司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

特定事件報告書

2020-10-28 10:09:34 | 司法書士倫理

先週の土曜日(10月24日)は、静岡県司法書士会の第3回会員研修会でした。

昨年から研修単位12単位のうち、2単位以上は倫理研修を取得することが義務付けられたため、第1講の「本人確認について」の研修を受講しました。

昨年より、会員には年初に「業務報告書」のほか「特定事件報告書」の提出が義務付けられました。

講師から、特定事件報告書の意味をよくわかっていない会員が多いとの報告がありましたが、私もその一人かもしれません(汗)。そういえば、司法書士会事務局から、報告書に一部記載漏れがあるということでFAXが送られてきた記憶があります。

特定業務報告書の項目を詳細に解説していただき、内容がよく理解できました。

報告書にある「本人特定事項の確認を要する業務」には、決済業務が含まれていること、また犯罪収益移転防止法に定められている本人確認よりも、司法書士に課される本人確認の方がより厳格であることも肝に銘じなければならないと思いました。

来年は不備がないように提出したいと思います。

 

 

 

 


固定資産評価額と登記簿上の建物床面積の相違

2020-10-27 11:51:51 | 登録免許税

先日、中古住宅の売買で所有権移転登記をする際に、決済直前に未登記だった増築分を登記したため、固定資産評価額と登記簿の建物の床面積が大きく相違してしまったケースがありました(構造も一部変更していた)。

増築した部分の固定資産評価額の面積<増築後の登記床面積 その差はわずか1.23㎡

登記面積の方が大きくなる場合は、静岡地方法務局が出している経年減価補正率表を使い不足分の計算をする取り扱いです。

今回は構造も一部変わっていたので(軽量鉄骨造→軽量鉄骨・木造)、市役所発行の固定資産評価通知書を見る限りは、増築部分の不足部分は木造建物の補正率で計算するのかなと思いましたが、念のため法務局に確認したら、それで計算して下さいとのことでした。

経年補正率は木造と非木造で金額が変わってきますので、しっかり確認する必要があります。

 

 


一人取締役が死亡した場合

2020-10-07 09:37:54 | 商業法人登記

以前、取締役が1名しかいない有限会社で、その唯一の取締役が亡くなってしまい、後任の取締役を選任しなければならないケースがありました。

しかし、株主総会を招集する取締役が不存在なわけです。

裁判所で仮取締役を選任してもらう??(めんどくさい・・・)と思いましたが、今回は株主は死亡した取締役の父親1名だったので、会社法第319条第1項の「株主総会の目的たる事項について取締役または株主から提案があった場合において、当該事項につき議決権を行使できる全ての株主が書面または電磁的方法によって同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する株主総会の決議があったものとみなされる。」という「書面決議」で無事解決することが出来ました。

書面決議には、会社法施行規則第72条4項1号に定められた事項を記載した議事録を作成する必要があります。会社法施行規則72条4項1号に定められた事項は、次のとおりです。

①株主総会決議があったものとみなされた提案事項

②上記第1号議案の提案をした者の名称

③株主総会の決議があったものとみなされた日

④議事録作成に係る職務を行った取締役(新たに就任した取締役)

この議事録は登記申請書類に必要ですが、株主が提案し同意した書面は登記申請には添付しなくてもOKです。

このケースは、たまたま取締役と株主が別だったので良かったのですが、取締役と株主が同じケースはたくさんあるでしょうから、万一のことが起きた場合のリスクは大きいですね。

 


清算結了で残債務がある場合の登記添付書類

2020-10-06 09:31:20 | 商業法人登記

先日、有限会社の清算結了の登記が無事完了しました。

清算結了をするにあたり、残余財産があれば株主に分配、残債務がある場合は債権放棄してもらうなどして会社の財産債務を0円にしなければ清算結了登記ができません。

今回は残債務があるケースでした。

清算結了は頻繁にあるものではなく、また忘れてしまっていたことがありましたので、備忘録として記録しておこうと思います。

株主総会議事録に添付する決算報告書の中で、会社法施行規則第150条所定の事項を記載した後、「残債務があったが、当該債務についてはその全額の債権放棄を受けた」という一文を入れるだけでOKです。

その場合には、債権者からの債権放棄証書を添付しなくてもOKです。貸借対照表も添付する必要はありません(会社法施行規則第150条所定の事項を記載するにあたり、資料としては必要かと思いますが)。

なお、決算報告書で残債務につき債権放棄を受けた旨の記載がなく、株主総会議事録の中で債権放棄を受けた旨を記載している場合には、債権者からの債権放棄証書が必要となります。

ただ、登記申請書類には必要なくても、書面にして作成はしておいた方が良さそうです。


新しい遺留分制度

2020-10-05 09:44:46 | 相続

9月26日(土)の会員研修会第2講「新しい遺留分制度」のまとめ。

相続法改正で変わったところ。

☆まず遺留分を算定する財産のうち、生前贈与について

①一年前の贈与

②贈与者受贈者双方が遺留分を害すると知って贈与したものについては、一年以上前の贈与も含む。

③相続人に対する贈与は、10年前のものまで含む。但し、婚姻や養子縁組、生計の資本といった特別受益に該当するものに限る。

☆生命保険の扱いについて

受取人が第三者である場合には遺留分算定に含まれないが(平成14年判決あり)、相続人が受取人の場合には、特別受益として遺留分算定に含まれる(平成16年決定あり)。

☆死亡退職金についてはケースバイケース

その他、遺留分請求の除斥期間は10年だが、金銭債権は5年の時効にかかること、金銭にかえて代物弁済で遺留分を代物弁済で支払った時は、譲渡所得税がかかること(国税庁の通達あり)など、論点がたくさんあり、とても勉強になりました。