明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

名作シネマ鑑賞記(1)古畑任三郎シリーズ

2023-01-09 22:02:00 | 芸術・読書・外国語
筋書き作りはもはや殿堂入りしているアメリカの大ヒットドラマ「刑事コロンボ」にあるのは明白だ。番組の初めに早くも犯行の詳細が映し出されて、視聴者には犯人が誰か分かっているという、それまでの刑事ドラマの真逆を行く全く新しい形式の刑事ドラマである。視聴者の興味は古畑任三郎がどうやって動かぬ証拠を突き付け、狡猾な犯人を追い詰めるかという「頭脳の戦い」に焦点が向けられている。当然ながら派手なアクションなど無縁の最上級の心理ドラマである。
 
その刑事役が、他ならぬ田村正和なのだ!
 
とまあ大々的に御紹介したわけだが、刑事の知的な推理と犯人との丁々発止の駆け引きが最高のエンタテイメントであることを証明して見せた番組であることは間違いない。まあ贔屓目に見てだが古畑任三郎は、本家のコロンボを凌駕していると言えそうである。
 
実はこないだCSの正月特集で古畑任三郎シリーズを全部通しで放送していたので、昔からこのドラマのファンだった私は、早速録画した。
 
それから毎日少しずつ見ているが、一度見ている筈なのに楽しめるのは何故なんだろうか。ちなみに、シリーズがこれ程の人気が出たのは「田村正和」の見事なキャラクターも然ることながら、肝心の筋書きの根本を作っている脚本家はあの「三谷幸喜」だというのも魅力の一つである。三谷幸喜は刑事ドラマを作りあげるのに事件の展開から離れて、ちょっとしたユーモア溢れる「人間心理の揺れ」を話の中に挟むのが上手だ。それが張り詰めた緊張感の中にも笑いを生み出し、更なる極上のエンタテインメントを提供しているのは流石である。彼のドラマ作りの「一つの流儀」であろう。
 
で、シリーズのなかでも私の好きなのは、第一シリーズでは歌舞伎役者を演じた「堺正章」の回である。一回目の中森明菜も悪くはなかったが、悪知恵を見破られる犯人という大役を演じるには「歌手中森明菜」は荷が重すぎた。それと比べると堺正章は、GSスパイダーズで若い娘をキャーキャー言わせてた割には、重厚な演技で視聴者を唸らせたと言える。
 
ちなみに3回目は古手川祐子、4回目は笑福亭鶴瓶、5回目は坂東八十助、6回目は木の実ナナ。そして7回目は小林稔侍、8回目は鹿賀丈史、9回目は石黒賢、10回目は小堺一機、11回目は桃井かおり、12回目は菅原文太となっている。何れも人殺しなどやりそうもないところが配役の妙であろう。特に10回目の小堺一機の演技は、鬱屈した小市民がひょんな事から犯罪者になってしまった男の「バレやしないかとビクビクし通しの心理」を表情豊かに演じてとても面白かった。
 
やはりドラマは脚本が良いと全体が引き締まって心地良い。まだ第一シリーズしか見てないが、暇にあかせて1話ずつ寝る前に見ている。これを機に、今年は積極的に国内外の名作を見てやろうと思っているが、どうなるか楽しみだ。ハリウッドの華やかなりし頃のロマンチックな映画や、フランス・ヌーベルバーグの鮮烈な作品など、そろそろやって来るお迎えの「冥土の土産」に全部見返すのも悪くはない。
 
さて今日見るのは戦争の哀しみを描いて名作の呼び声高いソフィア・ローレンの「ひまわり」か、はたまたハリウッドで一世を風靡した魅惑の天使マリリン・モンローの「帰らざる河」にするか・・・、どっちにしても今夜は「懐かしい時代」の雰囲気を味わい尽くす夜になりそう!

追記:第二シリーズをちょっと見たが、明石家さんまの弁護士役は最高の脚本である。是非とももう一度御覧になる事をお薦めする。傑作です!


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