マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
写真やイラストはフリー素材を拝借しています。

父の故郷訪問記(6) 

2022年04月09日 | 私の昔

 

父の故郷訪問記(6)

50年前の思い出

 

シリーズものなので

まだの方は順に読んでね

 

→ 父の故郷訪問記(1) 

→ 父の故郷訪問記(2) 

→ 父の故郷訪問記(3)

→ 父の故郷訪問記(4)

→ 父の故郷訪問記(5)

 

 

 

おばあちゃん = 父の19歳上の実姉

寅四郎さん  = おばあちゃんの四男

 

 

寅四郎さんと父と三人で、

近所の浜辺に出てみた。

海沿いに暫く歩いて行くと

河口にぶつかった。

それはさほど大きくない川だった。

指呼の間、とでもいうのか、

両岸でしっかりと大声を出せば

話ができそうなくらいの川幅で、

護岸工事のない自然の姿のまま

日本海へ注いでいる。

そしてその水は

水晶のように澄んで煌めいている。

おばあちゃんによれば、

あの川を昔はたくさんの鮭が

「ごんごんごんごん上ってきた」

という。

ごんごんごんごん」・・・

わぉ、ぴったりな表現!

 

 

 

おばあちゃんと家の近所を歩いていた時、

空地の荒れ果てた草むらに、

溝のように長く窪んだ箇所があった。

あれは水路の跡で、自分が若い頃は

舟が行き来していたと

おばあちゃんは話してくれた。

 

今では水路を行く舟といえば

観光地しか思い浮かばないけれど、

昔はあちこちの町や村で

舟運は日常生活に密着していた。

マイカーを運転する感覚で、

人や物を載せて

川や水路を往来していたのだ。

 

 

そういえばわたしは、40代の頃

知り合いからこんな話を聞いた。

彼女は若い頃、

同居する祖母のお使いで

祖母の実家を初めて訪れた。

電車やバスを乗り継いで、

大変な大回りの道のりだったという。

帰ってから祖母に

「なんでこんな行き来の不便なとこに

お嫁に来たの」と尋ねたら、

実家と婚家は、利根川沿いの上流と下流

それぞれの地域にあり、

昔は舟で往来していたから

面倒はなかったとのこと。

 

それを聞いたわたしは、

へえ、と思うと同時に

すぐ新潟のことが頭に浮かんだ。

彼女の祖母と新潟のおばあちゃんとは

年頃も近い。

新潟のおばあちゃんも、舟に乗って

嫁いで来たのではなかろうか。

昔の水路の話のときに、ちらと

舟で嫁入りしたと聞いた気もする・・・

水路をすべるように進む舟に

つつましく座す白無垢の花嫁。

同乗しているのは

紋付羽織や黒留袖の人々。

そして、静かに竿を操る船頭・・・。

ああ、

なんと絵になることか!

 

 

             

 

父が新潟でもらった古文書

 

父はそれを丸めて筒に入れて

大切にしまっていた。

筒には父の文字で

「乙宝寺議定證文之事」とある。

 

長いので2枚に分けて撮影。

前半部分 

 

この文書は、寺と檀家との

稟議書のようなもの?

後半部分 

 

 

父の故郷訪問記(7)最終回 に続く



最新の画像もっと見る