その猿 おもねる
にっと笑い また おもねる
うつむいては 泣き真似し
ちらっと見るは さぐり顔
その猿 手を叩く
切ない芸として 叩く
横見ては おべっか
透かしては 得意顔
だけど 本当は違う
手を叩きたくはない
笑いたくはない けれど
疲れては 笑い
笑っては 疲れ
今日も おもねる
仮象の声・・・・
・・・・駆け足でついて来いよ
・・・・俺を追い越すんだ
・・・・超越の方がいいよ
・・・・固執よりはね
・・・・だけど 心配か
・・・・なら 酒を飲め
・・・・古い方がいいよ
・・・・酔えなくてもましさ
・・・・そして 女だ
・・・ 売笑がいいよ
・・・・似合ってるさ
・・・・影男には 底を割った女
・・・・それが合法ってもんだよ
・・・・俺はいつか消えるよ
・・・・お前と一緒にね
・・・・世界と一緒にね
・・・・あっさり と 消えちまうんだよ
世間では、幸せ顔が流行っています
ガラスの去勢を自信と言います
わがままゆえ、欲獣となっています
見えないのに、見えたと言い張ります
うらぶれるのは、弱さだそうです
上を向けるのは、力だそうです
遠慮するのは、卑屈だそうです
エゴ人間、大手を振ります
罠にはまるは、馬鹿だと言います
適応なき妥協は、阿呆だと言います
だけど、すべては運なんです
今も昔も、そうなんです
人間なんて・・・・
つまり、つまり仮象なんです
本当の悪は、笑いながらやって来る
擬態の仮面付け
微弱を装い
善人面でやって来る
本当の美は、追われるを避ける
狩人を拒み
近付き過ぎるを、許さない
そして仮面をかぶる
本当の悪も本当の美も、ある所が似ている
・・・・それは 何か?
もしや、この世のからくりでは
しかし、そうならば
つまり、仮面は必然か
ならば、どうして・・・・
ああ 沙翁
真の偉大なる者よ
高貴なる才人よ
溢れる天賦よ
妙なる誉れよ
我は 賛美する
ああ 沙翁
そなたの文字を
そなたのロマンを
そなたのソネットを
我は 畏敬する
故に 故に
我も進む
ソネットのもとへ
麗しきソネットのもとへ
我も 進む
虐げられた観念よ
押し殺された心象よ
みんな悪いは 卑屈ゆえ
みんなみんな 弱さゆえ
生きる怖さゆえ
死ぬ怖さゆえ
縋る袖 無きがゆえ
ただ 惚けゆく
懈怠の憂鬱
低劣な隘路
前途 待ちゆく
四面なくして
まだまだ二面
微かに 安堵する
お前は奇態で、憐れだった。
俺もそうだ。
笑ったね・・・・
また、笑ったね・・・・
そう、またまた、笑ったね・・・・