悪天候に翻弄された大会だったが、ライバルが伸び悩んだ中、最後は小祝の「寄り切り」で幕を閉じた。西郷真央や永井花奈や菅沼菜々らが最後の最後という時に勝負パットを入れられず、一番プレッシャーを感じているはずの小祝が「全く」心の内を表情に出さずに、平常心で軽々とかつ爽やかに、あっさりと優勝をさらって行った。
優勝インタビューを聞くとバーディが中々来なくて、内心はモヤモヤしてたという。この点は上田桃子なんかと比べると、勝負へのこだわりが余りないようにも見える。まあ、傍目には「どうってことないぜ」風に見えなくもないが、意外とヤル気が無いわけじゃないようだ。表面上は落ち着いてプレーしてたように感じたが、案外これが勝利の要因かも。
常に冷静でいる事が、特にゴルフのような「メンタルの力」を試されるゲームの場合は、勝ち負けを分ける。私も一度だけの経験だったが、取手桜ケ丘で「ハーフ41」という有り得ない好スコアを出したことがあった。もう少しでハーフ30台である(だいぶ離れているけど)。この時は150ヤードや160ヤードといったセカンドを、まるでブロみたいに自信満々にグリーンをヒットしていた。当時の感覚では乗るのは当たり前で、ピンのどちら側に付けたかで一喜一憂したと記憶している。
その時は自分では冷静にブレーしていたつもりだったが、後で考えれば「夢の中」でゴルフをしていたようなものである。そこは小祝は非常に落ち着いていた。勝つか負けるかは時の運。そういう心の余裕があったのではないか、私にはそう見えた。これは挑戦者というよりも、既に「実力者の仲間入り」を果たしたと言ってもいい老獪さを持っているな、と思う。
菅沼菜々は今回も2位タイと相当悔しかったと思うが、パターやアプローチのスタッツを見ても勝っておかしく無い実力のある選手である。まあ何れどこかで勝つ力は証明出来たので、後は「文句のない圧勝」で初勝利を決めてもらいたいと願うばかりだ。それにしても勝たせたい選手がそこら中にいるというのは、女子ツアー側の「嬉しい悲鳴」だろう。私としては岩井千怜や川崎春花や尾関彩美悠などのルーキーの優勝もいいけど、まだ勝ってない中堅、例えば金澤志奈や小野祐夢や田辺ひかりなんかも勝たせてやりたいと思っている。まあこれは、個人的好みが「強ょ〜く」入り過ぎてるかな?
西郷真央と永井花奈は復活の糸口が掴めたと言えそう。大里桃子や鈴木愛それと河本結に川岸史果も調子を上げているのは頼もしい。一方、この数ヶ月、向かうところ敵なし状態の山下美夢有は、珍しく28位タイと調子が出ず、下位でホールアウトしてた。すこしお疲れかも。
今回は2日間連続で「積み残し」がでた。二日目は全員ほぼ30ホール位を回ってグロッキー状態。今朝はそれでも40人余りがサスペンデッドの為に残りホールを消化して、それから組み直して最終日スタートという過酷なスケジュールとなった。おまけに選手達はアップダウンの激しい山間コースに「ヒイヒイ言って」息も絶え絶えなのに、小祝だけは涼しい顔で、笑顔さえ出ていたのは「さすが鉄人」の名に恥じない頑健さである。
セキ・ユウティンが右足痛、堀琴音と高橋彩華が体調不良で棄権というのはまあたまにはあるよねという話だが、若くて元気の塊のような年齢の筈の「勝みなみ」が、腰痛でリタイアというのはどうしたものか。やはり華やかな女子ツアーも、裏では過酷なアスリートの戦いが休みなく続いているということであろう。我々のような「介護老人一歩手前」のヨロヨロゴルフで、今日は調子が悪いから休むよと言うのとは訳が違うのだ、訳が!・・・ってことか。まあ、健康が一番というのは選手も我々も変わらないけどね。
そんなこんなで、小祝選手が「余裕の通算8勝目」を挙げた。見事な勝ちっぷりである。スイングをドローからフェードに変えてから、ちょっと調子が低迷してた時期があったが、これでようやくショットにも自信が持てたことだろう。
また一人、強力な選手がツアーに戻って来たと言えそうである。
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