サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

石川晶/ドラム八木節ドラム

2007年05月22日 02時06分55秒 | 邦楽
ここ最近「和ジャズ」ブームが到来しているらしい。

ジャズ批評で2号にわたり特集されたり、クラブ系雑誌の「remix」でも特集されてました。

さらに各社からのCD復刻も定番なものからこんなマニアックなものまで?と思うようなものまでされていたりします。

おそらく石川晶もマニアックな方に入るかも知れません。

もともとは日本の名ビッグバンドである「ニューハード」に加入して以来スケールの大きなドラムでメキメキと頭角をあらわし、60年代後半にはゲンチャーズ(石川氏自身が原始人の風貌に似ている為に名付けられたという)やカウント・バッファローズ、フリーダム・ユニティといったグループ(メンバーは流動的だが大体は一緒)で活躍。これらのグループではR&Bやジャズ・ロック、イージーリスニングなどのいわゆるインストレコードを何枚とも知れない数を制作。さらに60年代後半から70年代にかけてはスタジオミュージシャンとして、それこそ数え切れないくらいのレコーディングに参加。

その中でも1975年の「石川晶とカウント・バッファローズ」名義の「GET UP」がファンキーなクロスオーバーアルバムとして特に人気で、猪俣猛と並んで日本屈指のファンキードラマー/レア・グルーヴ・マスターとして、彼が参加しているレコードは未だに高値で取引されていたりします。

私もミドルクラスのもの中心ですが(単に高いのが買えないだけ)、コツコツ「石川晶もの」を集めてるファンの一人でありまして、まさか「GET UP」はまだしもそんなCD化されるようなメジャーなアーティストではないと思っておりましたが、ここ最近「エレクトラム」「バキシンバ」「ドラム○○ドラム」シリーズ、ソロ名義のものまで何タイトルも奇跡の初CD化が続いております!これはすごい!

一つにはジャズとしての観点ではなく、今改めて見直されている「レア・グルーヴという観点の切り口」での復刻があればこそだと思いますが、素直に石川晶のアルバムがこれだけ多くCD化されるのは嬉しいばかり。再評価に繋がればと思います。

さて今回の「ドラム八木節ドラム」ですが、1971年にクラウンから発売されたレコード。硬派な内容の「エレクトラム」やアフリカ志向を取り入れたオリジナルが並ぶ「バキシンバ」と違い、タイトルの通り民謡をドラムメインで演奏するインストレコードという企画ものなのですが、蓋を開けてみて(聞いてみて)びっくり!これが単なる企画ものではなく、れっきとしたジャズ・ロックアルバムではありませんか!

演奏は「石川晶と彼のグループ」とだけあり、メンバーの詳細は分かりませんが、聞いて判断するに、ギターの音色や手ぐせフレーズから水谷公生氏(直居隆雄氏も参加しているという噂あり)、ベースのグルーヴィンさから寺川正興氏で間違いないかなぁと思います。それにキーボードプレイヤーがいます。編曲は春見俊介氏。

普段ですと管楽器が入っていたりするのですが、このアルバムでは最小限の面子で民謡を演奏。それも単なる民謡ではなく、当時のエレクトリック・ジャズやジャズ・ロックのフィルターを通した上での民謡で、もはや原型を留めていないくらい(笑)のごりごりのニューロックアルバムといっても過言ではないでしょう!

同じ時代の水谷公生の「パス・スルー・ザ・ヘイズ」や1970年代の日本のニューロック好きであれば、絶対に腰を抜かして気に入るであろうアルバムだと断言します。

これを企画もののキワモノ扱いでは断じて終わらせたくありません!なので、このブログを見て、もし少しでも興味をもった方は是非聞いてみて下さい!

【石川晶/ドラム八木節ドラム】(DICR-2015)*紙ジャケ仕様
1.おてもやん
2.真室川音頭
3.斎太郎節
4.秋田音頭
5.木曾節
6.鹿児島小原節
7.佐渡おけさ
8.花笠音頭
9.阿波踊り
10.会津磐梯山
11.八木節
12.ソーラン節
13.安来節
14.三池炭坑節

通常のCDショップだどおそらくポップスのコーナーよりも邦人ジャズ・コーナーにおいてあると思います。

おそらくアルバムの性格的にすぐに一度プレスしてそのまま在庫がきれたら廃盤みたいな感じだと思うので、もし気になる方はお早めに!

今後石川晶や猪俣猛、佐藤允彦、横田年和、杉本喜代志、シンガーズ・スリーなどここ最近リリースされたものをちょくちょくレビューしたいと思いますので、ご期待ください!