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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

美篶芦沢子安神社 自然石道祖神

2024-10-19 23:38:16 | 民俗学

伊那市美篶芦沢子安神社 自然石道祖神

 

 2022年1月に「自然空間の道祖神」を記した。伊那市芦沢の子安神社にある道祖神のことについて触れたのだが、あらためてここの道祖神について今回触れることにした。その理由は後編にまとめるため、とりあえずここでは子安神社の道祖神を再確認しておく。

 知らない人がこれらの石を見ても「道祖神」だとは思わないだろう。境内の一角、木の根元に石が散在しているという感じだ。どこにでもある光景である。先日芦沢で道祖神のことを尋ねていたら、子安神社の道祖神が話題になった。ここにある道祖神は、明治時代の末期に芦沢地区内にあった神社を1箇所に集めさせられたという。いわゆる合祀させられたというわけで、その際に道祖神も子安神社へ移されたというのである。集められた際には20個くらいの石があったという。もともと自然石であって石碑ではないから、どのように集めたものを祀ったのかは、現状からは推測しがたい。ところが石のブームがあった時代、心なき人が持ち去ったため、数はへってしまったという。現状にある石は、数えて6個。根元側にある小さな石は、道祖神ではないかもしれない。とすれば5個。だいぶ減ってしまっている。繰り返すが奇怪な石であれば、庭石としても好まれる。ただ、現状にある石は庭石にするには小さい。裏を返せば、盗まれた物は大きな石だったのかもしれない。

 写真は多方向から撮ってみたが、一つ明確に花崗岩が混ざっている。これがもともとあった道祖神化は分からない。いずれにしても現在は緑色片岩系の石とともに転がっている。どの石もどちらかと言うと「転がっている」で似合っていて、「祀られている」、あるいは「建てられている」という印象は薄い。一応子安神社にまとめられた、という意識は今の人たちにも認識されているようだが、ここにある石が、信仰の対象として「祀られている」という感じではない。

続く


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