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滴
ひかり、がある。
それはほんの些細なことで、
喪われることが世の習いの、
――例えば、幼子の指先が触れただけで、
――例えば、大気が僅か揺らいだだけで、
消えてしまう、
消されてしまう、
細やかな灯火なのだけれど、
消えても、
消されても、
灯ることを止めようとしない、
水に宿るほんのちっぽけな【ひかり】。
ひかり、を観る。
昏い夜明け前に、止まぬ雨に、
重いこころに、やがてまた、
――あなたにも観える、感じられる、眩きを、
――わたしにも観える、感じられる、煌きを、
花弁に葉に、
玉と成し灯を点す、
『H₂O』の営みは、
亜空間のどこかで、
生成した頃からの宿命で、
その頃から絶えることなく、
繰り返し宿された【ひかり】。
ひかり、は、あなた、で、
ひかり、は、わたし、で、
遍く、
滴に宿る【ひかり】の、
永遠と言う一瞬について、
感じることに忠実で居なさい。
と告げた後、
雨に烟って溶けた
枢機卿の意志はそのまま、
あなたやわたしと変わらない、
【ひかり】の[滴]なのであった。
written:2017/10/19,21
elaborated:2017/10/22
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