ザザ虫漁体験より
篶竹細工を体験する
美篶の篶竹細工の特徴は縁の仕上げ方にあることを説明する白鳥英二さん
ザザ虫漁を見学したのち、篶竹細工見学まで時間があるため、ここへ伊那市内の自然石道祖神見学をあてた。このことは「盃状穴 前編」で触れた通り。昼食後伊那市美篶上川手を訪れ、篶竹細工を現在伝えている上川手篶竹細工クラブのみなさんに話をうかがった。篶竹細工のことも本日記ですでに触れている。2019年に「上川手の篶竹細工を訪れる」を4回にわたって記した。その前編でも記したとおり、篶竹の細工は、美篶に限ったことではなかった。諏訪から下伊那にかけての事例をあげている。同様に「上川手の篶竹細工を訪れる 外編」では、東信から中信の例をとりあげた。そして北信では「すず竹」は登場しないものの、根曲がり竹を利用した細工の事例があげられた。ようしかつては竹細工が盛んであったことがわかる。かご類にしたら、利用頻度は高く、自ら造る技法を取得していれば、材料さえあれば買う必要はないのだが、材料の減少はみちろんだが、一時「買ったほうが安い」という経済観念が人々を席巻し、以後はあえて手のかかることなどしなくなったわたしたち日本人。こうなったかつての価値観は消えてしまう。故に、いまや藁細工より難しい竹細工は絶滅してしまったというわけである。
昭和58年に結成されたという上川手篶竹細工クラブ。当時は県の伝統工芸品指定をうけての結成だったようだ。結成時は30名ほどいたというクラブ員だが、今は6人。そのうちちゃんと篶竹細工によるかごを編めるのは3人という。
クラブ代表の白鳥さんにおおよその歴史などをお聞きし、そのあとは実際に竹を割る作業や編む作業を参加者は体験された。近年は毎年12月1日ころ、地元の美篶小学校で実演をして篶竹細工のことを子どもたちに知ってもらっている。その際にも子どもたちに体験してもらっているようで、途中まで編み上げられたかごを編みながら篶竹細工のことをそれぞれで質問されていた。とりわけ松本篶竹細工復活プロジェクトに関わった三沢さんも参加されていて、松本と伊那の篶竹細工交流も行われた。
竹細工を行うにはいろいろな道具が必要。先代、や先々代から受け継いできた道具を家ごと大事に伝えてきたところに、まさに伝統のようなものをうかがうことができる。そして何より、篶竹細工で造られたものは永く使えるという特徴がある。基本的には自家用レベルで上川手の篶竹細工が市場に出ることは今はないが、消えることなく自製道具の息を繋いでいって欲しい限りである。
篶竹細工については以前にも下記のように触れている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます