の

作曲者です。

 シュトラウスの
曲の場合だと
活躍した19世紀後半
〜20世紀を舞台に
変えても使えそうな
雰囲気でした。

 「町人貴族」の主人公
ジュルダン氏、
貴族になりたくて
あれやこれや
頑張ってみるとこ
とか、
イメージが年取った
USAでのマルセルと
繋がるんだけどな〜。

 マルセル、
ローレンス・スターンの
「トリストラム・シャンディ」
のウォルターと
トランプ元 (これから?)
大統領
とジュルダン氏を
合わせたみたいな人になる
予定なんですけどね――。


モリエールVS戦争秘話…あの時の選択は間違っていた?!

2024年08月16日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ⑦の1】


 今週、NHKFMの
朝の古楽番組を聴いてたら
17世紀フランスの
劇作家・俳優モリエールの
原作に付けられた音楽

を特集していました。

 そして、8月は
第二次世界大戦終結の月。
関連番組がNHKを中心に
連日放送されています。

 それで思い出すのは
学生時代の事。
校内行事の演劇鑑賞会で
私は演目決定の
投票権を持つ一人
だったのでした。


 幾つかある
候補作が絞られ、
最終候補は

「南の島に雪が降る」
  VS
モリエール作の
「町人貴族」

2つの競り合い!
一騎打ち!!
(⁠✧⁠Д⁠✧⁠)⁠→💥←⁠(⁠o⁠_⁠O⁠)

 最後の多数決が行われ、
私は「南の島に―」に
手を挙げてしまいました。

 日本の兵隊さん達が
戦地で上演された
芝居の中で降る雪に
日本を想い出す
という話でした。

 原作小説もあり、
作者・加東大介氏
の実体験を元に
書かれているようで、
映画化もされています。

 私は変人類だったん
でしょうか?
第2次世界大戦の頃の
人々の暮らしや戦況に
小学校低学年の時から
異様な程に興味を
持っていました。


 同年代の子は
マンガやアニメに
ゲーム。服装や
ヒット曲や映画。
そして友情と恋愛に
興味を燃やす中、
両親が将来を
心配すらしていた
くらいに。
(い〜や、堂々と続けられてたら
博士ちゃんにだってなれてた
かもよ?!) 🤔

 先生から言われんでも
その手のTVの特集番組を
自ら進んで見ていたのです。

 原子爆弾投下で
広島と長崎に
立ち昇るキノコ雲、
昭和天皇のラジオ放送に
涙ぐむ人々。

 私も涙を流していました。

 そういう人だったので、
日本人として「南の島に―」
を絶対選ぶべき!

と、その時は思ったの
でしたが――。

 現在、
こういうブログ
書いてる事からすると
完全な選択ミス
だにゃ〜!!!!

。・゚・ /⁠ᐠ⁠⁠ χꞈ⁠χ⁠ ᐟ⁠\・゚・。

 日本人としては
正しかったかもしれんが、
私個人としては
取り返しがつかない

くらいに間違っている!!!

       

塗油の儀式ではやっぱりあの曲が使われてた

2023年05月11日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ⑤の6】

 「18世紀に作曲されて以来、
代々英国王戴冠式で必ず使用されている」

 と音楽番組や音楽事典で解説されているものの、
エリザベス女王の長期在位中に
他の使い道を見出されてしまった

曲があります。

 18世紀初めに英国王の主家が途絶え、
現在の王家の先祖となる、
遠縁のドイツ貴族が王位を引き継ぎました。

 ドイツ貴族に仕えていたのがヘンデルで、
次の2代目の国王の戴冠式のために
アンセムを4曲作ります。
その中の一曲が「祭司ザドク」です。

 今では主にサッカーと結びついていて、
サッカー好きの人と話しても
「え?もとはそういう曲だったの?!」
と言われてしまうくらい、
そちら方にカスタマイズされて
馴染んでしまってるのでした。

 他にも「日本一受けたい授業」で
先生が登場する時にかかる曲として以前
使われていました。

 私は実は戴冠式招待者皆様の
ファッションよりも、
「本当に『祭司ザドク』は演奏されるのか?」
の方に興味がありました。

 が…しかし、
「池上彰のニュースそうだったのか!!」
では、儀式の進行はTV画面の端に
小さく表示され、音声は全く聞こえて来ない。
そして、池上さんが「世界の王様の華麗な生活」
を解説して、タレントがコメントする構成でした。

 所々で現地の生中継が入り、
塗油の場面も映りはしましたが、
非公開だとの事で王様は衝立に囲まれ、
その間の外部の絵面が平板で映え無いからなのか、
すぐに画面が池上解説に戻って、
この番組の視聴内では確認できませんでした。

 「こりゃ〜日本のTV視聴での確認は無理かも〜」
と思った矢先、
続いて放送されたニュース番組で確認できました!

 チャールズ3世が秘儀を受けている
箱の外で演奏されていたのは
ヘンデル作曲「祭司ザドク」の
前奏のアルペジオでした。

 曲の終盤が少し聴こえる場面も映り、
確かに「祭司ザドク」の
♪「アーメン、アレルヤアーメン」
と合唱してました。

 という訳で、
クラシック版イントロクイズみたいに
なっていましたが、

「ヘンデル作曲の『祭司ザドク』は
代々英国王の戴冠式で塗油の儀式の際に
歌われる合唱曲である。」


 これは本当だったのです。
 






 


 

牧歌劇「アミンタ」はモーツァルトも作曲ネタにしてる?

