1、滑舌
以前、発音練習には音読がいいと書いたが、こないだコインランドリーで上がりを待っている間誰もいないのを見て早速音読してみた。読む本は六朝の歴史を書聖「王羲之」に焦点を当てて描いた吉川忠夫の名著である。10行ほど声を出して読んで見ると、どうも空気の出し方が足りない事に気がついた。1行読む間に息が切れて、最後まで声が続かないのである。これはいかん!。体力が無いのは前から自覚はしてたが、ここ迄駄目とは思ってなかった。正直、ショックである。
それで今度は気を取り直し胸一杯に空気を吸って、言葉を出す最初に思い切って「空気をバッと出す」ようにしたら、まあまあ発音が良くなった。声を出すには当然のことだが「空気」が必要である。子供が距離に関係なく「いつも大声」で喋っているのは、空気を大量に送って「正確に発音」しようとしているわけだ。子供は大人のように言葉のコントロールが未熟なため、まず発音することに専念しているとも言える。相手の距離や内容によって声の音量を調整できるようになるには、相当年齢が高くなって会話に習熟することが必要なのだ(勿論それだけでは無いと思うが)。
で、私も大きく息を吐きながら発音練習を続けていたところ、どうやら「上顎の前半分の空間」に空気を送り込んで発声し、言葉を変えるのは「舌や口の形」を色々と変えて行うと上手く発音できること分かったのである。このやり方を一回一回気をつけながら4、5分音読を繰り返して発声練習をやってみたら、今までにない位「滑舌が良くなった」と実感出来たのである。やった〜!。やれば出来るじゃないの!
よーし、この調子で一ヶ月も音読を続ければ、普通にとまでは行かなくても「聞き返される」ことはまずなさそうだと自信がついた。とにかく練習、練習である(ちょっと気を抜いてやらないでいるとまた元に戻ってしまう)。
2、スタンダール症候群
こないだCSのドラマで「アート・オブ・クライム 美術犯罪捜査班」というのを見ていた時、主人公の刑事が美術館で展示品の絵画を見ている内に目眩に襲われて病院に行く、というシーンがあった。で、主人公が診断を終えた医者に告げられた病名が、この「スタンダール症候群」である。スタンダールと言えば19世紀フランスの国民的大作家で、作品は「赤と黒」や「パルムの僧院」など多数があり、ファンファンの愛称で知られる名優ジェラール・フィリップの懐かし名画でも有名な偉大な芸術家である。まさか現代のミステリードラマでその名前が出て来るとは思ってもいなかったので、早速ネットで調べてみた・
病名の元は彼がイタリア旅行に行ってフィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂で天井のフレスコ画を見上げていた時に「めまいの症状」が出たことからつけられた、というエピソードが出て来た。まあ例えていうならば信長が海老を食べたら蕁麻疹が出て、それで海老による蕁麻疹の事を「信長症候群」という、みたいなものであろう(なお、「信長が海老で蕁麻疹」といのは私の捏造である。例えば、ですよ例えば!)。こういうことで名前が残るというのもスタンダールが有名人だからということでしょうか。彼は自分の小説について「50年後には、私の小説の良さが理解されるようになるだろう」という言葉を残して己の不遇を嘆いたそうだが、案外存命中から人気のある流行作家だったようで安心した。私は大学時代に「恋愛論」を読みふけって、その世界に取り込まれた一人である。
医学的には、首の後ろの血管を圧迫することで「めまいや動悸とか吐き気など」の症状が出る事を言うらしい。そう言えば私もゴルフをやっていて何度かスイングの後に軽いめまいの症状に襲われることがある(私の場合は下を向いてスイングをするとなるから、違うかも)。ちょっと休めばすぐ治るのだが、ようするに「血流が滞る」と起きるようだ。もし今度同じようにめまいが起きたら「チッ、またスタンダール症候群が出たか・・・」とつぶやいてみるのも面白い。
3、アニサキス対策
昨日スーパーで久しぶりに刺身を買って来た。イカと何種かの近海物の盛り合わせだったと思う(私は魚はよく分からない、というより食べ物にはとんと知識が無い「味音痴」である。人は「舌バカ」とも呼ぶ・・・)。私は元々刺身は嫌いでは無かった。ただ、60歳を過ぎてから「妙に食中毒被害が気になる」ようになり、特に芸能人が「アニサキスの被害」にあった体験談を語っていたりして怖くなって以来、とにかく生魚は「一切食べない」ことにしていた。食べるのは焼魚にフライや天ぷら、それと缶詰めオンリーである。たまにネットなどで話題になる「スーパーの生さんまに、こんなにアニサキスが!」的な恐怖記事を見ることがあるが、まあ私には関係ないことと思っていた。ところが、である。
