南佐久郡南牧村板橋山の神の道祖神
昨日触れた牛頭観音がたくさん祀られている南佐久郡南牧村板橋の山の神には道祖神も祀られている。1枚目の写真の通り、向かって左側には双体道祖神、右側に石祠が祀られている。牛頭観音の石碑群の前、道端に祀られているものだが、岡村知彦氏の『南佐久石造文化財集成―南牧村・川上村―』によるとこの道祖神について次のように一覧している。
類別 型式 丈 刻像 銘文
道祖神石祠 流造 80 道祖神
道祖神 自然石 15 丸石
道祖神 自然石 80 肩組み祝言双躰立像
数でいえば3基と見られるが、ここでいう丸石は石祠内に納められているものを言い、基数でいえば2基が正しい。岡村氏も昨年発行した『東信濃の道祖神』では丸石は削除して掲載しており、板橋には2基の道祖神として報告している。石祠内に丸石を納めるスタイルの道祖神は、南佐久に数例、また諏訪地域にも見られる。やはり石祠が多い山梨県の影響を受けているものと思われる。石祠の向かって右側面に「道祖神」と彫られている。丸石とは別に、石祠の庇下に小石が納められているのも、相応の意味を持つと考えられる。
双体道祖神の彫りは浅いもので、顔など明瞭にうかがうことはできないが、温和な表情であることはわかる。確かにお互いの手が空いての肩に掛かっているように見え、肩組形式である。一般的な向かって右側が男神、左側が女神であることもわかる。一覧にどちらも丈80センチとうるが、どう見ても石祠の方が大きい。双体道祖神は80センチまではない。
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