パソコン美人におんぶにだっこ

パソコン相撲 入門

プーチン問題、パート5

2022-04-24 10:25:22 | パソコン相撲
本題に入る前に、所感から載せます。

私は前から、ロシアは不思議な魅力を持った国だと思って来た。
ロシア文学、絵画、音楽、演劇などが独特の素晴らしさがあると。
特に、ドストエフスキーの深遠さ、頭を殴られるほどに心酔している。
トルストイの求道精神は神がかっている、魂の昇華に魅せられる。
ムソルグスキーの奏でる音には、ロシアの大地の歴史までが顔を出す。

民族もそうである。どこかヨーロッパと違う感も否めない。
やはりこの民族は、辿って来た歴史、すなわち民族の移動の過程で違いが出て来たのでは。
太古のスラブの地が、今のウクライナあたりとして、この民は北へ北へと移動した。
これは、移動せざるをえなかったのであろう。追っての他民族の来ない、より寒い大地へと。
侵入して来たノルマン人に奴隷にされていた。スラブの語源は「奴隷」である。

その北へと逃避の過程で、今度はアジア系のフィン族と遭遇していった。
明らかに異質と思ったのでは、ヨーロッパから外れれば外れる程、異空間になっていった。
おそらく、とんでもない戸惑いに包まれ、夢の大地に入ったと思ったのでは。
フィン族とは、今のフィンランド人のことである。ハンガリーもアジア系が元である。
エストニア人もフィン族の末裔。モスクワあたり一帯はアジア系の大地だった。
スラブ民族は混血していったのである。これはアジアとの出会いであった。

さらにである、13世紀からのモンゴル支配250年で、アジアの恐怖を知る事になる。
当時のモンゴルは野蛮ゆえに強かった、ロシアはヨーロッパ精神が足かせとなった。
ロシアからすると、東方から黄色い顔をした野蛮人が大挙襲来して来たと。
騎馬民族の急進さには叶わない、国土は蹂躙され殺戮の嵐に包まれた。
スラブ民族は東の異世界、アジアの恐怖に対峙する事となり、従属していった。
このモンゴル支配の「タタールの軛」で、またまた、スラブは変わってったのである。
あえて言う。この抑圧がロシア民族の、生き抜く上での「ずるさ」に繋がったのでは。
これで、また混血が進む。アジアの血が、様々に作用してきて、より独自にと。

それがである、モンゴルが去った後、まるで真空地帯が生まれた。
スラブ民族は解放後、東の大地へと目覚めていったのである、先には何がある。
もはや敵なしである。かつての仇を獲るかのように、どこまも征服していった。
北は極北へ、東はベーリング海峡を越えアラスカへ、沿海州、サハリン、千島へと。
スラブ、そうロシアを目覚めさせたのは、モンゴル帝国ではないかと、思う次第。

その民族を理解するには歴史を知るのも、重要と思う。歴史は鏡。
様々な問題解決を解く鍵が、歴史にある、とも言われている。
そこで、今のプーチンのウクライナ侵攻、いや侵略である。
もはや占領どころか、ドンバス併合の野心は明らか、侵略戦争である。
一人の起こした戦争は、その一人が消えれば終焉なのか。いや、もう遅い。
まことに残念ながら、私の好きなロシアそのものが、悪者になってしまった。
ロシアの良心はどこへ行った。あのプーチンには、何もない。

本題、私はクーデターを期待する。
軍、治安機関、そして大勢の民の良心に期待する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プーチン問題、パート4

2022-04-18 12:26:35 | パソコン相撲

プーチンはウクライナ侵攻の、タイミングを狙っていた。
ウクライナの混乱に付け込んだクリミア侵攻(2014)が、「成功」したのに味をしめた。
2017年5月、フランスに、軽量マクロン内閣が出来た。
2019年5月、ウクライナで、ユダヤ系のタレントが大統領になった。
2021年1月、ある種の気脈の通じたトランプが、幸か不幸か選挙に負けていなくなった。
2021年12月、ヨーロッパの重鎮、ドイツのメルケルが勇退した。
2022年2月20日、友好国、中国の北京オリンピックが閉幕した。

