写真は17日学士会館で開催された(社)日本技術士会の臨時総会
今回の原発事故で日本の科学技術のレベルが旧ソ連並みであることが実証された。日本の技術者に対する信頼は地に落ち、日本の技術の安全性は「中国以下、北朝鮮並み」であるとすら酷評されている。
一方、ニューヨークタイムスに The Faceless 50 という記事が載った。日本の技術屋魂を絶賛している。(末尾の英文参照)
この記事と、前記の酷評との関係は如何に?その答えは次の軍隊のたとえ話にある。日本の軍隊は兵は優秀だが、指揮官や将軍がダメ。ドイツの軍は兵は弱く、将軍は無能だが将校が優れている。アメリカの軍は、兵も将校も落第点だが将軍が優れている。そして最後の勝利は将軍の良し悪しにかかっている。
技術の世界では、将軍にあたるのがエンジニア、将校はテクノロジスト、兵はテクニシャンである。NYタイムスの絶賛は日本のテクニシャンに与えられたもので、エンジニアに対するものではない。旧帝国陸軍の評価と同様である。
A small crew of technicians, braving radiation and fire, became the only people remaining at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station on Tuesday ・and perhaps Japan last chance of preventing a broader nuclear catastrophe.
They crawl through labyrinths of equipment in utter darkness pierced only by their flashlights, listening for periodic explosions as hydrogen gas escaping from crippled reactors ignites on contact with air.
They breathe through uncomfortable respirators or carry heavy oxygen tanks on their backs. They wear white, full-body jumpsuits with snug-fitting hoods that provide scant protection from the invisible radiation sleeting through their bodies.
They are the faceless 50, the unnamed operators who stayed behind. They have volunteered, or been assigned, to pump seawater on dangerously exposed nuclear fuel, already thought to be partly melting and spewing radioactive material, to prevent full meltdowns that could throw thousands of tons of radioactive dust high into the air and imperil millions of their compatriots.
大学病院の車にガソリン提供(左から吉丸・石戸・伊藤、撮影:塩澤壮吾)
標記ボランティア隊の活動について、以下のように整理してみました。(加納貞彦)
・ 3月14日 岡本新悟先生が出した「被災された方々の援助について:下垂体機能低下症並びに尿崩症をお持の方への援助についての緊急連絡」を読んだ中枢性尿崩症の会の方(大木さん)の加納が属するメーリングリストのメールにより、岡本先生が「補給ルート」を探していることを知りました。
・ 災害時のボランティア活動を伝統的に行っている早大YMCA(塩澤幹事長)が(これまで中越沖地震など国内、およびバングラデシュ、ミャンマー、インドネシア、フィリピンなどの海外での災害援助ボランティア活動の経験あり)、今回の東北関東大震災にも何かできることがないか探していました。
・ そこで早大YMCAの理事である加納が、単なるボランティア活動でなく、岡本先生の呼びかけに応えて医薬品の搬送を行うことを提案し、以下を条件に了承されました。
条件: 被災地に迷惑をかけずに自給自足とすること。このため、テント、寝袋。食料、簡易トイレ、携帯こんろ(燃料も)、十分なガソリン、などを携行すること。
・ このことを岡本先生に同日中に伝え、岡本先生が奈良で必要な医薬品を揃えてくれました。(デスモプレシン、コートリル、チラーヂン)
・ 3月15日、岡本先生のお嬢様が医薬品を新幹線で京都駅から東京駅まで運んで下さり、東京駅で早大YMCAのメンバーが受け取りました。
・ 3月16日朝、ワゴン車一台に5名(早大YMCA主事1名(石戸)、学生4名(塩澤・伊藤・石丸ほか):うち2名は仙台出身者)が乗って出発しました。仙台へのルートとしては、新潟県村上市経由(地元のボランティア菊谷浩さんのお宅で一泊)で、途中、東京で十分用意できなかった食料、ガソリンなどを車に満載しまた。
・ 3月17日、雪の山形自動車道を通って、仙台に入り、あらかじめ岡本先生が連絡して下さった東北大学医学部附属病院内分泌内科の伊藤貞嘉教授に医薬品を届けることができました。
