司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」の登記について

2021-08-11 10:06:31 | 商業法人登記

平成27年5月1日より、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」がある株式会社は、その旨の登記をしなければならないことになりました。

当初は意識していたのですが、監査役の任期を4年以上にしている会社もありますので、最近はうっかりしそうになることがあり注意が必要だと思いました。

今一度、知識を整理してみようと思います。

登記が必要か否かは平成18年4月30日以前に設立された株式会社かそれ以降かで条件が異なります。

 

♪1 平成18年4月30日以前に設立された株式会社の場合

① 資本金は1億円以下(平成18年5月1日当時、資本金が1億円以下であり、かつ、最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計が200億円未満)

② 株式の全部に譲渡制限の規定がある(平成18年4月30日から現在まで)

③ 監査役の監査の範囲について、定款を変更していない(平成18年5月1日から現在まで)

④ 監査役会及び会計監査人を設置していない

 

♪2 平成18年5月1日(会社法施行日)以降に設立された株式会社または平成18年5月1日以降に株式譲渡制限の規定を設定した株式会社の場合

① 株式の全部に譲渡制限の規定がある

② 監査役会及び会計監査人を設置していない

③ 会計限定監査役の定めがある

 

♪1の①から④、♪2の①から③の条件を全て満たしている株式会社の監査役には、会計監査権限しかないとされるので「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」を登記する必要があります。しなければ登記懈怠となり過料の対象になるので注意が必要です。

そしてその登記はいつすべきかですが、「平成27年5月1日以降、最初に監査役の就任、重任又は退任の登記を申請するとき」とされています。

ちなみに、特例有限会社の監査役については必要ありません。

 

 


相続放棄に関するあれこれ②【香典、お墓など】

2021-08-03 16:03:43 | 相続

相続放棄に関する相談のうち、「香典を受け取ったら相続放棄できないのか」「相続放棄をしたらお墓は引き継げないのか」というものもあります。

先ず香典についてですが、「香典とは喪主への贈与」とされているため、被相続人の相続財産を構成するものではありません。そのため相続放棄をしても香典を受け取ることは可能です。さらに香典が余った場合、それを使ってしまったら相続放棄に影響するか、ですがそもそも被相続人の相続財産ではないので問題ありません。

次にお墓等についてはどうでしょうか。

墓地、墓石、仏壇仏具といったものは「祭祀財産」とされています。

祭祀財産は法定相続人が相続するものではなく、民法上「祭祀承継者」が承継するものとされています。

そのためお墓についても、被相続人の相続財産にはならないため、相続放棄をしたとしても承継することは可能です。