プーチンは思ったのでは……
……さてと、これで平和の祭典も、一先ず終わった事だし、いよいよ乗り出すかな。
……面子を重んじる中国の、習近平の顔を立てた。あれは味方になってくれる。
……まあ、パラリンピックまでは、片が付くだろう。キエフが落ちれば終わりだ。
……しかしまあ、ウクライナは、よくもユダヤ系を選んだもんだな。
……あの男は、ドラマで演じた大統領がよほど面白かったんだろうな。
……その真似事が高じて、本物の大統領になったのかよ。ふっーー。
……ウクライナには、スラブの埃は無いのかよ、元々はロシア正教会ではないか。
……兄弟よ、お前はどこへ行く。同志よ、ソ連時代の栄華を思い出せ。
……世界へ冠たる領土、イデオロギーの大国、我らは偉大でなければならないのだ。
……西側への裏切りは許さん、スラブの未来永劫の為に強硬手段を取るぞ。
……それが今だ、政権転覆を計る、傀儡政権を樹立させる、あわよくば併合だ。
……仮に、うまくいかなくとも、ドンバスを得てクリミアと繋げる。
……オデッサもほしいな。黒海へ出れなくしてやる、内陸国へとな。
……さあ、作戦開始だ。これは使命だ、血は厭わない、後世はわかってくれるだろう。
……スラブ、ロシア、ソ連…………ウラーーー。



そして、2022年2月24日を迎えたのではないか、と私は思う。
どうも、小説っぽくなってしまうが、そう思う事は、そうなのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国夜話 毛沢東異界漫遊記(二十二話) 女スナイパー、ウクライナに参上の巻

2022-04-15 17:32:03 | 小説
独ソ戦、スターリングラード攻防戦では、街が血に染まった。
この都市を落せば、カフカスの油田が手に入る、ドイツは油にも飢えていた。
なまじスターリンの名を冠したこの町は、ドイツ南方軍集団の熾烈極まる攻撃を。
迎え撃ったソ連軍は、背後をヴォルガ川とし逃げようがない、そればかりか味方にも。
党直属のスメルシに退却は逃亡とみなされ、機関銃の蜂の巣にされた。
武器弾薬も無く、人の塊となって白兵戦を挑んでいったのであった。

そんな中、ソ連はスナイパーを養成し前線に投入した。
弾が無いのである。少ない弾で確実に撃ち、戦局の好転を計った。
大者狙い、師団、連隊の参謀、大隊や中隊の指揮官を狙い撃ちした。
この女スナイパーは、ドイツ兵を百近く殺した英雄である。
だが、その彼女は、散って行った。スターリングラードの花として。
凄腕ドイツスナイパーに撃たれた。侵略者を許さないという声は消えない。
そう、私は現代に蘇らせたい。彼女に出て来てもらいたい。
今度はロシアに対峙してもらいたい。ナチスに立ち向かった、あの魂で。
彼女はロシア人である、なれど、なれど侵略者を許さない心は同じだ。
ウクライナの為に、ウクライナ人スナイパーとして現れてもらいたい。
この物語の毛沢東に、口説き落としてほしい……


