6月20日(土)、静岡県司法書士会主催の令和4年度第1回会員研修会にZOOMで出席しました。
相続がテーマということで200名を超える参加者があったようで、関心の高さが伺えました。
研修テーマは「改正民法の実務的活用」。会員である委員会メンバーが過去に扱った事例を元に、当時はどのような方法で解決したのか、令和5年4月1日に施行される所有者不明土地、所有者不明建物解消を目的とした改正民法を活用したら、どのように解決することができるのか、現行法と改正法を対比しながら、委員会メンバーがディスカッション形式で行う講義内容でした。
実際の事案に沿ったものだったので、とても分かりやすく充実した内容で勉強になりました。
現行法で所在がわからない相続人がいるのであれば不在者財産管理人制度を使うのが一般的ですが、場合によっては時効取得が可能なケースもあることは知りませんでした。改正法では民法262条の2項の「所在等不明共有者の持分取得」の条文を使うことも出来ますが、相続開始から10年経過していないとこの制度は利用できないようです。
一方で所有者が誰なのかわからない、あるいは所有者は判明するがその所在がわからない場合には、改正民法264条の2項の「所有者不明土地管理命令」の条文を使うことも出来るようになります。現行法でもこのようなケースでは不在者財産管理人制度を使うのが一般的ですが、現行法の不在者財産管理人制度が「人」に焦点をあてて財産管理を考えてきたのもが、新設制度は「物(不動産)」に焦点を当てているため、例えば不在者財産管理人であれば、保存行為として出来る債務の弁済や建物の取り壊しなどは裁判所の許可が必要になるとか、色々違いが出てくるようです。そもそも所有者不明土地管理制度は、公共事業や空き家問題の解消を目的に作られたのもなので、このような違いが出てきてしまうとのこと。実際運用が始まってみないとわからないこともありますが、選択肢は増えるので、今までは解決できなかったものが解決できる方向へ進めばいいですね。
他にも色々細かいところで、そういうやり方もあるのかと勉強になることが多くあり、講義いただいた委員会メンバーの皆さんはよく勉強されていると思いました。同じメンバーによる7月23日の研修会もぜひ出席したいと思いました。