・「道ありき」(34)
…親の脛かじりの前川正が、自分だけの決意で手術を受けるということは、親をないがしろにしたといわれても仕方がないことであった。しかしそのことに対して、親は親としての意見を述べながら、あくまで息子の意見を尊重していることに私は驚いた。立派な人たちだと思った。
やがて、彼は9日目にベットが空いて、正規に入院することになった。この僅か9日間だけが、後にも先にも、わたしが彼と同じ部屋で昼夜を共にした唯一の生活であった。…
…親の脛かじりの前川正が、自分だけの決意で手術を受けるということは、親をないがしろにしたといわれても仕方がないことであった。しかしそのことに対して、親は親としての意見を述べながら、あくまで息子の意見を尊重していることに私は驚いた。立派な人たちだと思った。
やがて、彼は9日目にベットが空いて、正規に入院することになった。この僅か9日間だけが、後にも先にも、わたしが彼と同じ部屋で昼夜を共にした唯一の生活であった。…