毛沢東 「あなたの事は、知ってます。国民英雄ですな、赤い狙撃手」
    「ロシア人ですな。愛国心でスターリングラードで活躍し、称えられました」
    「それは良くと、わかっておりますが、お願いの義があるのです」
リューバ「私はリューバ、ルースキーよ。ウクライーナではないわ」
毛沢東 「ええ、そうなんですが、あなたの狙撃の腕を見込んでの事なのです」
    「今の下界でのウクライナを舞台とした戦を、何とかしたいのです」
    「兄弟が兄弟殺しをしとるのです。骨肉の修羅場と化しておるのです」
    「どうかここは、ウクライナ兵として現れて、野望に立ち向かってもらいたいのです」
    「是非とも、あなたに置かれては、ロシア軍の指揮命令系統に打撃をと」
    「そう、雑多の兵ではなく、将官や指揮官らの狙い撃ちをと、是非に」
リューバ「前の独ソ戦の時は、ウクライーナと共にナチと戦ったわ、でも」
    「私には同胞打ちは出来ないわ。私はロシアを愛している、だから志願した」
毛沢東 「では、あなたのスターリングラードでの話を聞かせて下され」
リューバ「ダー、いいわ。それは思い出したくも無い事だけど、ええ……」
    「ただ侵略者が憎かった。ロシアの大地を壊し、殺戮の限りを尽くした」
    「そう、そこで私は撃たれ、死んだのよ。22だったわ」
毛沢東 「痛み入ります。あなたは、敵を数多く狙い撃ちで仕留めましたな」
    「狙撃手の腕や、さぞや素晴らしかったのですな、その証ですな」
    「もっと、語っては下さりませぬか」
リューバ「ダー、私はスナイパー、コードネームはJJ、髪に赤いリボンを付けてたわ」
    「これは目印、仲間のソ連兵の目を引く為よ、この兵も達が悪いの」
    「戦場では生きるか死ぬかね、男らは敵も味方も女には容赦しなかったわ」
    「女の兵士は、敵に捕まれば、まわされた挙句、とどめを刺される」
    「味方だってそうよ、殺しはしないけど、隙さえあれば襲ってくるわ」
    「でもね、そこを利用するのよ、ちやほらさせといて、素性を隠すの」
    「スナイパーはね、敵も味方も誤魔化してまでも、獲物を狙うのよ」
    「兵達は私の正体に気付かなかったわ。そうして部隊に紛れ込まされたの」
毛沢東 「なるほど、味方を騙してからですか。ただの、可愛い女兵士にと」
    「ソ連兵は、今度は夜になると、敵みたいになるのですな」
    「これじゃ、あなたの正体に気付きませんわな、頭ぽっぽですな」
    「でも、かわしてたとすると、どうやって、その……」
リューバ「あの、それはね、男の目の中に入るのよ、狼になって飛び込むの」
    「私は狼、あなたは獲物、あなたは喰われる、私にってね」
    「まあ、仲間は仲間、その男が怖気付けば、それでいいわ」
毛沢東 「狼の目で防ぐのですな、でも、ドイツ兵だと、その目で仕留めるのですな」
リューバ「ダー、ダー、私は本当の狼となってとどめを刺す」
    「狙撃はね、相手のみぞおちを狙うのよ、ど真ん中をね」
    「たとえ外れても、どこかに当たるかもだから、そうするの」
    「中には頭を狙うのもいるけど、よっぽどの腕ね、私はそうしなかった」
    「あのね、仲間のイリッチはね、ドイツ親衛隊の軍帽のどくろを狙ってたわ」
    「彼は優秀よ、手柄を沢山たてたわ。私の憧れだった、でも……」
    「スナイパーはスナイパーに撃たれる、より凄い奴にね」
    「私よりも先に消えてった、眉間を狙われて、お仕舞いに」
毛沢東 「リューバさん、今のロシアは一握りの悪党に乗っ取られているのですぞ」
    「だだの兵ではなく、指揮官連中を仕留めるのです、ロシアを救う事になるのです」
リューバ「国を救う? それは国の為だったら、私はまたスナイパーになるわ」
    「ウクライーナに味方し、戦を早く終わらすのが、国の為なのね」
    「ハラショー、指揮官に狙いを定めて、戦場に舞い戻るわ」
    「ダー、ダー、あの頃に帰ったように、みぞおち狙いね、任せて」
毛沢東 「ウクライナもロシアも救うために、頑張って下され……」