2023年05月02日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ⑤の5】

 その後、
タッソは自作品が実際は高評価なのに
異端審問に引っかかるのでは?
とビビり続け、
狂気の高まりが抑えられずに
突発的奇行を繰り返しては罰せられ、
一つ所に落ち着けない旅ガラスとなり。
桂冠が贈られたのは永眠後でした。

 それから170年後の1765年の夏、
ハリソンさんはロンドンで
友人夫婦とコンサートへ行き、
まだ子供の頃のモーツァルトの演奏を
聴きます。


▲ 前編15-3より


 更に10年後の1775年、
ザルツブルクにハプスブルク家の皇子が
立ち寄り、歓迎のために演奏会形式の
オペラが上演されました。

 そのモーツァルト作曲のオペラが
「羊飼いの王様」といい、
主人公の名がアミンタというのでした。

職業も牧畜業で同じです。

 が、同じなのはここまで。
ヒロインは妖精のシルヴィアでは無く、
貴族の姫君エリーザ。

 牧歌劇「アミンタ」は
ギリシャ・ローマ神話の世界観を
引き継いだ北イタリアの緑生い茂る
郊外の雰囲気で、
時代もハッキリしていない。

 オペラの方では
紀元前4世紀の
中東にあるシドン市中と周辺の
田園地帯が舞台とされている。

 そして、恋人達を散々悩ましておいて、
最後に結び合わすのは
アレクサンダー大王なのだった!

 大王が遠征中に征服した。
フェニキアの中の都市国家シドンの
僭主に変わる人物として、
元王家の血を引くアブダロニュモスを
探し出して新王にしたという
史実の資料に基づいて、
メタスタージオ翁が書いた
台本を更に改作してから
モーツァルトが曲を付けたのでした。

 史実ではアブダロニュモスは
貧乏暮らしではありましたが、
羊飼いでは無かったようで、
庭師だったという絵が残っているとの事。

 18世紀には「田舎で牧畜しながら
のどかに暮らしたい」という考え
(現代の「都会を出て田舎で農業して暮らしたい」
みたいな―か?)があったらしく
史実と時代の理想を取り混ぜ、
「羊飼いなら名は有名なアミンタで行こう!」
更に話を面白く盛るため、
アミンタにはアーサー王伝説にでも
出て来るみたいな出生の秘密も付け加えよう!
―となったのでは無いかと思われます。

 確かにアミンタ同士、
どちらも恋愛に対して諦めの悪い所等、
性格はそのまんまなようですが…。

 とはいえ、
「羊飼いの王様」の原作が「アミンタ」だと
言うには薄まり過ぎたといった感じです。


 原作だったとしても、
タッソとの間にアレクサンダー大王や
アブダロニュモス、メタスタージオが入り、
最後には「どんなに人真似しても
自分の世界になってしまうモーツァルト」

が来てしまっちゃあね〜!?

 全然別物になってしまうわな〜こりゃ!

 以上が牧歌劇「アミンタ」についてでしたが、
いずれこのブログの本体の話とも繋がって行く
事になるでしょう。

牧歌劇「アミンタ」では全部キューピッドのせい

2023年04月30日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ⑤の4】

 16世紀イタリアの詩人タッソの人生が
比較的安定していた頃に創作された
牧歌劇「アミンタ」。

 「エルサレム解放」完成後、
タッソは勤め先エステ家からの
「自分解放」を目指しますが不発に終わり、
雇用関係が悪化の一途を辿るのでした。





 アミンタは木や草がクッションになって
地面に直接叩き付けられず、
気絶していました。

 崖下に住む賢人エルピーノの所へは
アミンタを探してティルシが来ていました。
二人がアミンタを介抱していると、
アミンタの亡骸を探しに
シルヴィアとダーフネがやって来たのです。

 アミンタとシルヴィアの相思相愛を
見届けたエルピーノはシルヴィアの父親を
探しに行きました。

 そんなこんなで
歓喜に湧く皆さん方を他所に
憤懣の美魔女が一名。

 彼女こそはヴェーネレ(ヴィーナス)様。
昨日、彼女の口うるささにうんざりして、
息子のアモール(キューピッド)さんが
行方をくらましてしまいました。

 方々探した末にここへと辿り着き、
遂に愛息の痕跡を見つけたのです。

 アミンタの死を悼むシルヴィアの心に、
前々から二人をマークしていた
キューピッドさんが矢を放ち、

一気にハッピーエンドへと
導いていたのでした。

 そんでもってしばらくは変装のまんまで
「お仕事」を続けるようですな。
            ▼



            ▲
 でもさ、やる気になったら
他者の心を操る事において無敵で
傲慢やる方無きアンタでもさ、
その内「年貢の納め時」が来るんだろうさ!

 ちなみに、
一緒にいるロバさんの名前は
ルキウス・アプレイウス君といいます。

 魔法が解けてロバから人間に戻ると
見て来た事をもとに
「キューピッドとプシケ」を書いた
んだとさ。