私は前から、ロシアは不思議な魅力を持った国だと思って来た。
ロシア文学、絵画、音楽、演劇などが独特の素晴らしさがあると。
特に、ドストエフスキーの深遠さ、頭を殴られるほどに心酔している。
トルストイの求道精神は神がかっている、魂の昇華に魅せられる。
ムソルグスキーの奏でる音には、ロシアの大地の歴史までが顔を出す。
民族もそうである。どこかヨーロッパと違う感も否めない。
やはりこの民族は、辿って来た歴史、すなわち民族の移動の過程で違いが出て来たのでは。
太古のスラブの地が、今のウクライナあたりとして、この民は北へ北へと移動した。
これは、移動せざるをえなかったのであろう。追っての他民族の来ない、より寒い大地へと。
侵入して来たノルマン人に奴隷にされていた。スラブの語源は「奴隷」である。
その北へと逃避の過程で、今度はアジア系のフィン族と遭遇していった。
明らかに異質と思ったのでは、ヨーロッパから外れれば外れる程、異空間になっていった。
おそらく、とんでもない戸惑いに包まれ、夢の大地に入ったと思ったのでは。
フィン族とは、今のフィンランド人のことである。ハンガリーもアジア系が元である。
エストニア人もフィン族の末裔。モスクワあたり一帯はアジア系の大地だった。
スラブ民族は混血していったのである。これはアジアとの出会いであった。
さらにである、13世紀からのモンゴル支配250年で、アジアの恐怖を知る事になる。
当時のモンゴルは野蛮ゆえに強かった、ロシアはヨーロッパ精神が足かせとなった。
ロシアからすると、東方から黄色い顔をした野蛮人が大挙襲来して来たと。
騎馬民族の急進さには叶わない、国土は蹂躙され殺戮の嵐に包まれた。
スラブ民族は東の異世界、アジアの恐怖に対峙する事となり、従属していった。
このモンゴル支配の「タタールの軛」で、またまた、スラブは変わってったのである。
あえて言う。この抑圧がロシア民族の、生き抜く上での「ずるさ」に繋がったのでは。
これで、また混血が進む。アジアの血が、様々に作用してきて、より独自にと。
それがである、モンゴルが去った後、まるで真空地帯が生まれた。
スラブ民族は解放後、東の大地へと目覚めていったのである、先には何がある。
もはや敵なしである。かつての仇を獲るかのように、どこまも征服していった。
北は極北へ、東はベーリング海峡を越えアラスカへ、沿海州、サハリン、千島へと。
スラブ、そうロシアを目覚めさせたのは、モンゴル帝国ではないかと、思う次第。
その民族を理解するには歴史を知るのも、重要と思う。歴史は鏡。
様々な問題解決を解く鍵が、歴史にある、とも言われている。
そこで、今のプーチンのウクライナ侵攻、いや侵略である。
もはや占領どころか、ドンバス併合の野心は明らか、侵略戦争である。
一人の起こした戦争は、その一人が消えれば終焉なのか。いや、もう遅い。
まことに残念ながら、私の好きなロシアそのものが、悪者になってしまった。
ロシアの良心はどこへ行った。あのプーチンには、何もない。
本題、私はクーデターを期待する。
軍、治安機関、そして大勢の民の良心に期待する。