スナイパーは、石にも木にもなる、風下から襲いかかる狼にもなる。
己の存在を消し、まわりに同化して、その時をじっと待つ。
先に一発打って外し、二発目を打った瞬間に、今度は敵のスナイパーにやられる。
このリューバは、スターリングラードの可憐な花として散った。
好きだったイリッチみたいに、眉間をだった……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プーチン問題、パート3

2022-04-13 16:32:36 | パソコン相撲
プーチンは悪である。悪の論理で回っている。
蛇の道は蛇。では、歴史上で誰に似ているであろうか。
私はヒットラーよりも、スターリンに似ているのではないかと思う。
彼のスターリンはグルジアの本当の悪上がりである。売春宿の用心棒。
そこで人の心の底を知った。所詮この世は欲で出来ている、人の欲を利用しようではないかと。
圧倒的な数のロシアの貧者は、豊かになりたいと言う欲に動かされている。
その欲の塊を使って帝政ロシアを打倒しよう、みんなが共に等しく、みんなが幸せへと。
これは中国の毛沢東にも言える、この等しく、と言うのが共産主義に繋がっていく。

かたやヒットラーは、悪上がりではない。
第一次大戦後の澱んだウィーンの臭気が、この男を狂気へと向かわせてしまった。
世が世であれば、売れない画家での一生があったのかもしれない。
弁護するわけでは毛頭ないが、美を求めていたし、得てもいた。
愛人エヴァ・ブラウン、彼女を得た。淡いほどに、心も綺麗な女性を。

話がいささか脱線してしまった、私が言いたいのはこうである。
スターリンならウクライナをどう攻略するか、である。
……まずベラルーシから南下して、キエフにカチューシャ(ミサイル)を打ちまくる。
  ドンバスから戦車隊で進撃し、ドニエプル川を目指す。
  クリミヤから東へと回廊を作りアゾフ海を内海にし、ドニエプル川以東を抑える。
  軍を二手に分け、オデッサを落し黒海への道を無くす。
  モルドバの沿ドニエストルのロシア系をあおり、モルドバから分離させる。
  後は、北、東、南からキエフ包囲へと軍を進める。
  首都の陥落後は全軍をリビウへと向かわせ、全土を席巻する……

もしやプーチンは、ウクライナ全土の併合を狙っていやしないか。
はたしてドンバス奪取だけで収まるのか、やはりクリミアと繋げたるだろう。
また同じロシア系住民の多い地、モルドバにも矢を向けるのだろうか。
黒海北岸を抑え、ウクライナを内陸国にして海軍を無くす気か。
国そのものを無くし、ロシアの地方にする気なのか、どうなのか。

蛇の道は蛇。
もしやスターリンの再来だとすると、キエフが今度こそ危ない。
かつて独ソ戦で、ワルシャワまでドイツ軍を追い詰め、共に戦おうと市民を蜂起させた。
ところが直前で足踏みし、蜂起軍だけをドイツ軍に対峙させた。
援軍が来ず、ワルシャワ蜂起は大失敗、街は規則正しい程に、徹底的に破壊された。
ソ連は、戦後のポーランド支配を目論み、ポーランド人の削減を狙った。
その為、敵国ドイツまで利用したのである、悪だくみの巧妙な手段として。

そこでキエフである。
今、ロシア軍はベラルーシへと撤退し、東部へと合流しに向かっている。
これからは、再編を計ってドンバス攻略へと集中するかに見える。
キエフ市民は、当面はと、胸をなだめたのかもしれない。
ウクライナ軍は迎え撃つ為に、東部へと主力を持って行く。
ロシア軍のいなくなったキエフに、また、そう持っていったキエフに……
あのスターリンだったら、どうするだろう……
プーチンは、生物、化学、小型戦術核……

悪魔のシナリオは、絶対にあってはならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国夜話 毛沢東異界漫遊記(二十一話) オスマン帝国、天界から参戦の巻

