司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

公正証書遺言の変更

2022-03-30 11:34:51 | 遺言

以前作成した遺言書の内容を作り直すことは可能です。

数年前に公正証書遺言を当事務所において関与させていただいた方が、内容を変更したいという依頼がありました。変更したい箇所は、前回記載した「付言事項」の記載を削除するだけでした。公証人の先生に相談したところ、このケースは撤回するよりも変更の方が、費用も安く済むし書類を改めて揃える必要もないのでいいのではないかというアドバイスをいただき、本人の意向を確認したところ、撤回ではなく変更でお願いしたいということでしたので、今回は変更で進めることにしました。

撤回の場合は改めて作成することになるので、一から書類を集める必要がありますが、変更の場合は、本人の印鑑証明書と身分証明書だけで済みました。ただし、証人2名が必要なことに変わりはありません。

内容が大きく変わるのでなければ、撤回するより変更した方が良さそうです。

撤回の場合も同じだと思いますが、変更の場合も「遺言者は、平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局所属公証人〇〇作成平成〇年第〇〇号遺言公正証書による遺言(以下「原遺言」という。)の一部を次のように変更する。変更しないその余の部分は、すべて原遺言公正証書記載のとおりである」という一文は入れておいた方がいいでしょう(公正証書の場合には、公証人の方で入れてくれると思いますが)。

 


法務局における遺言書の保管制度

2020-09-23 10:47:01 | 遺言

先日(9月19日)は支部研修会でした。

今更ながら、初めてZOOMで参加しました。

今回の研修内容は、7月10日に施行された「法務局における遺言書保管制度」について。

施行から2か月程経過しましたが、利用実績は全国規模で7月の申請件数は2608件のうち実質件数は2586件、8月の申請件数は2362件のうち実質件数は2354件とのこと。

平均すると2400件くらいでしょうか。

ちなみに私が所属する支部の管轄法務局においては、週3件くらいの申請があるのだとか。

これが多いのか少ないのかわかりませんが。

遺言書保管制度のメリットとして、①形式面での不備がなくなる②検認申立て不要であること、デメリットとしては、①本人が出頭しなければならない②内容面での不備③形式的審査であることがあります。

検認申立てが不要であることのメリットは大きいと思います。

デメリットに挙げられた「形式的審査」ですが、これはどの程度の形式的審査なのか不透明なところで、不動産登記のような形式的審査なんでしょうか。少なくとも、司法書士としてはこの制度を利用したのはいいが、遺言を実現する段階において登記に使えなかったということは避けなければなりません。

ちなみに司法書士が遺言書保管制度に関する書類作成することは、司法書士法第3条第1項第2号に該当し出来るということで問題ありません(法務省民二第663号令和2年8月5日)。

保管制度を利用して遺言書を作成する具体的な方法は法務省のHPに詳細があります。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html