Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

年会へ 後編

2024-10-27 23:41:12 | 民俗学

 年会でのグループ発表は、A1という、研究発表メニューの真っ先に置かれる会場で行われた。事前の打ち合わせをした8月のウェブ打ち合わせの際、用意する資料は25部にするという話だった。「それほど人は来ない」というものだったが、その後のメールのやり取りの中で、Y先生にはカラー版で資料を作成したいと申し出ていたわたしは、30部郵送するという話をした。しかし、よく考えてみると、グループ発表は4枠を使って2時間用意されている。通常なら4人分の発表枠だ。とすると、最初に参加してくださる方々がその程度だとしても、後から参加される方たちには補助資料がない可能性がある。ということで、資料を用意してくださったY先生から送られてきた補助資料全体のPDFと同様に発表者それぞれから送られてきていたデータを構成して、同じような資料に組んで、さらに荷物になるのが嫌だったから、縮小版にして増刷して持っていくことにした。「万が一」というより、おそらく足らなくなるだろうと想定してのこと。

 昨夜の二次会が功を奏したのか、二次会に参加されていた先生方が大勢発表会場に足を運んでくださった。そしてS先生には厳しい指摘もしていただいた。そもそも今回のグループ発表は、ここ2年ほど活動してきた長野県民俗地図研究会のお試し発表でもあった。QGISで長野県民俗地図を作って、みんなで年会で発表をするという志で進めてきたが、実はQGISを利用して地図を作成するところまで、参加した会員全員がたどり着けなかった。例会や、専用の研究会も設定したが、なかなかソフトを理解するのに苦労された。ようは内容を深く詰めて発表というわけにはいかなかった。S先生には、ひとつのテーマに沿って地図を提示すれば分かりやすいのに、と言われたが、地図ありきで、地図により何を表すのかという部分については共通の視線を当てられなかった。ようはとりあえず作ってみた、そしてこういうことができる、をとりあえず示してみた、というのが実態だ。とはいえ、このような民俗地図に焦点を当てて年会で発表がされたということはあまりなかっただろうから、現代的手法の事例として、興味を持つ人たちには参考になったと思う。もっとたくさんの地図を作成し、その地図からどの地図を採用して何を見出していくか、そこまで地図のデータが膨らんでくれば、おのずとS先生が指摘されたようなところをカバーした発表が可能になるのだろう。これで「終わり」ではなく「始まり」なのだ。そういう意味でも、もっと会員の多くが「使える」ようになることが先かもしれない。

 結果的にわたしが用意した補助資料すべてがなくなった。「万が一」と思って用意した資料は40部あった。ようは70部はけたわけだが、そもそも会場は70席が定員だった。したがって出入りがあればそのくらいは必要だったということなのだろう。もう少し用意しても良かったのかもしれない。いずれにしても、とりあえず発表を終えられて、それも本来なら2時間枠なのに、5人で発表したから時間超過して、通常なら×の世界だが、5枠目が開けられていたせいで、その5枠目もフルに使って発表させてもらった。1枠目の午前9時半からお昼の12時まで、ずっと聴講いただいた皆さまには、感謝いたします。


コメント    この記事についてブログを書く
« 年会へ 前編 | トップ | 美篶芦沢の道祖神建立の背景... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

民俗学」カテゴリの最新記事