虹の戦士を語ろう、と決意したのはいつだったか。
この物語と出会ったのは10年以上前。当時とある山奥の生涯学習施設でこどもたちのキャンプや環境教育といったことを仕事にしていた時。マザーアースエデュケーションというプログラムを展開されている松木正さんとの出会いからだった。こどもたちや大人たちとインディアンのスピリットを学ぶキャンプ、スゥエットロッジセレモニー、インディアンソング…。こころがどんどん解き放たれていった。
その後転居、出産を経て語りという世界に出会い、民話を語ることは魂の語る言葉を伝えることなのだと知った。久しぶりに図書館で北山耕平さんの本を見つけ、「アシハヤ」という少年の勇気の物語をちいさなキャンプの焚き火を囲んで語った。小学生の男の子が深い息をついて言った。「こんな物語、聞いたことがない」。語らなければと思った。こんなにも、子どもも大人も物語に飢えている。
それでも虹の戦士という物語はかなりの長編でそしてとても大きな物語で、自分に語る力があるのかと足踏みしてた。
そんな中、たくさんの虹の戦士と出会った。目覚め走り出そうとしている魂たち。この生まれかけている大切な光に、物語を伝えたいと思った。今だ、語るのは今だとはっきりとわかった。勇気を振り絞って北山耕平さんにも上演許可をいただいた。温かな仲間の縁が、耕平さんへ私の想いを届けてくれた。
石川征樹さんという、稀有なギタリストと出会い、この深く潜っていくような、世界を旅するような音楽とならば虹の戦士の世界を描けると勇気が出て、そして昨夜初めての上演になった。
この物語はぼくらのことですよね、今を描いているのですよねと、深い瞳で声をかけてくれたあの人この人に、そうなんです、私はどうしてもあなた方を語りたかったのですと、ちゃんと届けられた喜びに心が震えた。
やわらかな心と強い意志で傷つきながら羽ばたいている愛おしい仲間たちに。
自由と勇気を奪われているこどもたちには、あなたのこころにはちゃんと自由も勇気もあるよ、あなたが気づいてくれるのを待っているのだと。
この物語には、大きなチカラがある。
全国でこの物語を語る人がいるけれど私はここで、私の故郷で、ご当地虹の戦士を語り継ぐ。この地で目覚めつつある虹の戦士たちへ。
昨夜のあの古民家の空間を共に過ごしてくれた人すべてに感謝をこめて。
そして、昨夜は来られなかった人にも、これはあなたの物語なのです。