司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

建物不存在証明書(ローカルルール)

2022-12-09 15:39:25 | 登録免許税

特に昔の建物の相続登記を行う際、登記簿上の建物の表示と固定資産税台帳の記載が一致していないケースにたまに遭遇します。実際に建物はなく固定資産台帳上も課税されていないケースです。今回も登記簿上の建物の構造が「草葺」、附属建物には「茶部屋」「厩舎」とか、建物建築年月日の登記記載もなく、昭和20~30年頃、或いはもっと以前の建物かもしれません。滅失登記などを行う方法もありますが、とりあえずそのまま相続登記を行う場合、市役所で「建物不存在証明書」を出してもらい登記の際に添付すれば、当該建物の登録免許税はかかりません。念のため経年補正率でも計算してみたのですが、その場合は1万円近く登録免許税がかかってしまうので、やはり証明書を出してもらった方がいいと判断しました。

その「建物不存在証明書」ですが、最近管轄法務局で取り決めがあったようで、証明書の記載は「台帳に登録、記載がない」ことの証明だけでは足りず、「建物が存在しない」旨の記載もなければ証明書として取り扱ってくれなくなったようです。ただ管轄法務局内にあるY市では、建物が存在しない旨の証明は出してもらえないので従前のままでいいようですが。。そもそも「建物不存在証明書」が全国共通ではないか、ローカルルールは厄介ですね。


地番変更を伴わない行政区画の変更があった場合の名変の登録免許税

2022-08-26 14:46:02 | 登録免許税

12年程前に先例が出ましたが、すっかり忘れていたので備忘録として記載しておこうと思います。

「登記名義人が登記簿上の住所から他の住所に移転した後、その移転した住所について区政施行などの地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合の登記名義人の住所の変更の登記を一括で申請する場合の登記原因は「〇年〇月〇日住所移転 〇年〇月〇日区制施行」とし、「〇年〇月〇日住所移転」のみでは足りない」という登記先例が出ました(平成22年11月1日民二2759号)。

地番変更を伴わない行政区画の変更とは、例えば〇〇市〇〇100番地が、〇〇市〇〇区〇〇100番地となるような場合です。行政区画の変更に係る市区町村長等の証明書の提供があれば、登録免許税法5条5号により非課税となります。

 


固定資産評価額と登記簿上の建物床面積の相違

2020-10-27 11:51:51 | 登録免許税

先日、中古住宅の売買で所有権移転登記をする際に、決済直前に未登記だった増築分を登記したため、固定資産評価額と登記簿の建物の床面積が大きく相違してしまったケースがありました(構造も一部変更していた)。

増築した部分の固定資産評価額の面積<増築後の登記床面積 その差はわずか1.23㎡

登記面積の方が大きくなる場合は、静岡地方法務局が出している経年減価補正率表を使い不足分の計算をする取り扱いです。

今回は構造も一部変わっていたので(軽量鉄骨造→軽量鉄骨・木造)、市役所発行の固定資産評価通知書を見る限りは、増築部分の不足部分は木造建物の補正率で計算するのかなと思いましたが、念のため法務局に確認したら、それで計算して下さいとのことでした。

経年補正率は木造と非木造で金額が変わってきますので、しっかり確認する必要があります。

 

 


固定資産評価通知書

2020-08-24 10:22:20 | 登録免許税

司法書士が土地建物の所有権移転登記手続きをする場合、登録免許税を計算するにあたり、その根拠である固定資産の評価額を確認するのに市町村役場で固定資産評価通知書(証明書)を取得する必要があります。

私の近隣の役場では、司法書士が登記用の固定資産評価通知書を取得する場合は、申請書に職印を押せば出してもらえるので面倒ではないのですが、中には、法務局で固定資産評価証明交付依頼書を提出してから役場で発行してもらうというちょっと手間のかかることをする必要があるところもあり、役場によってケースバイケースです。

先日、某県のとある役場で登記用の評価通知書を取得する必要があり、そこに問い合わせたところ、専用の用紙をFAXしてくれて、そこに必要事項を記載して取得したケースもありました。しかも司法書士の身分証明書の写しを添付してもしなくてもいいようで(私は一応同封しましたが)、なんだか緩々な感じで逆にこちらが心配になるくらいでした。

それからこの暑さで頭がぼーっとしていたのか、静岡の本局では不動産登記は葵区駿河区だけの管轄なのに、清水区の物件の固定資産評価証明交付依頼書を本局で交付してもらえると勘違いしていました。それも不動産の管轄法務局でないとダメした。。たまに扱うケースだと本当にうっかりしてしまうことが多く気を付けないとですね。


登録免許税の計算方法(保安林)

2020-08-20 17:03:04 | 登録免許税

たまにある「固定資産税の課税価額が0円」。

だからといって、登記するにあたり0円になることはなくしっかり税金はかかります。

よくあるのは、課税上は公衆用道路で0円のケース。

この場合は、市町村役場で近傍宅地の1㎡あたりの金額を出してもらい、その100分の30を掛けたものがその不動産の1㎡あたりの金額になるので、それに不動産の登記面積を掛けたものが課税価額になるのは問題ないでしょう。

今回は、地目が保安林で固定資産税の評価額が0円のケースでした。

色々調べたところ、近傍の山林の金額を出してもらうのではないかと思ったんですが、法務局によって取り扱いが違うこともあるらしいので、念のため管轄法務局に確認したところ、やはり山林でOKとのことでした。

ただ、この場合は公衆用道路のケースとは違い、100分の30は掛けませんので要注意!