サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

ジャズ・ロックあれやこれや(ゲイリー・バートンにマイケル・ギブスにコロシアム)

2008年02月20日 11時54分21秒 | 洋楽
最近久々に中山康樹/ピーター・バラカン/市川正二の三人による共著
『ジャズ・ロックのおかげです』を読んでいる。

私のジャズロック本と言えば、以前このブログでも紹介したことのある
松井巧氏の『ブリテッィッシュ・ジャズ・ロック』であったが、
最近色々とジャズを聞き進めていくうちに、
ジャズ・サイドからのロックへのアプローチ作品について、
すごく興味が出てきて前に古本で買ってあった『ジャズ・ロックのおかげです』を
取り出した次第である。

私にとってジャズ・ロックと言えば、再三にわたり述べてきたが、
なんといってもジョン・ハイズマンの「コロシアム」。
これを超えるバンドはない!と断言できるバンドである。

コロシアムのようにブリテッィシュ・ジャズ・ロックはどちらかというと、
ロック・サイドからのジャズでのアプローチ(厳密に言えば違うけど)が多い。
これは『ジャズ・ロックのおかげです』の中のピーター・バラカン氏の意見と合致する。

ちなみにピーター・バラカン氏はその本の中でジャズロックな作品を15枚挙げる中で、
最初はバターフィールド・ブルース・バンドの「EAST-WEST」から、
ジミヘン、フランク・ザッパ、ソフトマシーン、サンタナときて、グレイドグル・デッドまで
ジャズロックの範疇に入れており、さすがに私もう~んと思ったが、
外国人の感覚(と言っていいのか分からないが)はさすがに凄いと思った。

さて本著を読み進めていく中で、一枚興味を持ったCDを買ってみた。

61XXZRMZ7HL._AA240_

Gary Burton と Keith Jarrett の名義による1970年のアルバムの全5曲と、
1969年のGary Burton の「Throb」の全9曲を一枚にした2in1仕様のアルバムである。

これが中山氏にいわせれば、「ジャズ・フォーク・ロック」の代表格だそうだが、
まぎれもなくジャズ・ロックと断言していい作品で買って正解であった。
1970年のキース・ジャレットといえば、マイルス・バンドに参加しており、
最近その時期を好んできく私にとってもあの狂った弾き方をする才人が
他でどんなプレイをするのか気になったのが買う動機であった。

GARY BURTON(vib)
KEITH JARRET(p,elp,ss)
SAM BROWN(elg)
STEVE SWALLOW(elb)
BILL GOODWIN(ds)

このメンツによる1970年の作品は5曲中、3曲目を除いて他の4曲がすべて
キース・ジャレットの手によるもので、私は特に5曲目の
「THE RAVEN SPEAKES」がお気に入り。キースのエレキピアノから始まり、
ちょい歪んだグルーヴィーなエレキ・ベースにノリにノッた各面子のソロがあり、
キースはサックスまで披露している。このノリ、正にジャズ・ロック!

このCDの後半は、順番は違うが、前年録音のアルバムが収められている。

こちらは、このようなメンツ。
GARY BURTON(vib)
JERRY HAHN(g)
RICHARD GREENE(vln)
STEVE SWALLOW(elb)
BILL GOODWIN(ds)

リズム隊は同じで鍵盤がおらず、バイオリンのリチャード・グリーンが加わっているのが面白い。
なんでもカントリー/フォーク畑の出身で、ブルース・プロジェクトやマリア・マルダー、
エミルー・ハリスなどの録音に参加しているらしい。
ここからしてジャズではない(笑)

この69年のアルバムも70年のアルバムに負けず劣らず良いのだが、
ここでは作曲のクレジットに注目したい。

全9曲中、ベースのSTEVE SWALLOW によるペンが3曲、ギターのJERRY が一曲、
DAVID PRITCHARDなる人の曲が一曲、残りの一番多い曲がMICHAEL GIBBSである。

ん~!マイケル・ギブスと言えば、あの「タングルウッド'63」で有名な?!

61TAV5JM2SL._AA240_

よくよく調べてみると、やはり同一人物でした。

どうやらゲイリー・バートンとマイケル・ギブスはバークリー音楽大学で一緒だったらしい!
そういう縁ももあっただろう、ゲイリーは早くからマイケル・ギブスの曲を取り上げていたようだ。

そのマイケル・ギブスのジャケも素晴らしいジャズ・ロックの名盤「TANGLEWOOD '63」は、
1970年録音の1971年発表の2作目のリーダー・アルバム。
ヘンリー・ロウザーやクリス・スペンディング、ジョン・マーシャルなどなど、
ブリティッシュ・ジャズ/ロックの面々が参加したアルバムで、
タイトル曲は特に有名。
(どうも渡辺貞夫の「パストラル」にも似ているような)牧歌的な曲ではあるが、
各楽器のアンサンブルや瑞々しいソロがなんとも言えず格好良い。
これもジャズ・ロック名盤!

さてさて「TANGLEWOOD '63」と言えば、コロシアムで有名!

41WV22ZQ9DL._AA240_

もちろんこのアルバムは、オリジナル・ラインナップ(厳密にいうとメンバー変わってますが)による、
唯一のライブ盤にして、オリジナル・コロシアムのラスト作にあたる4作目。
クリス・ファーロウのボーカルがなんとも言えず強力で、
その他技術では同時代のミュージシャンの中でも最高レベルのメンバーの
丁々発止のやり取りも凄まじい名盤。

この中でマイケル・ギブスの「タングルウッド'63」が同じ曲ながらも
全然違うバージョンで収められている(発表の年も同じく1971年)。
聞き分けも面白いです。
どうやら初演はゲイリー・バートンらしく、そっちも聞いてみたいです。

というわけで、なんだかんだで結局繋がってしまった「ジャズ・ロック」。

こうして私はどんどん深い森へと足を突っ込んでいくのである(笑)