司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

養子縁組でも代襲相続は発生する

2024-08-27 14:09:13 | 相続

タイトルのとおりです。

被相続人は配偶者、子はおらず、父母も既に他界しており、依頼者である姉が相続人となるケースでした。

依頼者である姉は婿養子をとっていたのですが、1年前に婿養子の夫は死亡。

夫婦の間には3人の子供がいます。その子供たちも今回の相続人となるのか、ということですが、結論としては相続人となります。

婿養子の夫が依頼者の父母と婚姻時に養子縁組をした時点で、被相続人とは兄弟関係となります。

婿養子である夫が先に死亡しなければ、被相続人の兄弟として相続権があったわけですが、先に亡くなってしまったので、依頼者である姉と婿養子の夫との間の3人の子供も、婿養子の夫の代襲相続人として相続権が発生します。なお3人の子供は、養子縁組後に生まれた子供です。養子縁組前に生まれた子供の場合には相続権はありません。

 


相続開始前の遺産の使い込み

2024-05-13 10:09:58 | 相続

相続登記手続きのご依頼を受けた中で、共同相続人の一人が被相続人の預貯金を被相続人の生前に勝手に引き出していたケースがありました。引き出した本人(相続人A)はその後亡くなり、Aの相続人であるBが引き出した分を戻すということで合意をし、その点については全く争いはありません。しかし引き戻した分を遺産分割で相続した相続人に振り込む場合、贈与と見做されないようにするため、遺産分割協議書の中に、次のことを盛り込むことにしました。

①共同相続人全員が、引き出した本人(相続人A)が〇〇円引き出して受領している旨の確認

②共同相続人全員が、引き出した金額が被相続人の遺産である旨の確認及びそれを相続人Cが取得する。

次のとおり記載

「〇〇銀行普通預金 口座番号の相続開始前の出金〇〇円に係る返還請求権」

③BがCに対し、〇〇円(引き出された金額)を支払う。

預貯金等の遺産の使い込みを取り戻す法的根拠は、不当利得返還請求権(又は不法行為)になります。

被相続人が行使するはずだった不当利得返還請求権を相続したという構成です。

 

 

 

 


養子縁組前の子供の代襲相続

2023-12-25 15:02:56 | 相続

養子縁組前に出生した子供については、代襲相続人にはなりません。

(例)

A(平成13年死亡)=B(被相続人、令和2年死亡)

         |

       C(平成17年死亡)=D(平成7年AB夫婦と養子縁組、平成11年死亡)

                |

                E、F、G(EFGは昭和生まれ)

被相続人Bの子供はCのみ。CはDと婚姻後、EFGの3人の子供をもうける。その後、DはCの両親と養子縁組したケースです。

Dの子供EFGは、養子縁組後の子供なので、Dを代襲してBの相続人とはなりません。ただ実子であるCの子供であるので、Cを代襲してBの相続人になります。

なお養子縁組後に出生した子供は、代襲相続人になります。

養子縁組がからむ相続権は時々ややこしいです。

 


相続権の範囲(直系尊属)

2023-12-06 11:16:31 | 相続

被相続人に子供はなく直系尊属が相続人となる場合。

父親は既に他界し、母親が相続人となるケースでは、既に亡くなった父親には代襲相続は発生せず、父親の両親(被相続人からみて祖父母)には相続権はありませんので、母親のみが相続人になるのは、以前の投稿したとおりです。

直系尊属に代襲相続はない - 司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上 (goo.ne.jp)

それでは同じケースで、相続人となった母親が相続放棄をした場合はどうなるのか。

その場合は、次の順位である兄弟姉妹に相続権が移るのではなく、被相続人の父方及び母方の両親(被相続人の祖父母)が生存していればそちらに移ります。民法889条の規定で「直系尊属の場合は、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。」とされているからです。

両親がいなければ兄弟姉妹に相続権が移るケースがほとんどだと思いますが、不幸にも若くして亡くなってしまったケースではありえなくないと思いますので注意が必要です。


半血兄弟の相続分

2021-10-01 09:49:47 | 相続

先日異母兄弟の相続を受任した際に、相続分について少し知識が曖昧になっていたところがあったので整理してみようと思います。

民法900条4号に「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人ある時は、各自の相続分は相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。」とあります。

以前は、この規定に「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」という文言がありましたが、平成25年の改正で削除されました。改正前は非嫡出子は嫡出子の相続分の2分の1でしたが、改正後は平等になったわけです。

問題は民法900条4号の但し書きの部分ですが、これが適用されるのは「被相続人の兄弟姉妹が相続人となる」場合です。

今回受任したケースは、被相続人は父親で相続人の子供が異母兄弟になるため、子供の相続分は平等になります。

2分の1を適用するのはどのケースだったか曖昧でしたが、スッキリしました。