昨日いつものようにマミーマートあけぼの店に行って夕食の買い出しをしていたら、急にというか突然魔が差したというか、刺身売り場で足が止まり「夢遊病者のように」何も考えもせず、目についた刺身のパックをカゴに入れてしまったのだ。528円、覚えているのは値段だけである。「しめ鯖」を見たらスーパーの安い刺身は「薄く」切ってあるからアニサキスがいれば目で見れば分かるんじゃね?とか、確かマグロはあんまりアニサキス被害が出てなかったような・・・とか、色んな雑多な情報が頭をよぎっていたのは思えているが、結局選んだのは出来るだけ「薄く切って」あるものだった(単純である)。薄ければアニサキスには気が付くだろう、位の計算しか予防策は思いつかなかったのだ(目で見て分かるんなら、店頭に出す段階で取り除いている筈だが)。
その後は刺身を買ったことなぞすっかり忘れて家に帰って来たが、テーブルの上に並べた後に「急に怖く」なって、ネットで被害の実例を調べることにした。そしたらアニサキスというのは2、3ミリに長さの細い線虫みたいな生き物で、白っぽくて丸まっていると「目で見ても少し分かりにくい」感覚がある。これが切り身の表面にいればまだ分かるかも知れないが、中に潜んでいたら「まず分からない」と思った。「こりゃ食べちゃうわなぁ」が正直な感想である。それでイカの細く切った「すだれ状」のものを、掻き分け裏返し一本一本蛍光灯にかざして確認しながら、こわごわ醤油を付けて「よく噛んで」ペースト状になってからようやく飲み込んだ。ようするにたかだか「30切れ程の刺身」を食べ終わるのに「1時間」くらい掛かって食べ終わったのである。・・・俺、何でこんなことやってんだろう?
幸いな事に翌日の昼過ぎになっても何ともなかったので、一応アニサキスは無事クリアしたと分かったのである。めでたしめでたし。
まあアニサキスの被害はあったとしても年に何百人の程度で、その間食べられてる魚の量から計算すれば何千万の1という「ごくごく稀な例」でしかない。魚の生食が当たり前の「寿司・刺身文化」の国日本では、昔から漁師の間ではアニサキスなどは食中毒のうちには入らなくて「ちょっとお腹が痛くなる程度」のよくある話らしいのだ。しかし私はニュースなどの「七転八倒の激痛」という表現を目にするたびにもし自分の身にこういう腹痛が起きたらどうしよう?と考えたら、そんなリスクを冒すぐらいなら「魚は生では食べない」を選択したのである。友人のSN氏にそのことを言ったら「そんなの気にしててもしょうがないよ」と軽く一蹴されてしまった。
確かにスーパーで売り場に並べてある刺身は、担当者が注意して取り除いてあるに違いない。それに養殖だったら安全だそうだから、買うなら天然物じゃなくて「養殖」を買うのもアリである。それにアニサキス被害の件数を考えれば、飛行機が落ちる確率より「低い」のではないだろうか。要するに、アニサキスが怖くて魚が食べられないのは、実は科学的な根拠なしに盲目的に怖がっているだけであり、写真を撮ると「魂を抜かれる」式の反応と同じで「あなたが無知」な証拠である、云々。
よく不可能なことを例えて砂浜でピンを探すようなものだと言うけれど、実際には「ピンは落ちている」のだ。だから例えば探すつもりがない人が、どんな宇宙的偶然でたまたま見つけることが「絶対無い」とは言えない。当たる筈無いと言われる宝くじだって、毎回「必ず当選者」は出ているのだ。その限りなく稀な偶然によって「七転八倒の激痛」に苦しんだ上に、胃カメラまで飲んで取り除く「羽目に」なるなんて、想像しただけで「耐えられない」ではないか・・・
というわけで、今後は刺身は「養殖」に限って食べるようにし、なるべく「薄切り」にしたものを選ぶようにして安全に刺身を満喫したい。最近では魚に「高圧電流」を流してアニサキスを死滅させる技術も開発されているようだから。いずれ完全にアニサキス被害は撲滅されるのでは?と期待している。が、それまではとにかく「養殖オンリー」で対処しよう。天然物は危険である(それに味なんか舌バカの私には分からないんだし)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます