あゝ札幌、札幌。
一日中雨の予報が、夕方へとずれ込んだので、
北区と東区とを、ちょっとだけ歩いてみようかと。
朝の地下鉄(南北線)に乗り、
まずは北区のはずれ、麻生(あさぶ)を訪ねることにした。
さすがにGWとあっては、ほぼ貸切り状態。
他人に気兼ねすることもなく、悠々と写真を撮る。
お隣の石狩(いしかり)市が、まだ石狩町とか花畔(ばんなぐろ)村だとかのころ、
ここ麻生は、札幌市の北の玄関だった。
中央バスに長々とゆられて、その終着駅が地下鉄麻生駅前。
まだ床が木の板敷きの、ヘッドライトが丸いバスな。
壁についてる四角い緑色の、下向きに白い押しボタンがついているやつを押すと、
チンという音とともに、前の、運転席の上に、
「とまります」っていう、緑色の表示が灯る。
その終着駅の辺りに、ダイエーがあった。
そのダイエーへ行くために、
1時間もバスに揺られて来るのさ。
71年に地下鉄南北線が開通するまでは、
さらに小一時間、バスに揺られて、
中央区のバスターミナルまで。
その建物が、今も現役だ。
札幌市内で、最古の部類と言われる商業ビル。
道内で最古の現役エスカレーターは、
野幌(のっぽろ)の旧開拓記念館にあるエスカレーターだが。
このバスターミナルの2階へ上がるエスカレーターは、
記念館のものに次ぐ古さだと、聞いたことがある。
あの日、かけだしのサラリーマンだったひとたちが、
今もう、杖をついて歩いているが。
爺ちゃんはここから出張へ出たんだぞと、
孫に話せる建物になったわ。
バスターミナルの地下は、食堂街。
当時、まとまった飯屋街と言えば、もう、ここくらいしか無くて。
僕もガキの時分から、学生時代、社会人を通じて、
ここの食堂街には、まま、お世話になってきた。
このカレー屋のところに、かつては別のカレー屋があったのさ。
これでもかというくらいに叩きのめしたサクサクのカツ。
そんなのが乗ったカツカレーなんて、他所じゃ、まず注文しないけど。
ここへ来て、ここで食べると、味わいがあった。
これじゃなきゃっていう。
食べなれた、というわけでもないんだけれど。
ルーがあったまる頃合いに、ザクッ、ザクッと聞こえたカツを切る音がね。
妙~に、食欲をそそったんだわ。僕の親父やお袋の世代も食べたし、
その親の世代(僕の祖父母の代)が老後になった頃、できた店らしい。
知らずに来て、さびしい閉店の挨拶文を見たときには、あッと声が出た。
バスターミナルから東へ歩いて、札幌ファクトリーの辺りを歩くことに。
札幌というところは、元より、碁盤目の都市設計だから、
路地というような場所が無い。
雑多な形の建物はあり、新旧入り乱れてはいるんだが、
窮屈を感じさせない。それにはおそらく、
下町という概念が、およそ北海道には無いというのも、
手伝っているんだろう。
まだ冬の感覚だったんだが。満開だ。
なんて公園?と思って、看板を見れば、
役所のひと、いいセンスしてるわ(笑
北海道弁まるだしだな。
東京弁(共通語)に訳せば、あそぼうぜ公園ですか。
公園の少し先に、見えてきた赤レンガの建物。
さっき、旧開拓記念館の所在地で触れた野幌は、
支笏カルデラの火山灰に覆われていて、
焼きレンガの材料がいっぱいあるところ。
この赤レンガも、旧道庁赤レンガと同じく、
野幌で焼かれたレンガが沢山使われたんだろうな。
開拓使麦酒醸造所。現、サッポロビール。
サッポロと言いながらも、
もはや札幌市にはないサッポロビールが、
かつてここにあったという記録が、
建物から大分離れたところに、色褪せた写真とともに、
ぽつんと立ってます。
この高い煙突が、5本も6本も並んでいた当時のこの辺りは、
札幌市(札幌村かな)の食品製造のメッカでもあったらしく。
お茶うけや駄菓子で知られた札幌第一製菓も、
この辺りにあったそうな。
大英博物館みたいな、新旧建物のコラボレーション。
札幌市でも、一時期、そういうのが流行ったことがありました。
どこだっけ、郊外の大きな公園(元は何かの埋立地)に、
ガラスのピラミッド建ててたっけな。もうみんな忘れてる(笑
ガラスのドームの内部。
ここもまた、北海道らしい建物で。
最寄の公共交通機関と距離があるために、
車必須の商業施設です。
歩いて行けないわけじゃないけどさ。
観光でお越しになる際は、タクシー使うことをオススメします。
そして入る前に、入口にあるはずの、
館内地図のリーフレットを入手してください。
ここ何度来ても迷うわ(笑
この記事現在、赤レンガの建物は、耐震補強工事のため、閉館中です。
1条館正面から半田屋を望む。
