中国の動物園はいくつか来訪したことがありますが、20年以上さかのぼります。北京動物園ではパンダよりも、芸をする熊のほうが人気者でした。山西省太原市動物園では驚愕の! 生き物展があり、「空飛ぶ亀」がウミガメのはく製だったり、ぼろぞうきんのように薄汚れたパンダが露天で展示されていたり、香ばしい魅力が満載でしたが。
今回のメインイベントともいうべき、上海野生動物園です。上海動物園とは別物となります。野生動物園は、日本でいうサファリパークです。そう訳した方が響きがよく、集客にもいいのでは、と思いますが。これまた、事前にネットで調べ倒します。エンターテインメント的な行き先としては、民間のテーマパークだけでなく、公共色が強い施設が多くありますので、ぜひともチョイスの対象にしましょう。動物・水族・昆虫・博物・美術など、多くの施設があります。比較的安価で入場できますし、事前に展示内容を確認できます。時間の制約等により、今回は野生動物園のみにターゲットを絞りました。事前調査では、金網バスで猛獣との接近遭遇、象に乗れる(かも)、子トラと触れ合える(かも)、ワオキツネザルの島、パンダの展示などが確認できました。どれも日本ではなかなかありません、多分。期待が高まりますよね、子どもでなくても。ホテルも徒歩でいけるところを予約してしました。
で、地下鉄で野生動物園駅まで行けます。アクセスがいいのかなあ、と思いきや、さにあらず。事前にgoogle mapにて調べておきましたが、徒歩で約30分くらいはかかるかなあ。バスとかは乗りたくないので、子どもも荷物を背負って歩きます。正確には、野生動物園の並びにあるホテルまでの道のりなのですが、夜で暗いわ、雨は降るわ、知らない土地だわ、と不安の中での行軍です。人っ気のない道路をひたすら進み続けます。「まっすぐ行って、次の交差点を曲がるだけ」なのですが、中国のスケールを味わってもらいます。直線の道路にもかかわらず次の交差点はまったく見えません。結果的には今回の旅で一番キツい局面であったと思いますが。やっとの思いで交差点にさしかかり、曲がったところで「このフェンスの向こうが野生動物園だぞ」と言いますと、何も見えない暗闇にもテンションが上がるようです。茂みの向こうにかすかに動物の声と、獣臭がしたような気がします。
滞在した「汤记ホテル」は、高級とはいえませんが、なかなか快適でした。フロントでテェックアウトの時間を確認。13時とのことで、それまでに戻ってくればいい、と。荷物を背負ったままでは疲れますから、最低限のものだけ持って、いざ!
通りから敷地内に入りましたが、入り口ゲートはン百メートルも先にあります。チケットセンターでチケットを購入。ここも子どもは身長で値段が決まります。ほどなく、大きなゲートをくぐります。しかし、でかい動物のオブジェがあるだけで、全くそれらしきものが見えません。広い。
まずはお目当てのサファリバスへ。普通のバスは入場料に込みこみですが、おとな1人40元チャージで金網バージョンのバスに乗り込みます。事前のリサーチでは、串に刺した肉片を金網越しに大型ネコが食べるというパフォーマンスがあるとのことだったのですが、運ちゃんが車外に放り投げる肉に個別に寄ってくるだけのパフォーマンスでした。もしかすると、最近あった事件の影響かもしれません。入場料をケチったオッさんが、中国某所の動物園の壁を乗り越えてジャンプして降り立ったのは、tiger zone。ものの見事に喰われてしまいました。可哀想なのは、その場で射殺されてしまった虎。まさに無念の死を遂げたのでありましょう。ホントにあほなことをしてくれたもんです。