2022-04-03 22:19:30 | 小説

プーチンの起こした戦争は、ウクライナへの西進だけでなく、南下でもある。
歴代ロシアの南下政策は、この20世紀にこんな形で、また現れたのか。
先に乗っ取ったクリミアに、ドンバス地方を繋げアゾフ海を抑える。
次はオデッサを狙って、黒海への出口をなくしウクライナを内陸国にするか。
黒海を、ロシアの内海にする気か。また次は、モルドバか。

本当に、何とかしなければならない。
物語でしかないが、プーチンの野望を砕きウクライナを助けたい。
ここで、ロシアの宿敵だったオスマン・トルコ帝国を出す。
最盛期を迎えつつある、第7代皇帝メフスト2世に登場願おう。
バルカンを席巻し、ロシアに対峙し、黒海をオスマンの海にした。

物語の、主人公の毛沢東は思ったのである……
……あのプーチン退治で、プーチンママ、プーチンパパに嘆願し、だめなり。
……イワン雷帝、ピョートル大帝、エカテリーナ女帝に直訴しても、叶わず。
……エリツィンの尻を叩いて、下界に現れ押し潰せと言ったものの、これしかり。
……そうか、これは個人では無理やな、この天界から軍隊を送り込むしか、あるまいて。
……ここは嘗て、あの地を支配していた、オスマン・トルコのメフスト2世がいいな。
……コンスタンティノープルを陥落し、東ローマ帝国を終わらせた、あの征服王にな。
……お互いにアジア人のよしみで、願い奉ろう、それがよい、そうしよう。


毛沢東   「サラ―ム、これは中国語で言う二―ハオですな、はじめまして」
      「私、アジアの中国人です、毛沢東と言います。今、下界の戦に介入しとります」
      「お国とはシルクロードの遥か昔から、お隣です、どうどよろしく願います」
メフスト2世「サラ―ム、世はスルタンぞ、頭が高い、礼をわきまえよ」
      「それに、もうアジアでもないであろうに、大昔を言うでない」
      「中央アジアの草原の民、そんな突厥の頃とは違うのじゃ」
毛沢東   「遥かなる西攻め、アジア人として、こちらも驚嘆しとります」
メフスト2世「おい、アジアアジアと言うんでない、世の母は、白人の奴隷上がりぞ」
      「オスマン帝国の歴代皇帝、臣下、平民に至るまで、もう血が雑多に混じっとる」
毛沢東   「これも西洋への攻め込み、征服していった証ですな、武勇の賜物で」
      「それ故に、オスマン帝国は繁栄していったのです、より強い血へと」
      「バルカン半島征服、黒海北岸を抑えて、ロシアの南下を遅らせましたな」
      「私が、ここで申し上げたいのは、また南下をし出した事です」
      「メフスト2世様が支配してた地に、堂々と攻め入ってます」
      「スラブの同族争いが熾烈の様相になっております、帝におすがりしたいと」
メフスト2世「アジア人よ、スラブはスラブでいいではないか、世の宿敵だったわ」
毛沢東   「いやいや、下界の戦は半端ではありませぬ、昔とは違うのです」
      「スラブどころか、全ヨーロッパに戦禍が及びかねません」
      「いや、それどころか、全世界にもと思われます。大惨事になりかねませぬ」
メフスト2世「そうかウクライナか、世の時代にはな、南はクリミア・ハン国だったわ」
      「武力を使おうとしたら、向こうから服属して来て属国とした地だ」
      「スラブ人奴隷を、ボスポラス海峡を越えて巷に売り渡し儲けた」
      「あの国を従えたからこそ、黒海をオスマンの海に出来たのだ」
      「そうか、ロシアはまた南下しとるか、クリミアだけではすまんか」
毛沢東   「ロシアと言っても、あのプーチンのみが悪いのです、一人の野望です」
      「メフスト2世様、どうかウクライナに味方し、ロシアを押し戻してくだされ」
メフスト2世「アジア人よ、ロシアにはその後の露土戦争で押されまくったわ」
      「世の子孫は国を削られ、今やアナトリアとイスタンブールあたりだのう」
      「まさか、こうなるとは夢にも思わんわ。となると、巻き返しか」
      「ロシアの南下を食い止めてみせるわ、捲土重来じゃな、よし」
      「世のオスマン帝国が、下界に参上し目に物見せてくれるわ」
      「露土戦争の敵討ちをする、ロシア平原まで追い払ってやる」
      「さあ、軍楽隊よ奏でよ、イェニチェリよ先陣を切れ、猛進せよ……」
毛沢東   「ウクライナを、どうか救ってくださりませ……」




