西都原古墳群に鬼の窟という、このあたりに住む鬼が、大山津見神との約束で造った古墳がある。鬼は木花之佐久夜毘売を嫁にくれというので岩の御殿を一夜で造ったらやると言ったという。驚いたことに鬼は一夜で御殿を造ってしまった。困った大山津見神は御殿の石をひとかけら取って遠くへ放り投げた。 そして鬼に向かってこの宮は石がひとつ欠けているから娘はやれないと言った。明らかに大山津見神が悪いのである。鬼が恨むのも当然である。この宮がある西都原古墳群の西都原は斎殿原、つまり祭祀をおこなう神殿のある原という意味がある。邇邇芸命と木花之佐久夜毘売などを祀ったところという意味でもある。ここ古墳群には事勝塚という古墳があり、コトカツクニカツナガサヒコノミコトといって、邇邇芸命と木花之佐久夜毘売をめあわせた人物が眠るという。ところで、これらの古墳からの出土品は近畿地方からの出土品と類似していて、応神天皇陵の倍塚からの出土品とそっくりであるという。このように見てみるとこの地方が古墳時代に何か重要な役割をはたしていたことは確かである。そして鬼の窟古墳の東側にある石貫神社は大山津見神が投げた一片の古墳の石が落ちた場所といわれている。
鬼の窟古墳を遠くから眺めるとコスモスで覆われていて木花之佐久夜毘売が鬼を弔っているよう
古墳の上はぐるりと一周歩けます
階段を下りると石室内に入れます