あらまだやってるわ半田屋。
だいぶん前になるが、夜勤明けにはお世話になった。
大学の食堂経営が母体だそうで。
昔の飯場みたいに、一品一品選べるのが楽しい。
楽しくて、つい取り過ぎちゃって、食いきれない(笑
手前にある紺色の建物は、製麺屋の老舗。
ラーメン好きな道民は、わざわざここへ出向いて、生麺を買って帰る。
そろそろ飯の時間かなと。回れ右して、大通り方面へ。
創成川(旧運河)を渡って、東区をあとに。
札幌市の前身、札幌村は、東区から始まった。
郊外には、開拓の時代から続くタマネギ畑が、今も残っている。
大通公園を南へ渡って、電車通りへ向かうと、
ライオンの大きなお尻が見えてくる。
向かいは閉店した四丁目プラザ(略して4プラ)。
次の建物も決まらぬ先から、なぜサッサと閉店しちゃたのか。
謎はしかし、都市伝説を生むこともなく、
ひっそりと解体を待つ4プラである。
空の広さがさびしい。
隔壁にはっきりと読める4の字。
向かいのパルコは元気なのになぁ。
札幌で電車通りと言えば、この4プラとパルコ。
そして、前に立ち食いソバを紹介した、日の出ビル。
大通りの丸井今井、
札幌駅周辺の東急、五番館、○スステーションデパート
(今でいう旧そごうの地下街ですかね)。
札幌にはそういう3大商業地があったんですが。
地下歩行空間でシームレスにつながってしまった結果、
客のこだわりも失われて。活気がなくなったなぁと。
旧そごうの地下街付近から、
札幌駅(ステラプレイスだけど)の大時計を望む。
地面の中とはいえ、そんなに潜ってはいないんだなと。
せっかくなので、ランチはSKY J。
GWじゃ席は取れないかと思いきや。
直接電話して、通路側の席をゲット。
電話の向こうの店員さんは、通路側でごめんなさいと言っていたが。
実は、この通路側の席こそは、
もっとも札幌らしい眺めを楽しめる、レアな席だったりする。
店員さんが恐縮して、なかなか、あてがってくれない席だし(笑
それは、このビル街の向こうにあります。
日本中探しても、なかなかない。
200万都市で、目と鼻の先に、こんな、
4万年前の大きなカルデラを見通せるというのは。
この眺め、会場内のわずかな席でも見えますけれども、
体が横を向いてしまって、
この通路側の席のように、対面するということができない。
4万年という歳月とご対面。
東京~横浜くらいの距離でご対面。
んで、横浜~川崎くらいの直径の穴があいている感じ。
今そのカルデラ湖を支笏(しこつ)湖と言う。
昔は死骨と書いて読ませたそうな。
ようよう、日本列島に人類が足跡を残しつつあったそのころに、
莫大な量の火山灰を撒き散らし、
絶滅寸前にまで追い詰めたこのカルデラです。
その爪あと。二度と猛威をふるうことのない痕跡が、
札幌市の目と鼻の先に横たわっているわけです。
札幌の食を支えたタマネギやジャガイモは、
この火山灰が変質してできた、養分豊かな土壌がもたらしたもの。
なんてことよりも、今日は素敵なランチですよ奥様。だって、
実演コーナーがエッグベネディクトじゃないですか!
そしてこの、新しいパン。
何か、和風なものがいただきたいと、思っていたんです。
そしたら、小倉あんとヨモギパンのコラボですよ。
あんぱんじゃなくて、小倉あんの小豆部分が、ヨモギパンに散らばってる。
入りすぎず、足りないということもなく。ヨモギパンの風味もいい。
この柔らかなもの。ぜひ、ラウンジで売っていただきたいくらいの出来でした。
本日のスープは、くしくも、北海道産タマネギのスープでした。
これがまた美味い。
2時間は、瞬く間に過ぎて去り。
気づけは、残り20分でデザートを。
要らんウンチクかましてないで、もっと食えばよかった(涙
というわけで、1階のラウンジへ移動して、
久々のビーフカレー。
写真撮るの忘れてた(苦笑
〆はショートケーキ。
人気のあるケーキで、早くに無くなってることが多いんですが、
今回はゲットできました。
GWということで、ススキノは、
以前の活気を、つかの間、取り戻した感じ。
活気ってか、どっかで大声で喧嘩してる(笑
焼肉なのかチャーシューなのか、美味そうな肉のにおいがする。
へべれけになって歩いてるカップル。何かの店先には長蛇の列。
でも客引きはいないなぁ。
今回はこのお部屋。
ゆったりしたいので、少しでも広い部屋をと、
ダブルじゃなくツインの部屋にしました。
ではみなさん、おやすみなさい。
売れても1枚あたり45円の収入(笑
それでも、他所よりはずいぶん安く作ってくれる。
前使ってたとこと比べたら、千円くらい安いです。