司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

共有者が違う日に同一場所に住所移転したら別申請

2024-11-15 14:52:39 | 不動産登記

甲区の共有者の全員が、同一日に同一場所に住所移転していれば、1件の申請で行うことができますが、違う日に同一場所に住所移転していれば1件の申請で行うことは出来ず、別の申請で行う必要があります。

今回は住宅ローンの借換えのケースでした。登記名義人である共有者の夫婦は、なぜか登記上の住所は前住所のままで登記されていたので、抵当権設定登記の前提として、住所変更登記をする必要がありました。

事前に住民票の写しを頂いていたのですが、夫婦なら同一日に住所移転しているだろうという勝手な思い込みをしており、住所変更登記は1件の申請のつもりでいました。ところが抵当権設定当日、住民票の原本をよく見ていたら、夫は登記簿上の住所から現住所に直接移転していたのですが、妻は登記簿上の住所から、一旦別の住所に移転してから現住所に移転していたのです。妻の住所移転の経緯は住民票だけでは判明しなかったので、急いて戸籍の附票を取り寄せたら移転の経緯が繋がったので安心しました。結局、住所変更の登記は2件に分けて申請することになり、慌てて作成。。もちろん登録免許税も余分に支払うことに。。でも取下げになることを考えれば、事前に気が付けただけ良かったかと。

些細なことですが業務慣れによる思い込みは怖いし、登記名義人住所変更登記は単純なようで単純ではないことが多いと改めて思いました。

 


破産管財人に対して根抵当権元本確定の内容証明郵便を送付する際の添付書面

2024-09-13 14:23:57 | 不動産登記

根抵当権者(金融機関)が所有者に対して内容証明郵便を送付して、単独で根抵当権の元本確定の登記を申請するにあたり、所有者(債務者)は既に破産開始手続きを受けており破産管財人(弁護士)が付いているというケースです。

元本確定の旨の内容証明郵便は、所有者(債務者)ではなく破産管財人に対して送付したのですが、破産管財人に対して内容証明郵便を送った根拠となる書面について、裁判所が発行する破産管財人の資格証明書を添付したことはありますが、これについては特に問題ないかと思います。

しかし今回は破産管財人の資格証明書ではなく、裁判所が債権者に対して送付する「破産手続開始通知書」でした。金融機関の本部担当者が言うには、以前も同じ管轄内法務局で同じことをしたが、そのまま登記手続きができたとのこと。また当該破産管財人の弁護士先生も、いつもこれで問題ないようなことを仰っているとのこと。破産管財人は元本確定の登記申請人になるわけではなく、単に内容証明郵便を受領する権限があるかどうかの証明をするだけなので、「破産手続開始通知書」でも問題ないと思ったのですが、心配だったので念のため管轄法務局に登記相談票を提出してお伺いをしました。いつも相談票を出しても割と早めに回答をいただくのですが、今回はしっかり時間がかかりました。事前に色々補足確認などを聞かれましたし、法務局内でも検討されたのかと。

結果的には「破産手続き開始通知書」でも可という結論でした。

これも法務局によって見解が分かれるのでしょうか。先例とか何かあればいいのですが特に見当たらないですし、今回は良くても次はダメだったというのも困るので、その都度確認をとった方がいいのか。。


共有者の一人のみ住宅用家屋証明書の適用を受ける場合

2024-08-26 11:18:51 | 不動産登記

夫婦A及びBが住宅ローンを組んで共有名義で新築建物を登記をするにあたり、夫Aがどうしても新居へ住民票を動かせないというケースがありました。

実際は一緒に住んでおり、もちろん夫も新居で生活をするのですが、事情があって住民票だけどうしても動かせない。今後も動かすことはないとのこと。

市役所にも確認しましたが、実際そこで暮らすとしても住民票が動いていない限り夫について住宅用家屋証明書の適用は受けられないとのことでした。

仕方がないので、妻Bのみ住宅用家屋証明書の適用を申請しました。

保存登記については、夫と妻では税率が違うので、内訳で分けて記載する必要があります。参考までに記載例を。

課税価額 金〇〇万円(内訳 A持分〇分の〇 金〇〇万円 B持分〇分の〇 金〇〇万円)

登録免許税 金〇〇円(内訳 A持分〇分の〇 金〇〇円 B持分〇分の〇 金〇〇円 B持分につき租税特別措置法第〇条)

なお抵当権設定について、住宅用家屋証明書の適用を受ける者が債務者または連帯債務者となっていれば、債権額全額について租税特別措置法75条の適用があり、住宅用家屋証明書の適用を受けない者が単独債務者となるケースでは、通常の税率である1000分の4になります。


変更登記か更正登記か

2024-07-30 09:34:02 | 不動産登記

登記簿上の住所や氏名が現在のものと相違している場合、変更登記になるのか更正登記になるのか、少し迷ったケースがあったので、備忘録として整理しておこうと思います。

所有者Aの住所が、登記簿上はB、現在の住民票はCになっているケース。

時系列は次のとおりです。

①登記原因 平成10年3月20日相続 として土地を相続している。

②Aは平成10年8月20日にC地へ住所移転

③相続登記は、平成10年8月30日に申請の受付がされている。

①と②のみを見れば、住所変更登記だと思うのですが、変更登記か更正登記かの判断は、登記申請の受付番号で判断することになります。したがって相続登記申請時にはAの住所は間違っていたことになるので、住所変更ではなく更正登記になります(原因は「錯誤」)。

おそらく遺産分割協議書と委任状をもらった時点ではB地の住所で間違いなかったのだけど、登記申請をする間に住所変更をしてしまったのだと思われます。

 

 


一括申請の可否(所有権登記名義人住所変更登記)

2024-07-29 16:50:44 | 不動産登記

登記簿上の住所や氏名が現在のものと相違している場合には、所有権登記名義人住所変更登記をするのですが、これが簡単なようで奥が深く判断に迷うケースに度々遭遇します。

今回もそんなケースに遭遇したので、備忘録として残しておきます。

甲区

1番 A(持分30の6)※登記簿上の住所B(現住所はC)

2番 A(持分30分の5)※登記簿上の住所B(現住所はC)

Aが2回にわたり所有権(持分)を取得しているケースで、甲区1番につき、登記簿上の住所Bから現住所Cへ所有権登記名義人住所変更登記、甲区2番につき、登記簿上の住所Bから現住所Cへ所有権登記名義人住所更正登記をする場合、一括申請申請は出来ず、格別に申請する必要があります(登記研究182号160)。

ちなみに甲区1番、2番ともに所有権登記名義人住所変更登記であれば、「1番、2番所有権登記名義人住所変更登記」として一括申請は可能です。