扇の的(那須与一)
源氏と平家の軍勢が
陸と海とで対峙する夕暮れ時。
平家側が「射れるものなら射てみよ」と
設けた的は、
海上の小舟に立つ竿の先の扇。
それを受けて立つ射手は、
源氏軍の若武者、下野の国の那須与一。
与一は目を閉じ、「南八幡大菩薩・・・」と
心の中で武運の神に祈念すると、
強弓に鏑矢を番い、
ぎりぎりぎりっといっぱいに引き絞って
ひょうど放つ!!
鏑矢は波の上を鋭く唸って飛んで行き
見事扇の要際を射る。
扇は空へ舞い上がってから
海へさっとばかりに落ちて行き、
「白波の上に 漂ひ、
浮きぬ沈みぬ 揺られければ、
沖には平家、ふなばたをたたいて 感じたり。
陸には源氏、えびらをたたいて どよめきけり。」
海上の平家軍、陸に並んだ源氏軍、
いずれの側からも
やんやの大喝采が起こったのであった。
平家物語・扇の的
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