この帝は、残忍かつ狂信的、激しい気性と合理的精神を持っていたとのこと。
帝国の中央集権化を進め、オスマン朝を帝国へと形作っていった。
アナトリアのアジアの因習にこだわらない、多文化共存を図るルネッサンス君主とも。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国夜話 毛沢東異界漫遊記(二十話) エリツィンに、八つ当たりの巻

2022-04-01 16:48:58 | 小説

歴史は、摩訶不思議な奇妙奇天烈の世界である。
必然の糸と偶然の糸とが、めちゃんこにこんがらがって紡がれていくのか。
光と闇は交差する。魑魅魍魎も跋扈すか。神の手もありやなしや。
人は誰かに導かれて存在するのか、となると、誰がいつ、どうしたかになる。
昨今のプーチン問題、これは歴史の織りなす彩かもしれない。
何れは過去の事柄にはなるにせよ、一刻も早く破壊の嵐を止めねばならない。
あの男を導いたのは、誰か。そう、エリツィンである。

ここはエリツィンに、矢面に立ってもらおう。
良く言えば胆力の塊か、果たした役割は大きい、ソ連邦を解体へと持って行った。
改革派の旗手として、初めはペレストロイカの元、大いに活躍する。
やがて、その遅れを強く非難し政敵に追われ、共産党離党。
彼は巧妙に下野した。ソ連邦内のロシア共和国へ、ここで中央政界に挑んだ。
打倒ゴルバチョフである。改革に次ぐ改革なくしては、ならんのに、遅すぎる。
こう思ったのではないか、ソ連邦の枠を無くせばゴルバチョフは不要だ。
独立国家共同体で、我がロシア共和国が中心となる、その新たな枠を作ろう、と。
ゴルバチョフは盲点を突かれた、下野したと思った男が既存の価値をひっくり返したのだ。
元々、ソ連邦とは10の共和国の集まりである。それを強固にまとめ国とした。
エリツィンからすれば、そんな枠はいらない、新たにロシア中心にまとめてみせる。
でも私には、本当の本当は、ソ連大統領になりたかったのではと、邪推する。
窮余の策にも思えるが、まあ、いい。

歴史のからまった糸をほぐすには、誰が誰を導いたかである。
プーチンはエリツィンに、エリツィンはブレジネフとゴルバチョフであろう。
遡ると、スターリンはレーニンに、レーニンはマルクスとエンゲルスか。
ここでレーニンを少し。晩年に、ほとほと後悔して、スターリンを避けよと言い残す。

私は、エリツィンの改革の精神は好きなれど、レーニン同様に後悔してほしい。
危険極まる種を見つけ、養分をたっぷり注ぎ、育て上げたと思いきや……
毒ある果実。プーチンはスロリートの悪上がりである。戦禍の申し子。
どうもスターリンにだぶる、後は物語で辿る……