鳥類エリアから始まります。孔雀が羽を広げているのも、子どもたちは初めてのようで、ワーワー言ってます。和気入道としてはタンチョウヅルが普通にいることにびっくり。さらに草食動物エリアでは、バスから葉っぱの付いた枝を差し出し、キリンが近づいてきます。金網越しにバリバリ食べてますよ。おー! と車内から歓声が上がります。続いて、ライオン・ホワイトタイガー・チーター・狼などの猛獣エリア。バスから肉を落として、バスの付近まで寄ってきます。なぜか1頭ずつで、役割が決まってんですかい? てな感じでしょうか。開園1番のはずですが、活性はイマイチかな。マレー熊のエリアで終了。大分別府みたいに自身の車で行くスタイルではありませんでしたが、これはこれで十分面白かったです。各エリアが広いので、かなり道路から離れたところに動物がいて、遠くに臨むような感じもありましたが。
で、園内を歩いて各動物の展示を見て回ります。日本のそれとは違って、隣接しておらずそれぞれが独立しています。広さ故のレイアウトでしょう。展示の仕方もしっかりしており、鉄格子の檻はありません。お金かけてるんだろうなあ。ショップも点在しており、アイティムも豊富な感じです。商売上手な。飲食はディズニーランドほどは高くありません。飲食ブースもいくつもあります。休憩がてらイチゴのソフトクリームを食べました。値段・味は普通でした。園内順路には電動の連結カートやレンタルの足漕ぎの車型自転車がたくさん走っています。歩きではしんどいからでしょうね。我々は利用しませんでした。
てくてくと歩いていると、電動スクーターにまたがったオッサンが何やら叫びながら通っていきます。後にはリボン状のロープを持ったスタッフが両サイドに道をかき分け、人を脇へと誘導します。ほどなくすると、こんな陣列がやってきました。
ちょっと上品なワンワンたちに続いて、おさるを乗せたヤギです。まあ、そんな大そうなパレードでもねえなあ、と思いきや…………………
パオンの群れが。野放し? の6頭が真横を通っていきます、粛々と。なんか、夢でも見ているようです。ある意味、すごい光景ではないでしょうか。
有料の触れ合いコーナーもあります。ポニーやラクダに乗れます。あんまり乗ってる人いなかったですが。
お楽しみの1つ、ワオキツネザルの島に行きます。島といっても陸続きで、歩いて行きます。池のなかにあるこんもりした丘に登ります。展示スペース兼檻がありますが、なんにもいないよ。茂みや木立をよ~く見ると、なにやら動く気配が。しばらくすると、舞い降りてきました。
たくさんいますよ。小粒を連れたファミリーも近くまで寄ってきます。かわいさ爆発です。すごい数。ン十頭いるんだろうか。茂みの中を群れで走り回っています。
なんとか気を引こうと、葉っぱの付いた枝を見せたり。どんどん近寄ってきます。頭をなでたり、甘噛みされたり。
モフモフもいいとこ。マダガスカルか、ここは。はっきり言って、1日いても飽きないと思います。癒しの極致です。何かに疲れてどうしようもなくなった皆さん、ぜひお越しください。
中国の動物園ですから、パンダ(熊猫)もいます。のんびりまったりしております。
開放感があり、日本の閉鎖空間で観るのとはちょっと違う。でも、まあ見たよね、くらいのもので 、それほど感激も感動もない、と思いきや………………………
次の展示にいたのは!
飼育員さんに連れられた2頭の小バンダ。生後、6カ月なんですと。
ときおり滑ってしまうよたよたした足取り。ミャーミャー鳴きながら、遊んでいるようです。
もう、何もいうことはありません。直線で約2メートル先の光景です。ずっと見ていたい。
1日以上かけて滞在できるスポットです。各展示には日本語の表記もあり、一応はそんな配慮があります。清掃も行き届いていて、清潔な感じです。ファミリーのレジャーに、ご利用ください。和気一家は多分リピートすると思います。
【まとめ】
上海野生動物園は地下鉄でアクセスできる子どもにもお薦めのスポットです。時間をたっぷり取りましょう。
予告・アナウンスなく、いろいろな仕掛けがあるようです。なにかを期待しなくても、なにかが起こるかも。