私の夢

私の夢について語ります。
あるものになりたいとか、こうしたいとかではなく、
漠然とした何かについてです。

「わたしは貝になりたい」という、映画がありました。
太平洋戦争、上官の命令で捕虜を殺害した、一兵卒の話です。
戦後、戦犯として裁かれた二人はどうなったでしょうか。
命令を下した上官は、証拠不十分で無罪。
直接、殺めた一兵卒は、有罪で絞首刑となりました。
彼は、命令に従うしかない立場でした。
泣く泣く、従ったのです。
刑の執行直前、彼の魂は叫んだのです。
……わたしは貝になりたい……と。

深い海の底、誰からも気付かれず、ひっそりと生をおくりたい……。
もし生まれかわれるとしたら、貝がいい……。
人にだけは、生まれかわりたくはない……。
そういう映画です。

わたしは思うのです。
不条理という言葉の前には、何かがあると思うのです。
人間故のこと、人だから。

その貝は、こう言ったのかもしれません。
……トム　トム　クララ　トララ　ララ……

私の夢は、そうっと耳を傾け、うなずけるようになる事です。