司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

死亡を証する書面

2023-09-11 10:31:42 | 商業法人登記

会社法人等の役員が死亡した場合には、死亡による退任登記が必要です。

その際に「死亡を証する書面」が必要になるのですが、具体的には次の書面が該当します。

①死亡の記載のある戸籍謄本等

②死亡診断書(写しのみは不可、原本還付は可能)

③家族が会社宛てに提出した死亡届

いつも戸籍謄本等を提出することが多いのですが、死亡した役員の相続登記にも関与しており、戸籍謄本で死亡の日付は確認済みだったので、今回初めて③の「家族が会社宛てに提出した死亡届」を死亡を証する書面として提出しました。その死亡届を作成した家族の人の肩書には、死亡した人との続柄(長男など)を記載する必要があります。些細なことですが、記載しないと補正の対象になるのでご注意を。

 


株式の譲渡制限に関する規定がない?

2023-09-08 10:16:09 | 商業法人登記

とある株式会社の役員変更登記手続きを2年前から関与させていただいているのですが、「株式の譲渡制限に関する規定」が設定されていませんでした。典型的な家族経営の会社なのですが、なぜ設定していないのか深く考えたことはありませんでした。「株式の譲渡制限に関する規定」がないと、役員の任期を延長することは出来ないですし、取締役会設置会社を廃止することは出来ないので3名以上の取締役を置く必要があります。今期の取締役の改選をするにあたり、3名いた取締役のうち1名が死亡してしまったので補充してもらう必要がありました。しかし名前だけ取締役になってもらうのも実際の経営環境と合っていませんでしたので、この度定款変更をして、会社の実態と合わせることにしました。そこでまずは「株式の譲渡制限に関する規定」を設定する必要がありました。それにあたり色々調べていくと、昭和41年以前の商法では、株式会社について株式の譲渡制限が認められていなかったようです。商法は明治32年に制定されたものですが、昭和25年の改正で今まで認められていた株式会社の株式の譲渡制限が禁止されるようになり、その理由には、有限会社法が制定されたことなどがあるようです。

今回の会社の登記内容を確認すると、会社成立年月日が昭和36年でした。まさに昭和25年以降41年以前に設立された株式会社に当てはまりますから、定款変更することもなく今に至ったものと思われます。このような事例には初めて遭遇しましたが、まだまだ同じような会社が存在するのかもしれません。