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紫日記 誕生の喜び

2006年03月18日 | 平安時代

第一部 第一章 寛弘五年(一〇〇八)秋の記
【一三 午後、安堵と男御子誕生の慶び】

 午の時刻に、空が晴れて朝日がさし出したような気持ちがする。御安産でいらっしゃるうれしさが類もないうえに、男御子 敦成親王といい後の69代後朱雀天皇である でさえいらっしゃるお慶びは、どうして並一通りのことがあろうか。昨日は心配で泣き濡れて過ごし、今朝のうちは、秋霧にむせび泣いていた女房などが、みなそれぞれ局に引き下がって休む。中宮様の御前には、年輩の女房たちで、このような折にふさわしい人たちが付き添う。

 殿も北の方も、あちらのお部屋にお移りあそばして、ここ数か月来、御修法や読経に奉仕し、また昨日今日の呼び寄せに参集した僧侶たちに布施を賜い、医師や陰陽師などで、それぞれの方面で効験を現した者たちに、禄を賜わり、一方、内では御湯殿の儀式などを、前もってご準備させなさっているのであろう。

 女房の部屋部屋では、見るからに大きな衣装袋や、いくつもの包を運び込む人たちが出入りし、唐衣の刺繍や、裳のひき結びの、螺鈿や刺繍の飾りをあまりと思われるまでしては、またそれをひき隠したりして、「桧扇をまだ持って来ないですね」などと、女房どうしで言い交わしながら化粧をし身づくろいをする。

【一四 外祖父道長の満足げな様子】

 いつものように、渡殿の部屋から寝殿の方を見やると、その妻戸の前に、中宮大夫や春宮大夫など、その他の上達部たちも大勢伺候していらっしゃる。

 殿が、お出ましになって、この数日来、落ち葉などで被われていた遣水の手入れを命じさせなさる。殿上人たちの御様子も気分よろしげである。心の内には悩みがあるだろう人も、この時ばかりはそれを忘れてしまうほどの雰囲気である中でも、中宮大夫【中宮大夫藤原斉信】 が、格別に得意げな笑みを浮かべていらっしゃるわけではないが、誰よりまさるうれしさが、自然と顔に現れているのがもっともである。右宰相中将【藤原兼隆 道長の兄道兼の息子 25歳】は権中納言【藤原道隆の息子隆家31歳。】と冗談を言い交わして、東の対の簀子に座っていらっしゃった。

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