ボランティア隊は、仙台では仙台のボランティア(安達文幸教授)宅に宿泊させて頂きました。
・ 東北大学医学部附属病院では、内分泌の相談窓口が開設されたようです(中枢性尿法症の会の方からのメール)。
・ また陸前高田市の患者さんのところには、「東北大学教授と連絡が取れて、行政を通して、薬を届けていただけるとのこと」です。(この患者さんのいとこの医師の方からのメール)
・ 3月18日、東北大学医学部附属病院から石巻に向けて救援医師団をバスで送りこむとのことです。(早大YMCAボランティア隊からの報告)
・ 早大YMCAボランティア隊は、東北大学医学部附属病院でボランティア活動をしています。活動内容は、床に散乱したカルテ(紙)やフィルム(X線、CTなど)の整理(時間順序で並べるなど)(早大YMCAボランティア隊からの報告)
・ 3月17日、岡本先生からNHKに声をかけて下さり、NHKから加納のところに電話があり詳細情報を伝えました。(伊藤貞嘉先生の連絡先も伝えました)NHKのテレビ放送でこれらの薬を必要とする避難所などにいる方にも情報が届くように放送してくれるそうです。(まだ実際に放送されたか否かは確認してません)
・ 3月18日、東北大学医学部附属病院内分泌内科の伊藤貞嘉先生から以下のメールが届きました。
「皆様:東北大学の伊藤です。今回のボランティア活動ありがとうございます。薬剤は無事東北大学に到着いたしました。陸前高田方面の状況は大変厳しい状況です。いただいた情報と薬剤の件に関しては、岩手県の災害対策本部に連絡をして、その救護医療班に連絡をとり、適切な処置をお願いしました。薬剤は、宮城、岩手の避難民等で必要な場合は宮城県、または、岩手県の災害対策本部と協力して提供します。 伊藤」
ということで、岡本先生が用意し、ボランティア隊が届けた薬は、東北大学医学部附属病院の内分泌科の伊藤先生および関係各位のおかげで必要とする方々への配布が行えることになりそうです。
ご協力ありがとうございました。
加納貞彦
追伸 今回届けた薬のひとつチラージンについて、「国内のチラーヂンを一手に作っている製薬会社あすか製薬が震災を受け製造中止になり入手困難との情報が入りました。あすか製薬に仲間が問い合わせしました。 以下は製薬会社「あすか製薬」の返答です。
現在他社と生産してもらえないか協議しています。また厚労省とも緊急輸入について協議しています。生産、復旧について目途はたっていませんが、目途がたち次第HPでお知らせします。」(中枢性尿崩症の会の方よりのメール)
「緊急車両」の認可は1ヶ月(4月14日まで)有効なので、明19日に先遣隊(第1陣)が帰京した後、後続部隊(第2陣)の派遣を検討します。医薬品を中心に、食糧、燃料、衣料など、関係の皆さまからの搬送依頼に応じる余地があります。友愛学舎(早稲田奉仕園)・山手学舎(東京YMCA)をはじめ関東学生YMCA連合関係のご協力を求めます。(本間)
3月11日午後の東日本大地震はマグニチュード9.0最大震度7の巨大地震でそれに続く津波および原発事故により死者4,000名以上、安否不明9,000名以上(3月16日現在)ならびに被災避難民30万人以上という未曽有の被害をもたらしています。
奈良県立医科大学教授・岡本こどもクリニック院長岡本新悟医師(小児科・内分泌科)が主宰する「災害時ホルモン補給援助チーム」からの要請に応じて、早大YMCA有志の学生ボランティア先遣隊は、すでに公的な緊急車両の認定を得て3月17日現地入りしました。
今後、同認定の有効期間(1カ月間)に数次にわたって、継続的に被災地復興支援チームを派遣する予定です。
学生諸君の健闘を支え被災者を支援するため義捐金募金で応分の協力をしたいと思います。各位のご協力をお願い致します。
早大YMCA有志 (加納貞彦、本間勝)
記
募金目標:100万円
募金期間:2011年4月末日迄(緊急支援のため期間限定、
期間後のご送金は早大YMCA賛助募金に繰入させて頂きます )
募金使途:ボランティア派遣費用および現地支援金
(送金先)
郵便振替口座:00140-3-76247 口座名義:早稲田大学基督教青年会
東京三菱UFJ銀行高田馬場支店(普)1533905 (財)早稲田大学基督教青年会
以上
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リーダー:岡本新悟医師(内科・小児科、内分泌内科)岡本内科こどもクリニック院長、奈良県立医科大学内分泌内科教授、 e-mail:iryousoudan-ok@hotmail.co.jp
被災地の難病患者(下垂体機能低下症並びに尿崩患者)に生命維持に必須のホルモン剤を届けるボランティアを早大YMCAに依頼
携行する薬品:中枢性尿法症用デスモプレシン 20本、下垂体機能低下症および副腎不全用コートリル 500錠、甲状腺機能低下症チラーヂンS1000錠、ホルモン補充療法のガイドブック、相当難病患者を探すポスター
早稲田大学YMCAボランティア隊 リーダ:塩澤壮吾(早大YMCA幹事長、早大創造理工学部2年)、メンバー:伊藤英経(ひでのり)(早大文化構想部3年)、吉丸響(早大文学部1年)、付添:石戸充(早大YMCA主事)、
在京支援メンバー:鈴木壮太(早大商学部1年)、小幡昌彦(早大文化構想学部4年)、西野健悟(早大商学部3年)、本間勝(早大YMCA監事)、加納貞彦(早大YMCA理事).
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