「葉見ず花見ず」と言われる彼岸花。必ず秋の彼岸前に花を咲かせ、彼岸が終われば枯れる。どうも全国でそう捉えられているということは、開花の地域差がそれほどないということになり、気温などとは無関係に開花するということになる、不思議な花でもある。
昨年だろうか、妻の実家の近所の方が「もぐら除けに」と彼岸花の球根をみなさんに分けたという。ところがなかなか分けられた彼岸花があちこちに咲いたというわけではない。妻に言わせると、彼岸花の生活史を知らないためだという。冒頭にも記したとおり、彼岸花は花と葉が同時に出ることはない、これもまた不思議な花。花が咲く際には、茎だけ地中から伸ばして花をつける。葉は全くないのである。ところが花が終わって間もなく、葉が登場してくる。この葉は春先まで冬季間にも姿を見せている。そして夏の間は姿を見せず、彼岸になると花をいきなり咲かせるというわけである。草刈と関係するため、意識せずに草を刈ると、成長を止めてしまうし、枯れてしまうというわけだ。
ということで、今日は妻に言われて彼岸花の咲く土手の草刈を行った。枯れ始めたから「もう刈って良い」というわけで、葉が出る前に刈らないと葉を刈ってしまうというわけで、これ以降彼岸花の咲く土手の草刈は来春、彼岸花の葉が枯れるまで草を刈ることはない。ようは草刈納めというわけだ。したがって彼岸花が咲き始める前にも「花が咲く前に」と草刈を行うわけで、ただ草を刈れば良いというわけではないのである。そう考えると彼岸花はさらに不思議に見えてくる。「もうじきお彼岸だから、お墓ばかりではなく畔草も綺麗に」という意識があれば、自ずと彼岸前に周辺を「きれいに」と思うわけである。それに合わせたように花が咲くわけだから、人々の生活と密接にかかわりながら花を咲かせる、とてもわたしたちには身近な花ということになる。
さて、今年はアサギマダラが姿を消すのが早いようだ。先日もここで触れた宮田村の飛翔数を扱ったページには、昨年の飛翔数も掲載されている。それによると、昨年は10月21日が最後の確認日だったようだ。10月半ばに少し飛翔数が復活しているが、10月に入るとかなり数は減る。とはいえ、そう捉えるとそれほど昨年と違わないようにもうかがえるが、フジバカマの咲き方とも関係している。我が家ではまだフジバカマはある程度咲いているが、やはり飛翔数はもう最後という感じた。そんななか今日確認できたのは1個体。そしてその1個体がなかなか激しい。比較的人には慣れているチョウだが、今日やってきていたアサギマダラはとても敏感で、少し近寄るとすぐに飛び立つ。そしてなかなか花にとまらず、ふわふわとずっと飛んでいる。今までにあまりいなかったタイプの個体である。
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