旧暦10月(平成30年の場合は11月17日から24日)は全国の八百万の神々が出雲の国に集まる月である。他の土地では神様が留守になるので神無月というが、出雲では神在月と呼ぶ。 神々が集う出雲の各神社では「神迎祭」に始まり、「神在祭」そして、全国に神々をお見送りする「神等去出祭」が行われる。
出雲大社の西方1kmにある稲佐の浜で、神々をお迎えする神迎神事が行われる。夕刻7時、浜で御神火が焚かれ、注連縄が張り巡らされた斎場の中に神籬が2本、傍らに神々の先導役となる龍蛇神が海に向かって配置される。神事が終わると、神籬は両側を絹垣で覆われ、龍蛇神が先導となり、高張提灯が並び奏楽が奏でられる中、参拝者が続き、浜から出雲大社への「神迎の道」を延々と行列が続く。この後、出雲大社神楽殿において国造以下全祀職の奉仕により「神迎祭」が執り行われます。これが終わると、ようやく神々は旅(宿)社である東西の十九社に鎮まられる。神々の先導の竜蛇神は、豊作や、豊漁・家門繁栄などの篤い信仰があります。神迎祭終了後には特別拝礼、さらに神在祭期間中にも八足門内廻廊に竜蛇神を奉祭する。
全国の神々は旧暦10月11日から17日まで7日間、出雲の地で神事、すなわち人には予めそれとは知ることのできない人生諸般の事などを神議りにかけて決められるといわれている。男女の結びもこのときの神議りであるという。神々が滞在される7日間、稲佐の浜に程近い、出雲大社西方950mに位置する出雲大社の摂社「上の宮(仮宮)」で、縁結びや来年の収穫など諸事について神議りが行われる。また、御宿社(神々が宿泊する宿)となる出雲大社御本殿の両側にある「十九社」でも連日お祭りが行われる。この祭事期間、神々の会議や宿泊に粗相があってはならぬというので、土地の人は歌舞を設けず楽器を張らず、家を建築せず、ひたすら静粛を保つことを旨とするので、「御忌祭」ともいわれている。
神等去出祭は旧暦10月17日 夕刻4時、出雲大社境内にある東西の十九社にあった神籬が絹垣に囲まれて拝殿に移動され、拝殿の祭壇に2本の神籬、龍蛇、餅が供えられ祝詞が奏上され、その後、1人の神官が本殿楼門に向かい門の扉を三度叩きつつ「お立ち~、お立ち~」と唱える。この瞬間に神々は神籬を離れ出雲大社を去られる。出雲大社の神在祭が終わると、引き続き松江の佐太神社で神在祭があり、斐川町の万九千神社より神々はそれぞれの国へ還られるという。出雲大社では、旧暦26日にも神等去出祭を執り行います。この祭典は、神様が出雲の地を去られたということを大国主大神に報告する儀式で、本殿前で神官一人が行う小祭である