故郷に錦を飾る

この前、我が女親方を小生のふるさとにご招待しました。
やっと親方の重い腰をテコで上げての旅行です。
かねてからの念願がとうとう叶いました。
本当にありがとうね。

あの日、夜遅く温泉宿に着きましたね。
仕事が長引いてしまって、ゆっくり出来なくてごめんね。
いい湯でしたね。２４時間のかけ流し温泉、どうでしたか？
ネットで、手ごろで綺麗なところを探したんですよ。
あなた好みの所を。

次の日、私の生れた町の小学校、中学校、高校をまわりましたね。
駅から小学校に向うタクシーの運転手、私の後輩でした。
こちらとしては、お忍び旅行でもあるので、ばれないかヒヤヒヤでした。
とうの小学校は、少子化で統廃合されてて驚きでした。
帰り際に幼なじみの「しょうちゃん」らしき人を発見。
床屋に入るところで、あの人、頭が爆発してましたね。
もしそうだとすると、やけに老けてた。
向こうも、もしかしたら気付いたかも。
あるいはこんなことを思ったかも……。
（あの男は、てるちゃんではないか）
（でも隣にいい女がいるではないか）
（そうすると、てるちゃんの訳がない）
（でも、てるちゃんに似ている、だが、てるちゃんに女が出来る訳がない）
（断固、てるちゃんじゃない！！）

それから中学校に向いましたね。
川沿いの懐かしい堤防を、二人で歩けてうれしかったですよ。
学生の頃はよくランニングしてた所です。
ずっと歩いて、川をせき止めたヤナ場に行きましたね。
そこで取れた鮎を食べましたね。子持ちの鮎は珍しいんですよ。
鯉こくは、骨とうろこで良くなかったかな。

それから今度は高校でしたね。
ガラの悪い学校だったので、あまり見せたくなかったのですが。
案の定、すれ違った後輩はヘンテコでしたね。
でも、あんなのはいい方ですよ。
あの子だけで良かった。ホッ。
そうそう、当時の行きつけのラーメン屋、おいしかったでしょ。
あの町で一番有名なとこなんですよ。
高校時代の良き思い出は、このラーメンを毎週食べてたことかな。

そうこうするうちに、本日のお宿に到着です。
そこも温泉宿なのでアッタマリマシタネ。
隣の部屋との壁がうすくて、「あばれ太鼓」出来ませんでしたね。
かんべんしてやって下さいな。

次の日のお昼は、まずいそばとおいしいそば、はしごしちゃいましたね。
おなかいっぱいでしたね。海藻をつなぎに使った「へぎそば」です。

あとは新幹線で雨の降る前に帰って来ましたね。
かさねがさね、ありがとうございます。
あの頃は……でした。察して下さい。
でも、今は違います。

ここでひとつ、ふるさとの夏祭りのあばれ太鼓を披露したいと思います。
（どぉんこどん、ちゃちゃちゃ、どぉんこどん、ちゃちゃちゃ）
（どどどどっどん、ちゃちゃちゃ）
（どんどんどんどん、ちゃちゃちゃちゃ）
こんな感じです。

わたしの太鼓のほうの上達具合は、愛しき女親方がようご存知ですがな。
ほな、また。