V=4/3πr³

詩と物語を紡ぎます

2017-10-22 18:15:00 | poem

       滴



ひかり、がある。

それはほんの些細なことで、
喪われることが世の習いの、

――例えば、幼子の指先が触れただけで、
――例えば、大気が僅か揺らいだだけで、

消えてしまう、
消されてしまう、
細やかな灯火なのだけれど、
消えても、
消されても、
灯ることを止めようとしない、

水に宿るほんのちっぽけな【ひかり】。



ひかり、を観る。

昏い夜明け前に、止まぬ雨に、
重いこころに、やがてまた、

――あなたにも観える、感じられる、眩きを、
――わたしにも観える、感じられる、煌きを、

花弁に葉に、
玉と成し灯を点す、
『H₂O』の営みは、
亜空間のどこかで、
生成した頃からの宿命で、
その頃から絶えることなく、

繰り返し宿された【ひかり】。



ひかり、は、あなた、で、
ひかり、は、わたし、で、

遍く、
滴に宿る【ひかり】の、
永遠と言う一瞬について、
感じることに忠実で居なさい。

と告げた後、
雨に烟って溶けた
枢機卿の意志はそのまま、
あなたやわたしと変わらない、

【ひかり】の[滴]なのであった。



written:2017/10/19,21
elaborated:2017/10/22

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果実の兄弟

2017-10-22 16:07:00 | daily tsukasa

果実の兄弟

朝の散歩で仲良くなった、果実の兄弟が旅立ったらしい。ジャンパーのポケットに揃って収まったはずが、帰ったら居なかったのさ。

思い当たる節と言えば、中央公園の木立の中で、何やら声らしきものを雨の隙間に、聞いたような聞かないような。

律儀者の兄果実は、
「ここでけつこう、かたじけない、おさらばおさらば」
ぐらいは言ったのだろうな。

サヨナラが苦手なわたしには、このピンぼけ写真だけが、思い出の全てだ。


2017/10/22
11:39 am

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