毛沢東  「前置き抜き、おい、エリツィン、お前が悪い」
     「お前は政敵のゴルバチョフを追い出し、まんまと国を乗っ取ったな」
     「ソ連解体たって、ロシア共和国が取って変わっただけやろう」
     「本当は、ソ連大統領になりたかったんだろ、正直に言え」
エリツィン「これはまた、藪から棒ですな。いくら共産中国の毛沢東さんでも」
     「それに私はソ連共産党を離党しとりますぞ、目覚めた男です」
毛沢東  「情けない事を言うのう、マルクス主義の本家本元がな」
     「いいか共産主義は、民主主義なんかの遥か先を行っておるんや」
     「やがて世界は、大衆融合の思想ではまとまり切れんようになるん」
     「人というのはな、自由が重石になるんや、自由過ぎると逃げたくなるんや」
     「何が民主国家や、抑えがなくては人はてんでばらばらや、烏合や」
     「下界のお前の弟子、悪たれプーチンは、お前が連れて来たんだ」
     「なんて事をしてくれたんだ、お前の国も二の舞になるぞ」
エリツィン「こちらも言いますぞ、あなたは自由、民主主義を知らんでしょう」
     「私は前とは違う、人類普遍の自由と言う価値に目覚めたのです」
     「共産主義の対極ですぞ、得体のしれない枠が人を駄目にするのです」
     「人の歴史は、この自由を勝ち取って来たのですぞ、自由が第一です」
毛沢東  「あのな、エリツィンよ、では自由の世界の先には何が待っておる」
     「歴史の上では自由は通過点なのじゃよ、いずれは統制の社会にな」
     「お前は人の獣性を知らん。自由と言う名において、戦が起きる」
     「人間はまだ、進歩しておらんのや、たかが数千年の歴史しか歩んでないわ」
エリツィン「いや、私には自由が究極の境地だと思われますな、最終目的だと」
     「ロシアは農奴制で苦しみました、一握りの貴族だけが自由でした」
     「農民はまさに縛られた奴隷です。手足どころか生死を握られてました」
     「それに私はウラルの農家の出です。元は農奴で、自立農家でした」
     「毛沢東さんの中国でも、有史から長きに渡る奴隷の歴史がありますな」
     「失礼ながら、自由を怖れていると言うか、先祖返りというか、その……」
     「封建時代に郷愁めいた憧れを、その、持ってはいやしませぬか」
毛沢東  「エリツィンよ、わしが作った新中国はな、貧富の格差是正、人民の平等を掲げた」
     「あの時代を教訓に歩き出しておる、歴史の浅いロシアにはわかるまい」
エリツィン「毛沢東さん、あなたは原始共産社会の夢を見てはいませぬか」
     「封建社会の前の、みんなが共に助け合ってた、ほのぼのとした社会を」
毛沢東  「ああ、お前と話しても、互いに交わらんわい」
     「おいおい、こんな運びではなかったわい、奴、プーチンの事だ」
     「お前は何で、あんな悪を後継にしたんだ。KGB長官なんぞを」
エリツィン「箍と言うか枠が必要なのです。大衆を抑えねばなりません」
     「あいつは必要悪みたいなものでした、私も新ロシアを作ったのですぞ」
     「その点は似てますな、自由と言うのは気を付けねばなりません」
     「大衆はどこに暴走するやも知れません。抑えが必要です」
     「毛沢東さん、何か、お互いの意見が似て来ましたな、だんだんと」
毛沢東  「うむ、わしも思う。だが、ともかくもじゃ、プーチンを何とかしてくれ」
     「また言うぞ、エリツィン、お前が悪い、プーチンを見抜けなかった」
     「お前の眼鏡違いが、今の惨状に繋がっておる、どうしてくれるんだ」
エリツィン「確かに私にも、任命責任がありまする、一端はありまする」
     「して、どうしたものか、こうなれば私の巨体で押し潰すしか」
     「あの男は柔道をやりますんで、なんとか寝技に持ち込み一本取りまする」
毛沢東  「よし、エリツィン、奴を潰せ。ウクライナはお前の巨体に掛かっておる」
     「下界に出没し、大いに暴れて来い、早よ、行けー」
エリツィン「ほい……」




さて、エリツィンの巨体に期待出来るであろうか。
この政治家に引退後に待っていたのは、プーチンによる「金のかご」である。
後継者によって、盗聴と言う楽でもない仕打ちをくらった。
緩い軟禁のような監視下に置かれ、空を見上げて何を思ったのだろうか。
彼は、ロシア・ナショナリズムを体現してた。そんなロシアの大地の男。
民の心のわかる、ウラルの星であった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする