Skullcrusher - Storm in Summer (Official Video)
Nick Drake - Road
Akino Arai (新居昭乃) - Soba ni iru kara (傍にいるから)
【MUSIC】道化者のゆううつ / THE STREET SLIDERS ストリートスライダーズ (ロンドン画像)
(ちんちくりんNo,33)
ひゃー暑い暑い、遅れて来た貢が部室のドアを開けたと思っていたら、手にしていた紙袋をテーブルの真ん中に置き、隅で健気に首振り旋回をしているボロ扇風機の前に正座して、汗まみれの顔を突き出した。おい、こっちに風けえへんやん、圭太が声を荒げると貢は振り向き、「あ、そ。圭太君はいらないわけだ」と置いた紙袋を指さした。え、なになにと圭太はさっそく紙袋を手にし、開いて中を覗くと、ひよえ~、素っ頓狂な声を出して万歳をした。何よー、今度はかほるがちょいと中を覗いたらとたんに笑顔が零れた。「これ、私たちの分も?」
貢は一個ずつかき氷のアイスと木さじを僕たちに配ってくれた。ありがたい。夏が暑いのは当たり前だが今日は特別暑い。部室は窓を全開にしているし、僅かながらも外からの風も感じる。ボロの扇風機くんも活躍中。いつもだったらこれで十分過ごせるレベルなのだが、身体を動かすのも嫌になるほど異常な暑さだ。茹でダコになりそう、とはかほるの弁だが今日に限っては否定が出来ない。
生き返ったな。かき氷はヒートアップした脳内を氷のつぶつぶが駆け巡るような冷たい刺激を僕に与えてくれた。圭太が貢に「俺たちがいちごでお前だけレモンってなんなん」と文句を言ったら、「一個しかなかったの。それにかき氷はいちごがスタンダード、逆に僕の方が遠慮したんだよ」平然と答えていた。それからふと何かに気が付いたように貢は「かほるちゃん・・・」、かほるに目を遣った。
「八月に入ってすぐ、君の姿を見たんだけど」
「どこで?」
「神田にある都立高校でだけど、・・・いや、いいんだ人違いだよね」
貢が自分から話を向けたのに勝手に終わらせようとしたところで、僕は大山さんから言われたことを思い出して、ああそこを聞きたいとかほるに向けてすかさず疑問をぶつけてみた
「俺もさ」
「なんなの、ふたりして」少し苛立ちをかほるは見せた。
「思えば以前、かほるの姿を御茶ノ水駅で見た気がして、大山さんにはかほるが十七、八っていわれてさ・・・」
「よくわかんないんだけど」
「わりぃ。つまりだな、かほるは高校生なのかな?」
「うん、そうだけど何か?」
僕の質問にかほるは全くの迷いもなくそう答えた。僕は「やっぱり」と思い、貢と圭太の二人からは「えええー」と驚きの声が漏れ、それから彼らは固まった。
僕は元々ちゃんと身元を訊いていない僕が悪いのだし、今更仕方がないと思ったが、それでも今からでも一通り訊いておかねばならないなと出来るだけ優しく丁寧に訊いていった。それによると、かほるは十八歳の都立高校の三年生。住まいは神田にあり、何故ここの大学に?という質問には持病で通っている病院が道路を挟んで向かいの付属病院だから暇つぶしに、ということだった。イラストに関しては単なる趣味だけど、褒めてくれるからとても嬉しい、そちら方面に進もうかな、―とまで。
「それからね、これ、本当に物凄く偶然なんだけど・・・」
「うん」
「私、かなり前から海人に会っていたみたいなことに最近気づいたの」
「え、会ってた?どこで・・・」
「神田神保町の古本屋。常連でしょ?あそこ私のおじいちゃんのお店で、二階、三階が私たちのお家なの」
これには本当に参ってしまった。確かにこれほどの偶然なんてまずないだろう。弱ったなと思いつつ、僕は大袈裟だが、同時に「運命」というものを感じてしまった。
Nick Drake - Road
Akino Arai (新居昭乃) - Soba ni iru kara (傍にいるから)
【MUSIC】道化者のゆううつ / THE STREET SLIDERS ストリートスライダーズ (ロンドン画像)
(ちんちくりんNo,33)
ひゃー暑い暑い、遅れて来た貢が部室のドアを開けたと思っていたら、手にしていた紙袋をテーブルの真ん中に置き、隅で健気に首振り旋回をしているボロ扇風機の前に正座して、汗まみれの顔を突き出した。おい、こっちに風けえへんやん、圭太が声を荒げると貢は振り向き、「あ、そ。圭太君はいらないわけだ」と置いた紙袋を指さした。え、なになにと圭太はさっそく紙袋を手にし、開いて中を覗くと、ひよえ~、素っ頓狂な声を出して万歳をした。何よー、今度はかほるがちょいと中を覗いたらとたんに笑顔が零れた。「これ、私たちの分も?」
貢は一個ずつかき氷のアイスと木さじを僕たちに配ってくれた。ありがたい。夏が暑いのは当たり前だが今日は特別暑い。部室は窓を全開にしているし、僅かながらも外からの風も感じる。ボロの扇風機くんも活躍中。いつもだったらこれで十分過ごせるレベルなのだが、身体を動かすのも嫌になるほど異常な暑さだ。茹でダコになりそう、とはかほるの弁だが今日に限っては否定が出来ない。
生き返ったな。かき氷はヒートアップした脳内を氷のつぶつぶが駆け巡るような冷たい刺激を僕に与えてくれた。圭太が貢に「俺たちがいちごでお前だけレモンってなんなん」と文句を言ったら、「一個しかなかったの。それにかき氷はいちごがスタンダード、逆に僕の方が遠慮したんだよ」平然と答えていた。それからふと何かに気が付いたように貢は「かほるちゃん・・・」、かほるに目を遣った。
「八月に入ってすぐ、君の姿を見たんだけど」
「どこで?」
「神田にある都立高校でだけど、・・・いや、いいんだ人違いだよね」
貢が自分から話を向けたのに勝手に終わらせようとしたところで、僕は大山さんから言われたことを思い出して、ああそこを聞きたいとかほるに向けてすかさず疑問をぶつけてみた
「俺もさ」
「なんなの、ふたりして」少し苛立ちをかほるは見せた。
「思えば以前、かほるの姿を御茶ノ水駅で見た気がして、大山さんにはかほるが十七、八っていわれてさ・・・」
「よくわかんないんだけど」
「わりぃ。つまりだな、かほるは高校生なのかな?」
「うん、そうだけど何か?」
僕の質問にかほるは全くの迷いもなくそう答えた。僕は「やっぱり」と思い、貢と圭太の二人からは「えええー」と驚きの声が漏れ、それから彼らは固まった。
僕は元々ちゃんと身元を訊いていない僕が悪いのだし、今更仕方がないと思ったが、それでも今からでも一通り訊いておかねばならないなと出来るだけ優しく丁寧に訊いていった。それによると、かほるは十八歳の都立高校の三年生。住まいは神田にあり、何故ここの大学に?という質問には持病で通っている病院が道路を挟んで向かいの付属病院だから暇つぶしに、ということだった。イラストに関しては単なる趣味だけど、褒めてくれるからとても嬉しい、そちら方面に進もうかな、―とまで。
「それからね、これ、本当に物凄く偶然なんだけど・・・」
「うん」
「私、かなり前から海人に会っていたみたいなことに最近気づいたの」
「え、会ってた?どこで・・・」
「神田神保町の古本屋。常連でしょ?あそこ私のおじいちゃんのお店で、二階、三階が私たちのお家なの」
これには本当に参ってしまった。確かにこれほどの偶然なんてまずないだろう。弱ったなと思いつつ、僕は大袈裟だが、同時に「運命」というものを感じてしまった。
いつもありがとう御座います😊
此方現在凄い雨ですが、
其方問題ないですか?
くれぐれもお気をつけて
下さいね😊
こちらこそ、いつも楽しく読ませていただいています。(^^♪
そちらは、凄い雨ですか・・・。
こちらは雨はそれほどでもないのですが、結構雨が降ると問題になりそうな川や、地域があります。
この時期の雨は嫌ですね。(~_~)